詩人:カナリア | [投票][編集] |
今宵舞う
ガルティンの独り言は
ベルベットの帽子に集められた
赤い小さなクランベリー
嬉しそうな少女の指は
惜し気もなく
帰る道先
出会う皆に
その赤い実
分け与える
家に着く頃には
帽子は空に
焼けたCheeseTartは
彩り持てず
それでも
ベルベット注いでみれば
立ち込めるは
“優しさ”の香り
溢れ出すは
“愉快”な話
今宵舞う
ガルティンの独り言
道行く人が
集う小屋よ
ワインの樽さえ
音を奏で
囃し立てるは
スペインの情熱
今宵舞う
ガルティン
ベルベットの帽子には
愛を詰め…
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君が垂らしたリボンの
終わり
あの日巻き取った糸の
終わり
君と僕を張り合わせた
セロハンテープの白い
終わり
彼が泳いだ
海底40メートル
あの娘が歌う
優しさの終止譜
貴方が握り潰したのは
煙草の火種だったかしら?
人は誰しも終わりを求める旅人
寂しい半面
終わりは安らぎを…
人は誰しも終わりに向かう旅人
だからこそ
今を生きる
ねぇ?
もし君が
永遠を願い
終わりなき旅を
捜し求めるのであれば
ねぇ?
僕は君に
始まりを用意して待っていようね
終わりの後には
必ず“始まる”
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この海の始まり
岸に打ち続く波よ
お前は一体どこから?
あぁ 道よ
一体どこまで?
始まりはきっと
遥か遠く
僕は誰?
母から生まれ落ち
母は母から生まれ落ち…
誰が始まり?
誰が終わり?
僕はこの世界の途中経過
この海
僕が泳げば
波の始まり
この道
僕が走り出せば
そこはスタートライン
この僕
呼吸を繋ぐ限り
僕の始まり
そして
一度しかない
人生の始まり
今も始まり
いつも始まり
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オトナキセカイ
やがて暗闇
向かい合う客人
動く唇
オトナキセカイ
探した音源
切られたスピーカー
踏み潰された
黒のコード
オトナキセカイ
僕はここにいて
助けを呼ぶことさえできず
愛を語ることさえ許されず
オトナキセカイ
僕の耳に
君の声が届くことは
もうないから…
オトナキセカイ
どうか僕に触れてください
僕を見つけたら
どうか触れてください
オトナキセカイ
研ぎ澄まされた感覚
触れる事で
流れ出す
心(音源)からの
しっとりとした
優しいメロディー
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ウタビト休めるは
孤高の背中
旅先決めるは
昨夜の風向き
泣いたらええ
泣いたらええよ
濁酒に括り付けられし
油紙
浸す紫
焼けた匂い
泣かんでええ
泣かんでええよ
煤けた掌
撫で回されし
赤子の餅頬
乳母は眠り
ひめゆりは歩く
頑張んでええ
頑張んでええから
なぁ
ウタビトさんよ
ここに休まり?
葉っぱ一枚
焦がしていけぇな?
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懐き君の横顔が
ふっと視線を停まらせ
君の行く末見つめれば
幼き少女の
姿あり
僕は空を仰ぎ
泪を堪え
それでも溢れ出るは
君への想い
二人若すぎた
あの日の後悔
それでも
ねぇ?
微かな希望があるとすれば
君が僕に微笑んでくれる事かな?
それだけできっと僕は
空さえ飛べる
ここから進める
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ねぇ?いつかは皆
消えてしまうものなの?
もし明日と言う眩しい朝日に君の笑顔が溶けてしまったら…僕は
何を求めてさ迷えば
限りないものに出会えるのかな?
明日も必ず此処にあるとは限らない影が
夜の闇に吸い込まれて
どうか朝日よ
まだ奪わないで
まだ温もりを感じさせて
いつか天使が君を迎えに来るだろう?
わかっているさ
だけど後少しだけ
ねぇ?もし明日が君の旅立ちの日だとしたら…
ねぇ?君が生きたいと願った明後日を…
僕は君に恥じないように生きるさ
そう誓うさ
そう誓うよ
だから今夜は此処で愛の唄を…
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春が待ちどうしいのは…
なぜ?
花が色付き
日は照らし
春が待ちどうしいのは
なぜ?
野性は目を覚まし
静かに歩き…
春が待ちどうしいのは…
なぜ?
もうすぐ貴方と会えなくなるのに…
春なんて
春なんて
春なんて…
来なければいいのに
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赤いレンガの坂道
馬車が横切る
カラフルな市場
一輪の薔薇を
髪に滑り込ませる
その仕草に
一人の少女
滑稽な自分の姿を
照らし合わせる
指に纏わり付いた
糸引く想いを
少女は悩ましげにそっと隠した
ねぇ?ガロティン?
今宵眠れないのは…
誰のせい?
優しく語る婆やの手の掌
顔に合わない
小さめの眼鏡
子守唄は最大級の愛情
ねぇ?ガロティン?
今宵は寝てしまいなさいな
嫌な事は
すべてあの中
ガロティンが被る
クランベリー色の帽子の中よ…