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和泉の部屋  〜 新着順表示 〜


[57] 朝顔
詩人:和泉 [投票][編集]

道端に咲く花の名前すら知らなかったあの頃



夏に毎年配られた種は
小さくて

ジョウロのシャワー
サン・ライト
土のベッド
それらだけで
大きくなったとは言わないけれど



紫の花びらは
きっと
色鉛筆じゃ表しきれなくて

何度も書き直して
薄くなった絵日記帳


あの小さな種が
咲かせる花が
こんなにも綺麗だったとは

2006/07/31 (Mon)

[54] 
詩人:和泉 [投票][編集]

夢で逢えたノスタルジー
朧気な映像
編集機能なんて
ないのは百も承知

突然 現れて
なのに
記憶には残ろうともしない

君のメッセージを掴みたくて眠る
そんな夜は
決って現れない

2006/07/28 (Fri)

[53] 風船遊戯
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ぱん と
弾けた風船は
あの日のもので
あって欲しかった


手を離してはいけない と
教えられていたのに
気が付けば
風船は手から消え
空高く登り
気持ち良さそうに泳いでいた


泣く子に
また今度 と
パパは約束をし

風船を失った右手を
ママの左手が優しく包んだ


2006/07/27 (Thu)

[52] 静寂
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耳を澄ませば
秒針の音色に気付き
部屋の静けさが増す
一秒を刻む針は
円を描(えが)き
元いた場所に帰るらしい

静かな空間は
秒針と
シンクロする心臓のリズムだけ
それは少し
心地良く

静寂の中に
聴こえてきた響き

2006/07/25 (Tue)

[51] 迷子
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雑踏の中
確かに私はいる
右にいたあの子は
遠くで さようなら と
静かに手を振り
左にいたあの子は
いつの間にか座り込み
振り返れば遥か後ろにいた

雑踏の中
それでも道はあって
矢印だってある
数多く散らばって

雑踏の中
誰かの足を踏まぬよう
誰かにぶつからぬよう
気を付けてはいるものの
限界はあって

脱げた靴は
確かお気に入りだったはず

2006/07/24 (Mon)

[50] かくれんぼ
詩人:和泉 [投票][編集]

もういいよ と
言って欲しかった
かくれんぼの
もういいかい に答える
もういいよ を

諦めの もういいよ ではなく
もういいんだよ と

あの人も
もしかしたら と
思う日々

言えずに癒えずに
苦痛を濁らすその笑顔は
かくれんぼの もういいよ を待っていたのだろうか


もういいかい と
問うたなら
もういいよ の
声 響くこと願って

2006/07/22 (Sat)

[49] もぐらたたき
詩人:和泉 [投票][編集]

“この形に
はみださないように
ぴったりと入りなさい”
そんな声が
聞こえてきそう


型が窮屈で
抜け出せば
頭叩かれ
型の形を
変えようとすれば
頭叩かれ

見本なんて
目標にならない


暗い穴に隠れているだけなんて
まっぴらだ

2006/07/21 (Fri)

[48] オーシャン
詩人:和泉 [投票][編集]

深い色をした海
泳ぎをしらない私は
避けて通るだけ

それでも
波打ち際を歩くのは
魚が気持ち良さそうに泳ぐから


ディープ・ブルーの海
足を入れれば
立てる程の深さだ と
魚が飛び跳ねた

2006/07/20 (Thu)

[46] 幻灯
詩人:和泉 [投票][編集]

指で作るカメラ
レンズに映るは
溢(こぼ)した記憶

残り一枚のフィルム
シャッターを切る勇気など
みじんもなくて

目の前で過ぎゆく幻影
ぼやけるピントは
震える手のせいにする

2006/07/21 (Fri)

[44] リピート
詩人:和泉 [投票][編集]

エンドレスにあなたの声
耳よりも
心を傾けて

『たいくつ』なんて
漢字すらも分からない

あなたの唇から溢れる音
耳よりも
心を傾けて

エンドレスに
何度も
あなたの声



もうネタがないよ と
あなたが苦笑するまで

2006/07/16 (Sun)
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