詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
唾を吐く前に飲み込むな
二束三文ですら
見向きもされない作品が
日の目を見るまで
10の100乗年
この世が尽きても諦めるな
あなたの隣にいる大切な人すら
必要としない
その感性を愛せよ
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煙草を吸う場所がなくなり
子どもが遊ぶ場所も減った
美味しいものが増え
物価も税金も高くなった
変化する時代
頭を叩けば笑えていたのに
性的な言動や行為がお笑いだったのに
いじられキャラが面白かったのに
パワハラセクハラモラハラハラハラ
コンプラを武器に声を上げた人の数だけ
断罪される人や会社
古い慣習も体質も
これから変わっていくのだろうか
あの頃笑えてなかった人たちは
今どんな顔をして
SNSをやっているんだろう
みんなの応援より
ひとりの中傷が大きくて
一度のバズりが
その後の人生を大きく変える
大多数の加害者の一人なら
罪の意識も薄まるか
気付きもせずに罰を与え続ける
誰が殺した青い鳥
死刑よりも私刑へ
あなたがわたしを攻撃するから
反撃してやり返しただけなのに
最初は味方だった人たちが
掌を返して敵になり
何もかも晒されて
生きる居場所を失った
昔は良かったとは言えないが
今は良いとも言えないか
安易に発言しても
勇気を持って声を上げても
燃える時は燃える
拡散された影響で
威力を持った言葉たちを
受け止める覚悟と精神はあるか
息苦しくて生きづらいが
見ざる言わざる聞かざるで
やり過ごせない今
変化する時代に
私たちはどう生きるか
生きやすい未来へ向かうには
次に何を発信すればいい?
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初期衝動を拗らせて
時代が変わっても
変わらぬ夢を抱いてる
誰に笑われてもいいって
言ったって
お前自体もう笑えてないじゃん
才能がなかった
その上努力をしなかった
けれど
諦めきれなくて
あれもこれも駄目にして
気付けば
手に入れたはずのものも
何もかも全て失っていた
残り少ないお金で空腹を満たす
捌け口がないと過食して
急な眠気に抗えず
横になると全部吐いた
吐いても吐いても
すっきりしない
吐いて吐いて
リバースして
全部全部
ひっくり返して
これが正解だったんだって
どんでん返しはまだ来ない
覆らない状況に
先の見えない老い先に
期待はしない
夢もない
はずだが
拗らせた初期衝動が
未だこの胸で疼くのは
更年期障害であってほしい
出来れば明日死んでほしい
まだ
明日が来ると思ってるんだから
おめでたいよな
何ひとつ喜ばしくないが
今日死ぬ勇気がないので
夢を抱いて横になるしか
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ツッコミで人の頭を叩くのは
笑えないというクセに
ネットで叩かれている人を見て
口角上げてるのはキモいって
辞書を引くと言葉の意味が
昔習った時と違うような
しっくりこない感じが老いか
たった一人の中傷で重傷を負い
流言飛語に罵詈雑言飛び交う中
大多数の人間の前で謝罪をし
脱ぎ捨てた偶像を見て
本当の自分すら剥がしたくなる
欲のせいで全てを失ったが
欲がなければ夢も見なかった
その身勝手も暴力もだらしなさも
万人受けするいやらしさも全部
受け止めて愛して死ねたら
君を笑顔に出来たかな
どの道 叩かれて終わりだろうな
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ただぼんやりと部屋の窓から眺めている
寄せては返す波のような不安に
あとどれだけ付き合っていけるか
落ち着いてはいるものの
それは逃れられないと諦めているからで
心に真の平穏は訪れない
明るく振る舞うのは得意じゃないけれど
誤魔化せるくらいには笑えるしな
ある日突然姿を消したって
残された人たちは気付かないだろう
砂浜に刻んだ足跡ごと
ぼくを丸ごと飲み込んだ不安の正体を
繰り返される苦悩の来訪を
受け入れてしまうあなたなら
当たり障りのない範囲で共感し
一日くらいは感傷的になってくれるだろうか
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私から見えるあなた
その一面だけで良い
こっちを向いてる顔だけ
その一面だけ見えれば良い
耳に入るあなたは他人
教えられたあなたは
私の知らない違う一面
私の知らないあなたは他人
それでも入ってこようものなら
耳ごと削いでやる
多面的なあなたなど要らぬ
私から見えるあなた
その一面だけ
その一面だけで良いから
せっかくのご縁
どうか切れないでいて
最後まで信じさせてよ
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小さな幸せに気付き
それを拾うことが
生活だと言うのなら
昨日食べた夕食を思い出せないのは
昨日感じた幸せすら覚えていないようで
今までの人生は
5分と生きてなかったのかもしれない仮説
振り返ると壊れるような
薄氷の思い出だけが頼り
残りあと少しの命だとしても
未来のない未来には向き合いたくないな
握った救いの手がひどく冷たい
幸せを噛みしめたいのに
味がしない味がしないよ
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自分が全て正しいわけじゃないのに
相手の些細な間違いを指摘したくなる病気
社会のテストは得意だったのに
社会に出てからの本番には弱かった
間違いの多い生涯を送ってきましたと
偉人と駄目な部分を重ね合わせて
平静を保とうとする
目に映る景色が
その色彩がそもそも違うのに
間違いだらけの劣等生のレッテルは
駐輪禁止の張り紙と一緒に剥がして破り捨てた
名前だけ書いても点数は取れない
昇る陽の美しさを味わったあの日と
眩しくてウザく感じる日々は
同じ人の日記に記してあった
人生のどこかに幸せの頂点があって
それがゴール地点より始まりに近くても
ふりだしには戻れない
修正はできないが軌道修正はできて
答案を見返す勇気は今ならあるか
間違いを指摘された後に
反省して謝ることもできる
機会を逃さなければ
答え合わせで学ぶ処世術
みんなどこかしら間違っていたのに
何故自分だけがいつまでも正解しないのか
死んでないならまだ気付けるかもしれない
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悩みも痛みもないが苦しい
不安も恐れもないが虚しい
ぽっかりと空いた穴だ私は
空洞は拡がって
本当はもう
皮膚も臓器も骨も失っていて
人から見ればクリアで
鏡には映らず
自撮りでは映えない
何もないのに苦しくて
生きているだけでは虚しくて
SNSでお気持ち表明
すれど見向きもされず
されどそれに安堵し
投稿を削除する
何がしたいんだか
何かしたいんだが
何もないんだが
苦しい虚しい苦しい虚しい
心に声を当てるも
棒読みにしか聞こえず
見えていないのに
淀んで見える
これ以上続けても仕方がないと
言いながら続きを望んでる
途絶えない絶望の先を渇望
空虚なんだから
もっと謙虚になれよって
さっきから誰と喋ってるんだ
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空を何色で表しても良いじゃないか
それがアートだとお前は言うが
青い空は青以外無いだろう
夕焼けは赤く塗り
夜空は黒くする
用意された色を混ぜもせず
既存の感性で完成させた
この絵をお前は何と言う
誰も見ていなくても
法定速度をしっかり守って
敷かれたレールの上を走る
人並みの波風立たぬこの人生を見て
何と言う
誰に問う
見向きもされない人生の端っこで
腰を下ろして空を見る
あの空は何色か
青い空を青く塗り
星空に星を描く
私の描いた私の絵を
私だけが見ている
答は無い
何も無い
それでも描くのをやめなかった
それでも歩むのをやめなかった
私の人生