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さみだれの部屋  〜 投稿順表示 〜


[2] 名も無き詩片
詩人:さみだれ [投票][編集]

とある堤防をどこに行くでもなく歩いていました
すぐ横の川の上を鳥が横切って
きっと向こう岸に誰か待っているんだろう
君を待っているんだろう
ふと立ち止まってくさむらをのぞきこむと
一匹の猫がその声を張り上げていました
きっとおなかが空いたんだろう
俺の目を見て必死に泣く
生きている限り
誰もが何かを求めているんだ
すがりついて
それでも足りなくて
ときどき泣いちゃうんだ

この辺で見上げよう この空を
飛行機雲がいいぐあいにまっすぐで
きっと大切な人に会いに行くんだろう
俺の場所は?大切な人は?空の下にある
ここが生きている場所なんだ
傷ついて
やっと気付いて
それが大切な人

とある堤防を家に向かい歩いていました
すぐ横の道路を車が横切って
きっと待っている人がいるんだろう
帰るべき場所があるのだろう
俺の待っている人は 帰るべき場所は

星が出てきた頃
ぼろアパートに着きました
ドアの前で立ち止まって泣く
きっと誰も待ってくれてないんだろう
お前の影すらないんだろう

生きている限り
誰もが何かを求めているんだ
すがりついて
それでも足りなくて
ときどき泣いちゃうんだ



2011/04/02 (Sat)

[3] 言葉
詩人:さみだれ [投票][編集]

言葉が宿らない木に
水をあげたよ
木漏れ日に動物たちは
気持ち良さそうに
眠ったんだよ
人は言葉を摘んで
話をした
言葉が詰まっても
伝わればいいな
そよ風にゆらゆら
何でもよくなって
気が付けば
君の枕元に
言葉が寄り添ってる
ありがとうと
みんなは囁いた
明日も水をあげにいくよ
言葉は風に吹かれて
嬉しそうにどこかへ旅立った

2011/04/02 (Sat)

[4] 恋心
詩人:さみだれ [投票][編集]

ただ願っていれば
君が現れると思っていた
信じていれば
君は笑いかけてくれるんだって
でもそうじゃない
君と繋がるためには
信じるとか願うよりまず
繋がろうと
見つけようと
笑ってもらおうと
努力すること
大切なものはいつだって君で
それを守りたい
だから大事な話をしてくれないのも
僕のことを気にかけてくれないのも
死んでしまうんじゃないかってくらい辛い
もし会えたら
話してほしい
全部でなくていいから
もし会えなくても
知っててほしい
全部でなくていいから

2011/04/02 (Sat)

[5] 読者諸君
詩人:さみだれ [投票][編集]

さぁご覧遊ばせ
君が眠った夜の町を
君が眠った冬の町を
光ならそこいらに嫌というほど
嘆きながらも灯っているでしょ
いつの世も学ばなければ
君を取り巻く輩のことも
君を取り巻く鎖のことも
力の弱い者だけが
しがらみに苦しんでいるのです

飛んでいくんでしょ
君に逃げた者からも
君に受け継いだものからも
薄っぺらい脳の真ん中
やられてしまったのです

さぁ読んで!
君の定まらない形も
君の別れたあとの町も
君が恋した夕焼けも
君が謝った夜の夢も
詩ならそこいらに嫌というほど
嘆きながらも散らばってるでしょ

2011/04/03 (Sun)

[6] lily of the valley
詩人:さみだれ [投票][編集]

谷底でうなだれてる
小さな音で鳴いている
そこに詩をつけたなら
町の人は歌うだろうか
リリィは泣いたよ
なぜ泣いたの
それはあまりに人気のない
じめじめとした底だったから
誰か歌を歌ってあげなよ
詩なら僕がくっつけるから

リリィは泣いたよ
なぜ泣いたの
誰も触れることをしない
ひとりきりの鈴だったから

2011/04/03 (Sun)

[7] もしも
詩人:さみだれ [投票][編集]

もしこの世界に
戦争がなかったなら
平和を大切にできただろうか

もしこの世界に
悲しみがなかったなら
涙はどこへ流れただろうか

もしこの世界に
動物がいなかったなら
私たちは生きていられただろうか

もしこの世界に
勇気がなかったなら
死を望む人はどうしただろうか

もしこの世界に
ビルがなかったなら
風はもっと吹き抜けていただろうか

もしこの世界に
愛がなかったなら
君を思うことができただろうか

もしこの世界に
ヒトがいなかったなら
君を大切にできただろうか

もしこの世界に
空がなかったなら
輝くものは存在しただろうか

もしこの世界に
心がなかったなら
私たちは生きていられただろうか

2011/04/03 (Sun)

[8] 真夜中
詩人:さみだれ [投票][編集]

これは夢の中
眠ってるんだよ
楽しかったことを
反芻しているんだよ
明日のことを忘れてはいないよ
長い詩も書く気にはなれないよ
素晴らしい世界も
今は遠いところ
宇宙のように
漂いながら
星のように
生きたいと願いながら
おやすみとおはようが
同じ座標にあったなら
君がいるということなんだ
誰かがいるということなんだ

2011/04/04 (Mon)

[9] 夕凪
詩人:さみだれ [投票][編集]

作り慣れた山に
指で名前を
僕の国だ
君に威張った
君は木の枝で
砂浜に名前を
私の国
僕に誇らしげに
最後の風が
びゅっと吹いて
僕らの名前を
波はさらった
海でひとつに
なれたのかなって
僕らは手を繋いで
君が呟いた

2011/04/04 (Mon)

[10] 星合の空
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僕は窓を閉めてたから

君の背を見られなかった

風がふわりと触る髪に

僕の手は遠かった


いくつの星座を見つけたら

君は入ってくるのだろう

暗がりに溶けていった

天の川を探しているの?


僕は窓を閉めてたから

君の背を見られなかった

僕が窓を開けてたなら

君のとなりにいられたかな


夜はいくつになっても

暗くて怖いけれど

星は年をとるたび

ひとつ、ひとつと消えるけれど


君がいつか堪えられなくなって

いなくなってしまっても

僕はいつもそこにいるよ

君がさみしくないように

君がかなしくないように

2011/04/05 (Tue)

[11] 知能
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他人の心を知ろうともせず
自分の心を押しつけた
おもしろいくらいに無頓着
それじゃ他人がかわいそう
そんな他人もまた自分で
心を誰かに押しつけて

一体君はどれ程の時間
他人を理解せんとした
他人に愛されたいのなら
自分を捨てる覚悟をしろ

かくいう私もエゴイスト
そんな世界を楽しんでる
おもしろいくらいに無頓着
他人の心に触れたふり

一体君はどれ程の時間
自分を理解せんとした
自分が愛したいのなら
他人を捨てる覚悟をしろ

重い、重い話のあとに
私はほろりと涙を流した
おもしろいくらいに無頓着
自分のためか、他人のためか

2011/04/05 (Tue)
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