詩人:栢徠 | [投票][編集] |
家の近くの草原に大の字に寝転んだ
目を閉じていると風が優しく吹いていくのを体全体で感じられた
目を開けると青い空と白い雲
雲の流れは速く、青と白の割合はすぐに変わっていく
そして私は再び目を閉じた
遠くで聞こえる鳥の鳴き声
吹き抜けてゆく風の音
草木の擦れる音
誰かが近づいてくる足音
その音にそっと目を開ける
寝転んだ視界の先には
微笑みながら私を見る君がいた
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僕は全てにおいて中途半端だった
ピアノもサックスも勉強さえも中途半端だった
君は全てにおいて完璧だった
ピアノもフルートも勉強さえも完璧だった
中途半端な僕と完璧な君の道が交わる筈もなく
ただ平行に進むだけ
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『元気にしてますか?
私は相変わらず。
相変わらず泣き虫で、相変わらずさみしがりやで、相変わらず弱虫。
だけど、周りからは君と離れてから変わったって言われる。
別に強くなった訳じゃない。
逆に弱くなった気がする。
・・・・もし、まだ君の事が好きだって言ったら、どうする?』
そこまで書いて、送信ボックスに保存した
そして、そのままになってる
送る勇気も消す勇気も無い
送る相手は
もう居ないのに・・・・
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携帯を開いて画面を見る
ため息と共に閉じる
数分もせずまた携帯を開く
そしてまたため息と共に閉じる
右手に握った携帯を開いて閉じる
画面は変わらず指定した画像
今日も君からの着信を告げる音は・・・・鳴らない
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いつのまにか、いつもの帰宅時間を過ぎていた
いや、気付かない様にしてただけ
二階に上がって窓の外を見る
ライトの光は車ばかりで君の自転車のライトは見つからない
不安で胸が潰れそうになる
心拍数が上がるのが自分でもわかる
そんな時見えたのは小さなライトの光
少しずつ近付くそれに安堵する
ブラコンだって言われたってかまわない
そんな事を考えながら窓を開けて声をかける
「遅い!!」
私の不安は、きっと君には伝わらない
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ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
泣いて泣いて泣いて
泣いてもどうにもならない
そんな事はわかってる
でも私には謝る事と泣くしか出来ないの
なんで私だけ残ったの?
なんで私だけ残ったの?
約束、守れ無かった・・・・
もし、今あの日に戻れるのなら私は約束を守れるよね?
でも・・・・それが出来ないから私は謝るしか出来ないの
私は後悔してるんです
あの日、私は無力だったんです
今だってそんなに変わらないけど、あの日よりはマシだから
あの日に行きたい・・・・
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最近私は歪んでる
夢の私は殺人鬼
笑いながら刃物を振り下ろす
返り血を浴びて笑みを深める
鉄パイプを振り下ろす
骨が砕け肉の潰れる感触に狂喜する
目覚めた瞬間そんな自分に恐怖する
その夢はあまりに生々しい
血の臭いも滴る音も感触も
全くダメだったはずなのに・・・・
わからない、自分がわからない
歪んでる
いつから?どうして?
わからない、わからない、わからない
わかってる
嘘
わからない
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こちらが差し出しただけじゃ届かない
君も手を伸ばしてくれなければ届かない
お願い私の手を掴んで
君が手を伸ばしてくれたら、きっと手は届く
手が届いたらきっと君を助けてあげられる
だから、手を伸ばして!!
自分一人が耐えれば、なんて考えないで!!
こんな私でも、君の手を掴むことは出来るから
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はぐれそうな人混みを前にして、あなたは恥ずかしそうに手を差し出した
私が首を傾げると
小さな声で
「はぐれたらやだろ?」
と言いながら私の手を握った
私はそれが恥ずかしくて、嬉しくて
私より大きなその手の温もりに安心した