詩人:そほと | [投票][編集] |
目の前を這う
時を背負ったカタツムリ
物陰に身を潜めるように枯れ木が立つ
季節に耐える瀕死の枯れ葉と
北風にふるえる枝との
最もきわどい接点に存在する瞳の内へ
足元の小石が瞬間移動した
ガランとした空間の
何も無い所にぶつかり
干乾びた悲鳴
全てをゆさぶる
地割れが始まる
あちこちで始まる
追い詰められた子羊
イメージの内へ飛び込む
せっぱつまって創造した母なる海のイメージへ
が
すでに
蒼々とした生温かい羊水は無く
どす黒い干上がった海の底で
つぶれた
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ひまわりほど
光っていませんが
あさがおに
宿った露より
さわやかでした
おっぱいとおしりの
おっきなおかあさんは
鼻をつまみたいほど
母親くさい人でした
たんぽぽの綿毛で
おふとんが作れたら
年甲斐もなく
いやいや が
できるかもしれませんね
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「 ことばなんていいかげんなもんだ 」
それ なんとなくわかります
いろんな意味で
「 ことばはおそろしいもんだ 」
それは良くわかります
いろいろ経験しましたから
「 ことばっていいもんだ 」
そりゃそうです
声に出さなくってもね
〜で
「 かあさんのみそ汁は旨い 」
ってところに落ち着くわけだ
詩人:そほと | [投票][編集] |
青く透き徹る空いっぱいに
跳ね回る夢と
緑一面に広がる大地より
あふれ出る希望との二つが
あなたの胸に
こんもりと膨らんでいる
しなやかな身体は
風に吹かれるススキのように柳のように
白い肌は
光のつぶつぶがすり抜け
軽快な足は
右と左とで仲良く
追いかけっこしているし
両手は
空気の隙間にたわむれる蝶のよう
おまけにあなたの笑顔からは
ヒメジオンの香りする幸せが
こぼれている
あなたよ
明るい白日の光の中で
さらに まぶしく
まぶしく
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稲穂がね
金色に笑いかけるんだよ
僕も笑うんだよ
似合うね 似合うね
秋の陽のね
手にすくえるような
やわらかさがね
腰をおろして
足 なげだして
これはもう拍手だね
うん 拍手だね
詩人:そほと | [投票][編集] |
月
死者の魂のやすまる処
まだ生まれぬ赤子等の住む処
いにしえの人々よ
あなた方が
霊的直感で知りえた事実を
退化した私は書物で知った
犬神の一族が
月に遠吠えするのも
私が心淋しい時
胸を突き破って両腕を指し伸ばすのも
前世で縁の深かった
「いとおしい人」の
住むからではあるまいか
いにしえの人々よ
それにまちがいあるまいか
詩人:そほと | [投票][編集] |
何て云う生地だか
わかりませんが
薄くって 黒くって
おかあさんのぬくもりが
ぼくの肩に
伝わってきます
ぼくの肩と
おかあさんのふともものあいだで
スカートがこすれて
ジャッカフン ジャッカフン
木の下をあるいても
ジャッカフン ジャッカフン
ぼくが石につまづいたときだって
右手をひっぱりながらやっぱり
ジャッカフン ジャッカフン
うれしくなってくちまねしたら
にっこり笑って
ジャッカフン ジャッカフン
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私のまわりはイヤなやつばっかり
私のまわりはバカばっかり
サビた私がおもちゃ箱の底で泣いてます
本当の私を誰もわかってくれないと泣いてます
ギ・ギー・ツ・チッ・チキチキチキ
(自分の涙で自分の体はサビ付いた)
こんな醜い私はキライとまた涙を流します
私のまわりはイヤなやつばっかり
私のまわりはバカばっかり
呪文のようにくり返すくり返す
くり返すサビた私が
おもちゃ箱の底で泣いてます
ギ・ギー・ツ・チッ・チキチキチキ