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カナリアの部屋  〜 投稿順表示 〜


[134] 結婚指輪
詩人:カナリア [投票][編集]

貴方の腹の中に
小さなポリープが見つかりました
貴方の大きな体に比べたらそれはそれは
小さなポリープでしたからまさか貴方の体を
食いちぎる程に
大きくなるなんて
思ってもみなかったのです

寒い冬が胸を切り裂く

二つの結婚指輪を
薬指にはめてみては
大きさが共わない金属が
カチカチ音鳴らして

俯く私を叱りつけるかのような

泣く私におどけて見せるかのような…


貴方が生涯愛し続けた
妻の元に
貴方が無事たどり着き
また二人
“やっと会えた”と
抱きしめあっているかのように

私の指に絡み付くのです

2006/11/23 (Thu)

[135] 
詩人:カナリア [投票][編集]

  花が咲きました

それはそれは
美しい大輪の花でしたのでひとつ
大きな鉢に植え替えようと黒い土から
掘りあげたところ

美しい大輪の花は
それはそれは
たくさんの根に支えられており

  その根
新しい鉢へと
その身を委ねた
後もまた
黒い土の中
姿は見えずとも
水を吸い上げ

姿は見えずとも
愛、変わらず
美しい大輪の花を
支えているのでした


花を美しいと
感じた分だけ

根をも美しいと…


私は自分の足元を見つめるのです

2007/01/03 (Wed)

[136] ばぁばと神社え〜るの神様
詩人:カナリア [投票][編集]

ジンジャーエール
あの夏ただの泡ブクとなって流れ落ちた
何ともまぁ
甘ったるい液体

あんなジンジャーエールってあるやろ?あれ飲みたいねん

じんじゃえ〜る?なんや神社の神様やけ?

…おぉそなもんや

あの夏
ばぁば騙して
手に入れたちぃちゃな缶
まるで宝石を握りしめるかの如く
誰にも見つからない様
走り込んだ茂みの中

プッシュワワワ-…

あれから幾年
渇いた喉が張り付いたように
ばぁばは
神社え〜るの神様に連れて逝かれよった

あの夏
ただの泡ブクとなって流れ落ちた
甘ったるい液体は
指に絡み付いて
一つ涙を落とす

2007/01/09 (Tue)

[137] 白昼月
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それはまるで
昼間に取り残された
白い月のように





居場所を求め
ポツンと浮かぶ

2007/01/10 (Wed)

[138] “そんな馬鹿な男”
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靴下の在りかさえ知らない

その靴下さえ自分じゃ履かない

馬鹿な男

そんな馬鹿な男に嫁いだ
馬鹿な女

口答えする事もせず
怠ける事もせず

よくもまぁ…
飽きもせず

馬鹿な男と暮らして50年

最期に遺した言葉は
「幸せでした」と。

馬鹿な男
声も立てずにボロボロ泣いて

馬鹿な男
「苦労ばかりかけてすまなかった」と。

謝るぐらいなら靴下ぐらい自分で履きんしゃい

本当に
馬鹿な男
馬鹿な男

そんな馬鹿な男に嫁いだ
馬鹿な女

そんな二人の間に産まれた馬鹿な娘は

これまた
馬鹿な男に嫁ぎます

2007/01/21 (Sun)

[139] 
詩人:カナリア [投票][編集]

この広い空の下

僕は
本当にちっぽけで

孤独なんて感じるには
おこがましいぐらいに

空に溶けてしまいそうだ


眠れぬ夜に
例え涙した
頬にさえ

気付く事は
誰もなくて

きっとまた
あっけらかんとした朝が来る

この広い空の下

同じような想いを
胸に
くるくる
くるくる
掻き交ぜている人は

どれくらい?

孤独を感じる事さえ
おこがまくなる

ちっぽけ過ぎる自分は

空に溶けて…
消えてしまいそうだ

2007/02/07 (Wed)

[140] 電信柱に片足で止まる雀の会話
詩人:カナリア [投票][編集]

生きるって大変だね。
え?
何?いきなり。

いや…たださ、飛べない人間を見て思ったのさ。

いや…たださ、しがらみの中の人間を見て思ったのさ。

いや…たださ、僕らより、ほんの少し、頭がいい人間を見て思ったのさ。


何て不自由に生きているんだって…。

今日のこの
青い空すら見上げずに

僕らが上で、こんな話しをしながら…

お前に糞でも落としてやろうか
考えてるっていうのにさ

気付きもしない

バカヤロウだな

おい、こっち向け。

下ばかり見てる人間には…なりたくないよな。

2007/02/15 (Thu)

[141] 生きてみようと思うの
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生きる事って難しいの
簡単じゃないの
お伽話じゃないの

なのに皆
どうして生きられるの

何かを食べたり
お金を稼いだり

簡単じゃないの

人を愛したり
子供を産んだり

簡単じゃないの

生きる事って難しいの

出来るならこのまま私

キエテナクナリタイノ…

でもね
生きたいと

願う明日は
そこに待っている気もする

だからね
神様が私を生かさせてくれる分だけは

必死に生きてみようと思う

2007/03/09 (Fri)

[142] 深黒
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私は黒か?
怯えてる

何にって
金の亡者だから

金を貧り
馬鹿みたいに
死に急いだ

私は黒か?
誰だって金が欲しいだろう?

誰だって愛が欲しいだろう

この世は金と愛が全てだ

だから私は
それが満たされない今

身体中に染み渡る
苛立ちに
悶え
悶え
悶え…
死にそうだ

2007/03/10 (Sat)

[143] 自由だー!!
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風邪引いて
何ヶ月も干してない布団に潜り
ガクガク震える体を丸くした

看病に来てくれる彼女もおらず
見舞ってくれる友達すらおらんことに気付かされ

具合は余計に悪くなった

怠い体引きずりながら
桃缶でも食べよう!

確かあったはず!!

戸棚を開け
手を伸ばした先に

…何かが触れた

もわっ…と言うのか
ベチョ…と言うのか…

得体の知れない感触が体を駆け巡り

この手引いて
その物体を確かめるべきか

それとも周りに
なすり付け
このまま無かった事として終わらせよか…

具合は余計に
悪くなった

2007/03/18 (Sun)
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