詩人:カナリア | [投票][編集] |
あたし達終わってる
単調な“オママゴト”に
何処にもイケなくなった
あたしは
ただ彼の部屋の天井見つめて
その景色に
出たり入ったりする彼を
ぼんやり感じた
果てた彼の重みで圧迫された胃から
さっき食べたチョコレートケーキを吐き出さないようにするのが精一杯で
あたし達終わってる
その言葉も同時に
胃の中に押し込んで
また繰り返す
単調な“オママゴト”
きっとあたしはまた
何処へもイケない
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彼には空白の時間がある
彼が言うには
その時間は突然訪れるんだって
例えば床がボコボコとした岩場に見えたり
天井が下がってきて潰されそうに見えたり
頭ん中に音楽がガンガン流れて
それは凄い気持ち悪くて
でも何だか気持ちいいんだって
馬鹿じゃないの?
あたしはそう言って彼の背中を何度も叩いた
馬鹿じゃないの?
馬鹿じゃないの?
気持ちいい事なんて
あたしがしてあげるのに
あたしがおもむろに彼自身を口にくわえると
彼は切ない顔してあたしの頭を撫で
ごめん
と一言呟いた
お願いだからもう何処にも行かないで…
あたしは次の朝
有るだけの小麦粉を全部使ってパンを焼いた
有るだけの砂糖を全部使って林檎を煮詰めた
有るだけの塩を全部使ってチキンを焼いた
彼が惑わされないように
もう二度と彼がいなくならないように
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彼がボブが好きだって言うからさ
伸ばしてた髪をバッサリ切って
アンニュイな雰囲気で
これイケんじゃねーの?的な
一人鏡の前でポージングまでキメて
でもよくよく聞いたら
彼が好きなのはボブ・マーリーで
ボブ・マーリーをボブって呼ばねぇだろ普通って
友達にその話しをしたら
ボブ・サップじゃなくて良かったじゃん
って
あぁ本当に良かったよ…
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必ずベッドに潜り込むの
手探りでキスをしたら
部屋を暗くするの
なーんも見えない
ただの暗闇
明るくしてって言っても
あなたはヤダって言うから
あなたの顔が見たいのに
あなたの表情が見たいのに
どんな顔してあたしを愛しているの?
見えないから
あたしはあなたの
ご飯を食べている時の表情を思い浮かべるの
きっとご飯を食べている時のような表情で
あたしを食べているんじゃないかなー…
って
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君と初めて会った時
捨て犬みたいって思ったの
君に言ったら…
君は少し怒ってたけどね
あたし小さい時に
捨て犬拾ったんだ
茶色くてちっちゃいやつ
そいつ
近付いてくるあたしの事
こいつは敵か?
それとも味方か?
って不信そうにじーと見つめてた
きっと今まで辛い想いしてきたんだと思う
だからあたしはそいつに
ハッピーって名前付けたんだ
あたしはあんたの味方だよって
あたしがあんたを幸せにしてあげるよって
毎日ハッピーに伝えたんだ
ハッピー
意外とでかくなってびっくりした
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何でそんな別れ話のような話し方するの?
あたしを置いて
何処かに行くの?
お願いだから
何処にも行かないで。
何処にも行かないでよ。
せめてあたしが帰ってくるまでは
あの部屋であたしを待ってて
あたしの帰りを
ちゃんと待ってて
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彼はあたしを
依存物だって言った
“ ”よりも依存性が高くて
“ ”よりもいい感じに堕ちられるって
俺の大切な依存物でいてねって
あたしを抱きしめるその腕には
彼の名前の一部がぐにゃぐにゃとうごめいて
自由になりたいと
叫んでいる
あたしは知ってるんだ
この人との永遠なんて
ないんだって
彼があたしの事を
認識出来る時間が少なくなっていく程に
あたしのココロに刻みこまれる
タイムリミット
あとどれくらい?
あとどれくらい一緒にいられるのかな?
あたしが買ってきた
今年のカレンダー
9月の所に描かれてた
キリンの絵が可愛くて
彼と一緒にこのキリンが見たいと思った
永遠じゃなくてもいいから
せめてこのキリンが見れるまで
あたしは彼の
依存物でありたいと願った