詩人:高級スプーンあと何年 | [投票][編集] |
ドラム式洗濯機の中の小宇宙
結婚して買って良かったもののひとつ
食洗機と並ぶあなたの裡で輪廻する
人類史と共に歩んできた恋愛ブーム
何度生まれ変われば
恋に落ち人を愛する行為に
飽きが来るのか
銀河の終焉
流れが緩まり
あなたは止まる
いつかすべてがきれいさっぱり
その時まで
見つめている
空いた手を膝の上に乗せて
回る世界を眺めるしあわせだ
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望郷と呼ぶにはまだ早いか
って
そんな
大していいもんじゃなかったか
きみとぼくと
あなたとわたしと
おまえとおれの関係は
誰にとっても良い思い出
じゃあないかな
けれども楽しかった
あの日々
だからよく来ていた
飽きずにまあよく書いたし
読んだよあれもこれも
知ってる人のも
気になった人のも
新しい順にも色々
老いはしないが若い文章
今とそんなに違わないか
古びてはいないが
ピカピカに輝いてはいない
その思い出
あの頃の毎日が
サザ※さんや
ちび●る子ちゃんの一日みたく
どこかで繰り返し続いていて
いつでもそこに戻れたらいいのに
いまも生きている人
ここにはもういない人
言葉を交わすことも
ほとんどなくなった今
ふと思い出す
出会ったのは確かだろう?
よく話した人がいた
一度も話さなかったけど
よく見る作品があった
それが思い出になったのは確か
何の部屋に居たかは忘れても
出会った人と作品は
振り返った時には
そこにいてほしいもんだ
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昔いじめられていたアイツが
今じゃ一躍 人気者
ローファイだって自虐する
時の人 笑う横顔 その時
キラキラの瞳に映ったぼくの顔は?
夕暮れも朝焼けも
夜更かしした君の泣き顔も
浮気したアイツも
レコードの針を落とせば
令和ではエモーショナル
チル散る満ちる
心に穴が開こうとも
ゆるく韻を踏んだ言の葉が
積み重なって塞いでくれる
ししししどろもどろ
ききき吃音 通らない
喉に籠もる声 舌っ足らず
何言ってるかわからない
死んでしまいたい気持ち
も だって ね
唯一無二の苦手分野も
一番の無個性へと上方修正
どん底にオートチューンをかけようか
流した涙の意味も
ネガティブ思考も
捉え方は囚われ方次第
わたしにはきみには関係ないから
解除 解放 開花 快感
今日ものんびり
まったりと
ゆるくはじよう
宇宙の端から見れば
ちっぽけなコメディー
特に何も
そうだろう?
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ぽつぽつと心象に落ちる
感情の発露
それらを雨音に喩えるには
タチが悪いか
良くはないから
ぴちゃぴちゃと
つつけば
無邪気に聞こえるくらい
大きくなって
言葉にできるほど成長する頃には
何かしら
わたしは病んでいる
重くのしかかるそれらを
掛け布団ごと払いのけることが
どうしてもできない
悪いことをしている
自分はダメな人間だと
否定的自虐的
ネガティブな気持ちに
心はどっぷり
溺れてしまって息ができない
つらい
スマホも人生も投げ出して
ラクになりたいと思い
それすら出来ないでいる
自分は自分を
追い詰めることにだけ
長けている人間だ
そういった考えに至り
くだらないと口角を上げる
笑っていると言えるのか
それでも効果はあるらしく
明けない夜はないらしい
晴れ間はなく
朝からどしゃ降り
気分はどんより
だとしても
明日には笑顔で
あなたと会えますように
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嵐がやってくる
その前に
花は蕾をつけているか
強かに穿つ雨風に
ひとつ残らず霧散する
誇らしげに開く
満面の笑み
危険を前にして
揺るがない灯火を
決意を胸に
あなたのように
短いひとときを
真っ直ぐに歌いたい
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たとえ落ちる音が同じでも
血液と水滴は違う
あなたは気遣いのできる人
いいえ
言葉の選択ができる人
指先は雄弁で
口数は少なく
本心を知ってほしい人に限って
考えていることが伝わらないでいる
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夢より重いものを持てない
小人たちは
現実では俺の手すら動かせない
あんなにも突飛で
サイケな物語
形作って見せるのに
現実ではとんと役に立たないぜ
何もしてないように
目に映るだろ
訂正
視界の隅にも入ってないね
小人はせっせと
望みどおりに形にしては
投影し続ける
とても陳腐な散り方で
目を覚まし
本当は
やりたいこと
いっぱいあったんだ
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延々と虐待の
動画を見せられているような
むごたらしい生だ
虐殺よりマシか?
測れるものか
剥ぎ取られたまぶた
避けて通れず
朝まで眠れず
眠りは浅く
起きても死体のよう
誰が何の為に?
創造も終末もない
想像上の死と引き換えに
誰の何の為でもない生を受け
虚しいけれど
否定的でも止まない声
うるさい
うるさい
うるさい
楽にさせてくれよ
なら
その血塗れの手はなんだ?
爪は剥がれ
真っ赤に染まる指
それでも
無い爪を立てて
もがいている
お前が私がお前が私
本当は苦しむのが好きなんだろう?
うるさい
だまれ
もうしゃべるな!
気が狂うまで
対話に苦しみ
痛み気が滅入り
それでも
誰でもない
虚構の屍を越えていく
死ぬまで苦しめ
苦しむのが生だ
止まない声はない
「私は死ぬから」
(お前は死ぬから)
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手を伸ばしても
根底までは届かない
流されていても
進んではいる
生きている間に
辿り着けない未来と同じく
生きてきた足跡も
始めの方は見えなくなった
後戻りも出来ないし
軌道修正しようが
思い描いた場所には
届きそうにないほど
道を外れてここにいる
すべて諦めてしまおうか
それがいい
それが幸せ
言い聞かせても
言うことを聞かない
手のかかる子どもがいる
お前はいつまで
ガキなんだ
大人になれよと
諭そうとする
俺は大人か
終わりが来る前に
区切りをつける
そうやって
いつも未完成のまま
夜な夜な世に出す
それがこれ
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とにかく
なんでも口に入れるから
困ったものだ
そのくせ
喉元過ぎれば
なんとかだもの
あなたは高いところが苦手
だけどバカ正直に笑う
世界は今日も平和です
そんなわけないのに
そんなわけないのにね
何十何百億年かけて
ここまで来たのは
わかっているけどさ
もう少し早く
より良い未来が来ればいいのにな
あなたはなんでも口にするから
すくすく育ち
あなたはなんでも口にするから
気持ちが良くて
あなたはなんでも口にするから
死んじゃった
口無しの死人
だけど化粧映えする顔立ちで
こんな時でも笑ってる