詩人:柚 | [投票][編集] |
夢の奥深くで
眠っていられたらいいのに
静かな蒼に
囲まれ口ずさむ歌
風に乗ればいいと思うのは寂しさ
戸惑い 知らぬ内に流した涙は冷たく
ぬぐった手は白く震えていた
感じたことの無い温もりを求めるのは
誰も同じで
自分しか見えない旅人が
いつまでも彷徨い歩き続けている
ここにあるよと言ってくれれば
すぐわかるのになんていうわがままは
花が散るような思いと似ている
手を握ってほしいという願いは
流れ星に託す思いと似ていた
自分の足で立っているのが辛くて
誰かの為に生きたいと思った
支えたい思いと支えられたい気持ちがぶつかり
また涙ばかりが
泉のようにあふれ出るばかり
愛が愛で返されるのなら
どんなにいいことか
私が私であればどんなに楽か
叶わない思いは永久に輝き続け
いつまでもこの心を強く締め付ける
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孤独の空に見たのは
たったひとつの雲の影
嘘つきの横を
夜の風が走っていく
より速くを競い合いながら
どうにも入れない世界は
明かりのついた家のようで
外から見てる僕には
声と人影しかわからない
浸る孤独は星の輝きを誘った
街頭の下に行ってみれば
なにか暗いところが怖くて
結局はその場を離れてしまう
やっぱり違うのさ
違うのさ
僕は一人の夜をどう過ごせばいいのか
独り 悲しくなる
生きていけると思ったレールの上は
ある日突然不安になるものだ
消えてしまうから
以前にはもう戻れないのは知っている
もう引き返せない
立ち止まる ワタシ ひとり
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何年も前の
僕らの帰り道
懐かしさの風に吹かれて
青い竹の香りがした
光がちらほらと眩しくみえて
笑い声が今にも聞こえてきそうだよ
僕と同じぐらいの背丈の草に
向こうには大きな雲
息を切らした坂道は
こんなにも短かったっけ
もうキレイになっている
浅い学校のプールの水が
優しく囁いてくれているみたいで
一瞬だけ
幼かった僕に戻った気がしたよ
輝きばかり放つ毎日に
思い出が重なって
少しずつ道になった
振りかえれば
いつでもそこにある
大切なもの
小さな 小さな
大きな大切なもの
今でもあるよ
胸のなかに
このまま
幼い自分を連れて
懐かしの友に会いに行こう
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残された記憶の面影に
どこか取り残された感じのする
十字路の真ん中
何人もの知らない人が行き交う中で
自分の世界の狭さを知った
ただすれ違うだけの人に
もしかしたらあの隣にいたかもしれないという
妙な期待が
胸の中の涙をあふれさせようとする
後悔という逃げ道に
なぜこんなにも甘えているのだろう
自分はいつこんなにも弱くなった
知ってるさ
それは
本当に本当にずっと前
ずっと ずっと前
最初からだった
気付かないフリを
していたんだよ
認めたくなかったところが
今 大きくなりすぎた
そばにいてほしいものと
求めているものが違ったように
すべての世界が交差する
一度ぐらい
あの人のもとで泣いてしまおうか
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鉛筆で書かれた
消えそうなイニシャル
もう日に焼けたページは
昔の香りを感じさせる
まだ幼い字に
ふと笑みを浮かべてみれば
優しい温かさに
包まれた気がした
未来の僕の為の
たくさんの言葉
たくさんの気持ち
どうして忘れていたんだろうね
こんなにも願い望んだこと
今ではこんなにも遠くに感じていた輝き
昔の自分にありがとうを言おう
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声が届かなくなる
自分に
あの胸が熱く
こげるような感覚と
まるで無風の中にいる
静か過ぎる世界
現実とも夢ともわからないような
閉ざされながらも広がる
自分だけの世界
そんなところに唯一届くのは
空多角飛んでいる鳥の姿と
自身の鼓動
息を吐くごとに高鳴る
自分の鼓動
一度目を閉じて
もう一度開いてみれば
とても明るい景色が岐路がる
そして自分は一歩踏み出し
その明るい中へと
少しずつ歩んでゆく
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外はとても明るくて
青と蒼ばかり広がっている
風は木を揺らし
とても強く まるで歌うように
枝をしならせた
僕はそれを
何も無い部屋から見ていた
音すら聞こえないこの中で
僕は音を感じていた
一体自分はこの部屋で何をしている
世界はもっと広かったはずだ
この場所に存在しているのかも
不安に思えてきた中で
僕は外を見ていた
一つの赤い風船が
青と蒼ばかりの中を飛んでいく
きっと幼子が
放してしまったのであろう赤い風船が
僕の中に飛んできた
そんな気がした
まるで何かが生まれるように
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すべての夜明けに
白い花が咲き
太陽の光の向こうに
虹が かかる
夜露に濡れた
白い花びら
光に照らされて
七色に染まる
黄緑の葉が
まるで飴のように
優しく輝く色をしていた
ただ
ただ
そこにいるのは誰
ただ
ただ
立ち尽くしている
そっと手を伸ばすけど
届かない
せめて
声だけでも
届けたいけど
もう
わからない
わからない
夜露の色は
乾けば落ちてしまうけど
心の色までも
戻せはしないということを
今 知った
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風に誘われ舞う花の
中にいるのはただ一人
もう季節も変わるよと
言うほどに天高く舞う名も知らない花
ピンクというには優しくて
白とはいえない花びらが
蒼い空を彩りながら
輝いていた
もう緑も青々と
五月がやってくるよと
まるで最後を惜しむかのように
私に語りかけた
散りゆく名も知らない花の隣でほら
藤の花の紫がよく映える
さよならを言うには早すぎて
包まれた僕の姿だけが
とても異質なもののような気がして
朝の香りがいつも以上に
僕の中へと誘われてくる
足元で踊る花びらが
春のような気がして
歩みをためらわせる
またあえる日を信じて
別れを告げようか
また来年
僕は また出会う