詩人:右色 | [投票][編集] |
言葉に出来な時は
絵を書くことにしている
このまま
ただ忘れ去られるよりは
形にして残して置きたいと思ったからだ
書いた絵にタイトルは付けない
タイトルは他人が理解する為のもので
この絵は他人にとって意味の無いものだ
何かが言葉になれば
そこで絵は完成
題名の無い絵描きは
言葉嫌いな詩人へ戻る為に立ち上がる
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僕にとって会話は彫刻みたいなものでね
巨大なカタマリである感情から
自分と他人が理解出来るよう
理解できない箇所や
理解したくない箇所を削り取る
一見して
それが何であるのか分かる程度には
削らなくちゃいけない
それはとても面倒な作業だし
ともすれば
形を成す前に時間が無くなることだってある
だから大体みんな代替して
芸術家のような煩雑な工程を省略する
市販の会話は
ともかく手軽で分かりやすい
それこそ
会話のキャッチボールなんて言われるくらいの手軽さで
他人とやり取りが出来る
でも僕は
どんな会話でもそれ自体にカタチを持たせたいし
その延長として
意味だって付けてみたい
そして
その出会い一つ
会話一つにそれぞれ
名前を付けてやる
そうすれば
きっと
記億とは違う形で
残せると思う
その時
その瞬間を
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だから
僕は
人生を「愛」って言うんだ
自分が言いたい事が
誰かと話している時だけ
カタチに出来るように
もしも、自分が一人きりなら
言葉なんて要らないし
伝える必要だって無い
その連続で
自分を理解することだって必要ない
生きるだけなら
世界と反射するだけでいいのだから
つまるところ
自分の頭の中にある意志や思考なんてものも
やっぱり
自分以外の誰かの為に存在していて
人生における答えなんて
自分の中で積もりに積もった
そういう「誰か」の為の言葉が
誰の為だったのか分かる
それ以外の何があるって言うんだ
ずっと誰かの為に生きていて
ずっと誰かを探していて
最後にはきっと
出会うことが出来て
僕はそういう過程を愛と呼びたい
だから
僕は
人生を「愛」って呼ぶんだ
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たまには『世界』でいいかもしれない
アイツとか
コイツとか
ソイツとか
何もかもに名前が付いていて
やたらと由来とか意味が尖っている
もちろん
それらは尊敬すべき切っ先なのだけれど
たまのたまには
『世界』って球体にしてさ
くっついて転がして
青い青い草原をゆくように
何もかもの間を駆け抜けて
最後に振り返って
笑おうじゃないか
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大きなヘッドフォンを頭にのせた
小さな旅人は
けれども
唄いながら
森を歩く
小さな旅人の頭の中にはたくさんの唄があった
大きなヘッドフォンは
頭の中の唄を逃がさない為にあった
小さな旅人は唄い続ける
その言葉の意味は分からなくても
青い果実のような感情が
ゆらゆらと
風に揺られるように唄う
大きなヘッドフォンを頭にのせた
小さな旅人は
けれども
唄いながら
海を渡る
潮風が喉を焼き
波の音が小さな旅人の声を消してゆく
小さな旅人は唄い続ける
自分の頭の中にある唄を残らず唄いきる為に
その唄を唄いきれば
大人になれると信じて
大きなヘッドフォンを頭にのせた
小さな旅人は
けれども
唄いながら
砂漠を越える
一歩一歩懸命に足を踏み出す
足跡は残らない
小さな旅人は唄い続ける
大きなヘッドフォンからは唄は流れないけれど
小さな旅人の全身に唄は流れていた
やがて
小さな旅人は唄となり
遠い遠い
未来
小さな旅人の唄は
小さな少年の小さなヘッドフォンから流れていた
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「重い悩み」という言葉は好きになれない
私が悩むのは
いつだって
正体がまるで掴めない
ウワウワと中空に浮く何かだ
その何かは空気の中で密度が濃くなって
私はだんだんと息苦しくなる
そこに重力があれば
私は間違いなく落下するだろう
しかし
ここに重力なんてものはなく
何かと私とが
判別できなくなるほど混ざり合った宇宙があるだけだ
だから
私は
悩みが
重いだとか軽いだとかは言わない
その無重力空間は確かに辛く苦しいところだけど
私が私を再構築する為には
私という宇宙が変化するのは必要なことだから
適当な重力見つけて
それに引き寄せられるくらいなら
最初から悩む必要はない
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私は私を好きではあるのだけど
それは全てを許容する、という意味ではない
私は私を無条件で好きになるのではなく
私は私が好きになれることしているから
私は私が好きでいられる
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雨の味は何味だろう
甘くはない
酸性なんだから
しょっぱいのかもしれない
雲の数も
もうどうでもよくて
青の種類は
溶け落ちて
感情は
水たまりみたいに
落下して
ポツリポツリと溜まっている
激しい何かはもう
雷鳴の音と共に
この身から過ぎ去った
下り坂の時間は
とてもとても
スピードが速くて
現在を認識することが出来ない
僕はいつだって過去にいる
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例えば
自由に苦しむ少年は
恵まれているのでしょうか?
身に余る剣を背負い
けれども
旅に出ることの無い少年は
勇者になることが出来ませんでした
倒すべき敵
越えるべき壁
きっと
それらは不幸で不自由なカタマリ
しかし
愛や信念、魂なんて名前の不死鳥は
そんなカタマリから
生まれて来るのでしょう
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僕は生きていても善いのでしょうか?
誰も応えてくれないから
僕は僕自身で肯定した
僕が生きることは正しいことなのど
何度目かの決意を済ませ
僕はその屍骸を見据える
そうだ
僕が殺した命だ
罪なき命は
僕は僕が生きる為に
儚く消えた
僕は躊躇わない
何百もの悪を成そうとも
僕の正義は揺るがない
僕は命の残滓に手を付ける
許しは乞わない
ただ
一言だけ
「いただきます!」