詩人:カナリア | [投票][編集] |
貴方の腹の中に
小さなポリープが見つかりました
貴方の大きな体に比べたらそれはそれは
小さなポリープでしたからまさか貴方の体を
食いちぎる程に
大きくなるなんて
思ってもみなかったのです
寒い冬が胸を切り裂く
二つの結婚指輪を
薬指にはめてみては
大きさが共わない金属が
カチカチ音鳴らして
俯く私を叱りつけるかのような
泣く私におどけて見せるかのような…
貴方が生涯愛し続けた
妻の元に
貴方が無事たどり着き
また二人
“やっと会えた”と
抱きしめあっているかのように
私の指に絡み付くのです
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花が咲きました
それはそれは
美しい大輪の花でしたのでひとつ
大きな鉢に植え替えようと黒い土から
掘りあげたところ
美しい大輪の花は
それはそれは
たくさんの根に支えられており
その根
新しい鉢へと
その身を委ねた
後もまた
黒い土の中
姿は見えずとも
水を吸い上げ
姿は見えずとも
愛、変わらず
美しい大輪の花を
支えているのでした
花を美しいと
感じた分だけ
根をも美しいと…
私は自分の足元を見つめるのです
詩人:カナリア | [投票][編集] |
ジンジャーエール
あの夏ただの泡ブクとなって流れ落ちた
何ともまぁ
甘ったるい液体
あんなジンジャーエールってあるやろ?あれ飲みたいねん
じんじゃえ〜る?なんや神社の神様やけ?
…おぉそなもんや
あの夏
ばぁば騙して
手に入れたちぃちゃな缶
まるで宝石を握りしめるかの如く
誰にも見つからない様
走り込んだ茂みの中
プッシュワワワ-…
あれから幾年
渇いた喉が張り付いたように
ばぁばは
神社え〜るの神様に連れて逝かれよった
あの夏
ただの泡ブクとなって流れ落ちた
甘ったるい液体は
指に絡み付いて
一つ涙を落とす
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靴下の在りかさえ知らない
その靴下さえ自分じゃ履かない
馬鹿な男
そんな馬鹿な男に嫁いだ
馬鹿な女
口答えする事もせず
怠ける事もせず
よくもまぁ…
飽きもせず
馬鹿な男と暮らして50年
最期に遺した言葉は
「幸せでした」と。
馬鹿な男
声も立てずにボロボロ泣いて
馬鹿な男
「苦労ばかりかけてすまなかった」と。
謝るぐらいなら靴下ぐらい自分で履きんしゃい
本当に
馬鹿な男
馬鹿な男
そんな馬鹿な男に嫁いだ
馬鹿な女
そんな二人の間に産まれた馬鹿な娘は
これまた
馬鹿な男に嫁ぎます
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この広い空の下
僕は
本当にちっぽけで
孤独なんて感じるには
おこがましいぐらいに
空に溶けてしまいそうだ
眠れぬ夜に
例え涙した
頬にさえ
気付く事は
誰もなくて
きっとまた
あっけらかんとした朝が来る
この広い空の下
同じような想いを
胸に
くるくる
くるくる
掻き交ぜている人は
どれくらい?
孤独を感じる事さえ
おこがまくなる
ちっぽけ過ぎる自分は
空に溶けて…
消えてしまいそうだ
詩人:カナリア | [投票][編集] |
生きるって大変だね。
え?
何?いきなり。
いや…たださ、飛べない人間を見て思ったのさ。
いや…たださ、しがらみの中の人間を見て思ったのさ。
いや…たださ、僕らより、ほんの少し、頭がいい人間を見て思ったのさ。
何て不自由に生きているんだって…。
今日のこの
青い空すら見上げずに
僕らが上で、こんな話しをしながら…
お前に糞でも落としてやろうか
考えてるっていうのにさ
気付きもしない
バカヤロウだな
おい、こっち向け。
下ばかり見てる人間には…なりたくないよな。
詩人:カナリア | [投票][編集] |
生きる事って難しいの
簡単じゃないの
お伽話じゃないの
なのに皆
どうして生きられるの
何かを食べたり
お金を稼いだり
簡単じゃないの
人を愛したり
子供を産んだり
簡単じゃないの
生きる事って難しいの
出来るならこのまま私
キエテナクナリタイノ…
でもね
生きたいと
願う明日は
そこに待っている気もする
だからね
神様が私を生かさせてくれる分だけは
必死に生きてみようと思う
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私は黒か?
怯えてる
何にって
金の亡者だから
金を貧り
馬鹿みたいに
死に急いだ
私は黒か?
誰だって金が欲しいだろう?
誰だって愛が欲しいだろう
この世は金と愛が全てだ
だから私は
それが満たされない今
身体中に染み渡る
苛立ちに
悶え
悶え
悶え…
死にそうだ
詩人:カナリア | [投票][編集] |
風邪引いて
何ヶ月も干してない布団に潜り
ガクガク震える体を丸くした
看病に来てくれる彼女もおらず
見舞ってくれる友達すらおらんことに気付かされ
具合は余計に悪くなった
怠い体引きずりながら
桃缶でも食べよう!
と
確かあったはず!!
と
戸棚を開け
手を伸ばした先に
…何かが触れた
もわっ…と言うのか
ベチョ…と言うのか…
得体の知れない感触が体を駆け巡り
この手引いて
その物体を確かめるべきか
それとも周りに
なすり付け
このまま無かった事として終わらせよか…
具合は余計に
悪くなった