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あぁ、
こんな話をする時は
やたらと口が渇く…‥
パンジーの花 安いね
あっちのは高いけど‥
クワガタ虫、いくら?
カブト虫は‥いらないや
お魚 一匹、おいくら?
まとめて買えば安いのかな
この豚肉 いくら
安売りはいつ?
あの 女は いくらなの‥
あそこの
ガラス張りの部屋の中から
国民に手を振ってる人のお値段
やっぱり高いのかな?
これ 全て命‥
‥命を見つめてみる
命は尊く 大事なもの
何物にも代えられない
大切なもの‥
命には値段が付く
命に平等など存在しない
飼育した命
養殖した命
栽培した命‥
食べたい物の
おいしいとこだけ‥
世界中のまな板の上では
永遠と声にならない悲鳴
死にたくないという届かぬ願い
お前らの
おいしい とこ だけ‥
いらない所は
下水に垂れ流せ
人類が生き残る為に
果てしなく永遠と‥
命は尊いもの?
地球よりも重いもの?
だから
感謝しながら食す?
笑わせるな‥
感謝で
むくわれるのか
つぐなえるのか
人類によって失わされた生命の全てに
もの言う口が付いてりゃ人間なんて
即・殺してしまえの大合唱さ
人は
食物連鎖の頂点だから?
おごるなかれ‥人類よ
お前が今
踏んでるアリにも
命はあるのだよ‥
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あぁ、
こんな話をする時は
やたらと口が渇く…‥
さあ 立ちあがれ
左手には拡声器
右手は固いこぶしで
天を突け
ポンチョには
動物愛護の四文字を、
胸を張って叫ぶんだ
大きく 息を吸え
二酸化炭素を撒き散らし
オゾン層を破壊しろ
同時にとなえろ環境問題
疑問も矛盾もありゃしねぇ
滅びゆかんとする種を見つめ
みんなの力で救うのさ
増えすぎたら
殺してしまえ
命の数を調整するんだ
バランスの問題さ
自分を捨てろ
群衆に飲まれろ
右へ習えの人生さ‥
矛盾と
疑問に
気が付く前に
動物保護を訴えろ
環境問題は
その次にでも‥
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教育番組にて
老人ホームを見つめる‥
私が思う介護のひずみ
介護士は言う
今日は
お化粧して
若返りましょうねぇ〜
赤ん坊を
あやす かのように
対応する口調
それを受けとめ
車椅子に座る
白髪の女性‥
歳は 八十の後半位、
ごくごく普通の老女‥
髪を整えられ
そして口紅をぬられる‥
口のききかたは
どうなの?
そんな行為が
本当に必要なの?
彼女は化粧を
望んでいないのでは?
介護する側
される側
思うところは
沢山ある‥
ゆりかご から
墓場まで
人として‥
私が老いた時、
何を望む?
どこへ向かう?
私の言う
老女と口紅。では
決して
明るい光景ではなく
ほほえましい
もの、でもない‥
ここに
介護問題に
興味は
あるけれど
もう一歩先には
踏み出せない男、
老女と口紅。
が いる‥
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子を望む日より
行く年数え
千里の道も
血
にじまんとする
その足で
神にもすがり
授かりし日の
歓喜の記憶‥
時
流れゆき
月
満ち足りて
大地の割れる
痛みにも似た
陶酔しゆく
意識の中に
この世に
せり上がる
この命
太陽を仰ぐ
双葉のごとく
今
喜びの産声を
高らかに
ここに あげらむ‥
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マリア
彷徨える
迷宮の時代に
60億の群衆が
あなたの足に
絡み付く‥
人は
我
先に地を這い
絶望の果てに
一筋の光を乞う‥
あなたの抱く子は
群衆の涙‥
癒しきれるはずのない
民の傷口‥
マリア
語らない声で
うつむいた瞳で
偽りのない
癒された心を
やさしい風にして
平等に
民に与えて‥
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夏、
‥カルピス
小学生の頃
夏休みに飲んだカルピス
懐かしく思う‥
虫取りの後に
プールの後に
宿題しながら‥
カルピス
思い出すね、
やさしい母親と夏の味
お母さん
薄いのは いゃ
薄いのは‥
シャビシャビ は
おいしくないから‥
お母さん
濃すぎるのも いゃ
濃すぎるのも‥
飲んだ後
何か白い固まりが
出てくる‥
あの タン にも似た
舌ざわりが、
とっても‥ ‥いゃ
それを飲み込むのは、
もっと いゃ‥
ちょうどよく、 ね‥
ちょうど‥ お母さん
カルピスの
水玉模様は 天の川
七夕の日に
願いを込めて飲むのです
母さん
いつまでも
元気でいてくださいね‥
カルピス
それは
やさしい母親と夏の味。
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そう
少女は自分に
素直すぎただけ‥
自分を守る為に…
自分が
傷付く痛みを
知っていても
他人を
傷付ける痛みは
分からない
少女に
足りないものは
何だったの
欠けていたものは?
見えて
いなかったものは
何だったの‥
精神鑑定なんて
必要ないさ‥
そう
少女は自分に
素直すぎただけ‥
自分を守る為に…
ただ‥
ただ
それだけ‥…
これからは
償いの十字架を背負い
生きて行くんだね
後はゆっくり
時が背中を押してくれる
後戻りは出来ないよ
もう
引き返せないんだ…
自己愛が
悪い訳じゃない
精神未成熟が
悪い訳じゃない
けれど
他人を
傷付けてしまった
罪の重さは
計り知れない‥…
また
今日もどこかで
幼い
未熟な心が
突如 牙をむく
世間は
こう言うのさ、
うちの子だけは
大丈夫だと…
家庭から何もかもが
うまく噛み合わなく
なってゆく
そして
家族は
きしむ
歯車のように
音をたて
崩
壊
す
る
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桃‥
老女の手に
ずっしりと重く
のしかかる
女の
尻にも似た
この肌ざわり
柔肌の
ピンク色はもちろん
表面に生えた産毛さえ
心地よく‥
重さを見ているかのように
おもむろに桃を上下させる老女
その手の下側では
秘め事が行なわれる
中指だけが
ゆっくりと果肉に
食い込んでゆく
桃の けがれない肌に
容赦なく
爪まで
食い込んでゆく…
ゆっくり
ゆっくりと‥
辺りに
だんだん立ち込める
魅惑の甘い香り
指を伝い落ちる
一雫くの愛液
目を閉じながら
しばし
官能の世界へと
墜ちゆく老女‥
不覚・
近すぎる背後から
人の気配‥
足元から延びる
もう一つの影
女性店員だ
店員は言う、
やわらかな物腰で‥
今
この時期の桃、
とっても甘くおいしく頂けますよ
ゆっくりと
桃を置きながら
老女は言う、
何食わぬ笑顔で‥
ホントおいしそうな桃ね食べ頃だわ、
手にするとよく分かるもの‥
でも また今度頂くわ‥
足早にその場を立ち去る老女
何げに 振り返る‥
するとそこには
桃を手に取る
老人が一人
目を
細めながら
品定めへと‥
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今日は
ただぼんやりと
つまらなく
そして
たんたんと過ぎた
昨日も
何もしない
何も生み出さない
一日だった
そういえば
一昨日も‥
ゆっくりと
確実に
時は過ぎてゆく‥
こんな
日々が
いつまで
続くのだろう‥
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悔やむ事も大切です
悩む事も大切です
そして
また
苦しむ事も
大切な事なのです
あなたが
人生を
素晴らしく
輝いて生きるも
くだらなく
むなしく
生きるのも
あなた 次第です。