詩人:中村真生子 | [投票][編集] |
朝から激しい雨。
9時前に放送があり
予定していた清掃作業を行うという。
青緑色のカッパを着て出かける。
すでに刈り取られている草を
ごみ袋に詰めて寄せておく。
地味なカッパの中で
鮮やかな上下ピンク色の
カッパを発見!
「おお!」と思っていたら
「〇〇さん、ほれてしまあやな
カッパだなあ」と年配の男性。
「そうでしょう」とご婦人。
すっかり片付き
終わるころには雨も上がり…。
トライアスロンまであと2週間。
この道をアスリートたちが自転車で
駆け抜ける。
ところで…
カッパはピンクに限る!
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鈴の入った球を打ち合う
サウンドテーブルテニス(ゴロ卓球)を
教えてもらった。
ボールが
台からはみ出して落ちた様子
ネットにひっかかった様子
途中で止まった様子
枠を超えて飛び出した様子
枠を超えて飛び出したボールに
タッチしてしまった様子…
あらゆる状況を
彼はボールに入っている
鈴の音だけでジャッジする。
素早く、正確に。
「すごいですね」というと
「長年やっているとわかる」と
いともなげに答える。
彼は私が見えていないものが
たくさん見えているのだろうと確信する。
そっと目を閉じ
台を転がる鈴の音を聴きながら…。
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雨上がりの午後
ホテルの駐車場にできた
大きな水たまり。
黒いアスファルトを
鏡に替えて
空と雲とを映してる。
人の中にあって
湧きいずる思いを
鏡に替えて
心模様を映すがごとく…。
けれど
心の鏡に映ったものは
空のように青からず
雲のように白からず。
かしこに茶色い泥だらけ。
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夜の汽車に乗る。
カタカタと
揺られて夢に導かれ
カタカタと
揺られて目を覚ます。
背中で揺られた
遠い日々のように…。
カタカタと揺られて
家路につく…。
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携帯電話の画面が急に薄くなった。
充電をしても元に戻らない。
結構長く使っているので
壊れたのかと思い、ショップに行く。
スマホにしようかどうか、悩みながら…。
番号札を取ろうとしたら
「どうしました?」と尋ねられ
「液晶画面が…」と答えると
「8を長押せば直ります」と、あっけなく直ってしまった。
他人に画面を読まれにくくする機能だという。
きっと気づかないまま押してしまったのだろう。
試しにいろんな番号を押してみると
幾つかの番号に特別な機能が入っていて
ICカードロックというのがかかってしまった。
解除しようとすると
「端末暗証番号は?」と聞いてくるが
わからない(汗)…。
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抱っこすると
大きなおめめをクルクル。
「この人だれ?」って。
名前を呼ぶと
また大きなおめめをクルクル。
「だれかな〜」って。
しばらく大きなおめめを
クルクルさせて
「まっ、いいか」とのんびり。
一緒にゆらゆら揺れる。
さっちゃんの温もりで
腕の中はほんわり温かく
心の中もほんわり温かく…。
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カーテンを開けて
電気を消す。
稲光が
ゴロゴロと鳴りながら
夜空を
白昼のごとく照らす。
時折
オロチのような光が
空を駆ける。
雷は遠く
家に落ちる確率は皆無に近いが
やっぱり怖い。
なのに
草木は動ぜず
カエルははやし立てるように
合唱を繰り返す。
彼らは
へそがないからだろうか。
「ツィゴイネルワイゼン」を聴きながら
へそを隠して眠りに就く。
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草取りのご褒美に
淡いアプリコット色の
バラ一輪。
顔を近づけると
ふわり優しい香り…。
潮騒の音
カモメの鳴き声…。
隣の庭には
子どもたちの七夕飾り。
ある夏の朝
誕生日の朝。
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「誕生日だから
ご馳走をしてあげる」と
80歳を超えた母が言う。
遠慮なく
ご馳走になることにする。
ドライブがてら出かけ
通りかかった
古民家を改築したカフェで
ランチを食べる。
プラス100円のデザート付にしてもらう。
少しずつだが品数が多く
結構お腹いっぱいになる。
デザートはスモモのゼリー。
店を出ながら
来年も、それから先もずっと
母にご馳走になれることを
そっと願う。
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昇り始めた太陽が
海に眩いばかりの
銀の道を作る。
光あふれる美しい道。
けれど
歩くことはできない道。
否
きっと歩くことが
できるのだろう。
信じて
一歩踏み出すことで…。