詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
まだ見ぬ君が
読み終わったら
忘れてくれた方が良い
少し寂しいけれど
まだ見ぬ君が
本を閉じたら
止まっていた時間を
進めるようにと
眠る前に考える
まだ見ぬ君が
リアルの続きを
めくるキッカケに
なればと思って
次の話を書いている
一つ完成しても
続きが
山ほどあるのは
時を止めて
読んでくれる
まだ見ぬ君が
そこに居るから
詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
静かに口を閉じた
幼き君の
これからを
ソラに願うように
聖なるものに例えて
想像されるのは
どんな気分だって
答えるのはいつも
残された僕ら
夢でした
妄想でした
スミマセンでした
天国にも桃源郷にも
旅をするのは
幼き君じゃなくて
今になって
勝手に神様呼ばわり
はるか昔
悪魔と呼んだのも
やっぱり
僕らの方だ
その稚拙な唄を
称賛して
その高尚な歌声を
罵倒して
幼き君の
気を狂わせて
オモチャにして遊んだ
邪な人間達は
常に正しい側なのに
罪の意識を感じて
心地よく喘ぐ
辺り一面に
多量に含まれる
明らかにされていない
物体に
妖怪や天使と
名を付けて
幼き君と呼んだのは
あぁその通り
僕らだ
何を見ていた
何を聴いていた
その容姿は
その歌声は
幻だったのか
定かじゃない
幼き君は
大きく口を開けて歌う
白い肌を
汚れた多くの眼に
舐め回されて
自己を保てなくなっても
歌った
唄を歌った
リアルを
虚構に加工する
画面越しの
欲望を信仰する
僕らは知らない
本物について
君しか知らないか
それすら分からない
それでも
繰り返す
唄を歌えば、
詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
それならドアを叩きなよ
安易な称賛も
難解な抗議も
退けて放浪したいなら
裸足で駆ける気持ち良さ
知りたいのなら
ドアを叩きなよ
今ならまだ間に合う
刄を捨てて
早く叩けよ
詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
何を書いても
私が
見当たらないね
犯行声明の進行形を
赤裸々な生い立ちとして
綴ってるって
言うのに
誰
が
誰かって
クリックしても
実際に尋ねても
秘密が漏洩した時点で
醒めてしまう物語なの
やっぱり
甘くなくっちゃ
心を心と答えずに
間接的に
真芯を捕らえて
伝える技術をさ
美味しい謎に
置き換えて
人目に付くように
そっと
ちりばめる
終わらない
もどかしさが
物足りなさを
忘れさせてくれる
そう願って
死にたいとは
生きている間にしか
言えないと
誰かを名乗る
誰かは言ったけれど
伝わってしまうもの
君より後に
私が生きている限り
未完成のまま
永遠に
コピーされた
仮初めの痛みが
連鎖するよ
主体も糞もない
誰かが誰かの
続きを求めて
詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
透き通る位
白くて
触れると
壊れそう、を
包み込む
何もない欲求の黒と
人格の詰まれた
山の表面と云ったら
そんなものばかり
流行り拡がり
嫌われ外され
時代、時代に合わせて
見離され埋もれていく
素顔の仮面達
同じに見えるのは
仕方のない事だ
認められる感覚は
真似事を
模倣した錯覚に
酷似する影響で
君を歪ませたのが僕で
正確には
多重にある僕の
一つの局面に
君の面影が残っている
外より内に
人数を増やして
孤独を紛らわせるのが
当たり前な世の中
けれども
多面的に生きていても
使用頻度が高いのは
そのうちの五つか六つで
残りの使われない
僕や君の
一面一面は
陽の当たらない深海へ
頭から沈められる
僕等のこの会話を
何時何処で
誰が聞いているのか
知る由もないが
水面下で苦しむ
描かれない僕等を
幾ら想像しても
それは
君の中の一人について
自らを装う君が
妄想しているだけで
僕等の底まで
決して辿り着けない
流して読んで
忘れてしまう
僕等は浅く
残らず消える
それでもいいと
投げ遣りな態度で
記した我が子は穴で
受ける側であって
愛されない存在も
時には
背筋の凍る微笑みを
投げ掛けてくる
蛇の足を付け足す
無作為に増殖する
感覚を乱す偽善者から
心を閉ざして
無意味に迫る
現実を真実を
リアルを
時の差を超えて
この手に
詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
見えないものに
目を向けられない
だって見えない
興味があるのは
君だけだ
他には何も見えないし
見ようとも思わない
偏っているからこそ
君や僕に
僕や君が成り立つ
だから
君だけを見ている
詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
繋がれた鎖の先
ただただ
ただっ広いだけの
漠然とした未来しか
それなら
ヘッドフォンが欲しい
貴方の世界に閉じ込めて
赤い鎖の先
ぼけ〜っと
つっ立ってる
漠然とした失望が
それなら
せめて
今だけ
責めて
私を貴方に閉じ込めて
詩人:高級スプーン | [投票][編集] |
君は忘れろと言った
僕の知らない世界は
光に当たるものがない
何もないに等しくて
愛しいものを
ひたすら探す
無闇やたらと
探してみるけど
見失ってしまったのは
何だっけ
見たいものもない
見えるものもない
知りたいものもない
何も知らない
まるで一人のよう
光があっても
照らされるものがない
僕が見たいものは
何だっけ