一人用の傘なら
相手が濡れないように

自分の肩が
濡れていることに気付かれぬように

振り返れば
時間(とき)の尊さを知る

振り返れば
戻らぬ時間(とき)に恋をする

それぞれの世界がある

世界を共有するため
人は扉を開ける

¨今度¨というエサで
取り逃がした獲物は大きく

そして
¨あの時¨を取り戻そうと
水を睨む



逃した¨可能性¨は
得た¨可能性¨より
遥かに大きい と
エサがなくなった針は言う

無意識が勝手に歩く

気が付けば
呼吸をしていて
心臓が鳴いていて


明日のために今日も眠くなる

それがオリジナルなら
それは魔法のようだ

映さない鏡は
ただただ
己が美しいと言った


闇よりも深い黒に
身を潜めた光

真紅の果実すら
映せずに



ただただ
味のない酒と
己を肴に酔うだけ



鏡は言った
ただただ
己が愛しいのだ と

転んで泥だらけ
転んで傷だらけ

痛みに敏感でありたい

転んで見える世界だってある

だから
転ぶことを恐れない

鳥籠の中でだって
羽ばたけるわ

もう空っぽだった
飲み込んでしまったから

吐く息も冷めぬうちに
届けばいいのに

バラバラの言葉
繋ぎ合わせて
もう離さないように
想いの糸で縫い付けて


もう空っぽだった
こぼしてしまったから

一粒の言葉が
瓶の底で音を立てた