詩人:そほと | [投票][編集] |
あなたのとばしたシャボン玉
そおっと
てのひらにとったら
きえました
あなたの
やわらかなくちびるに
そおっと
くちびるかさねたら
やはりあなたも
きえますか
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地面から空へとぶら下がる鎖は
風にチャラチャラと鳴り
赤サビの粉を飛ばす
黒い皮膚から滲み出す汗はしょっぱくて
目から溢れる汗もしょっぱかった
天に召されることまでも許されず
足枷のまま埋められた
鎖は天よりの引力に引かれ
ぶら下がり
死して
位相反転したその者
地中高く舞い上がる
最終到達地点は
月
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窓の外で
うぐいすが
歌をうたっておりました
それはそれは
やさしい歌でした
お礼に
あの人の名を
あげましょう
だから
明日もうたって
くださいな
わたし一人の
ためだけに
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ちぎった綿雪
ゆっくりと下界を眺めながら
気の向くままに下りて行く
草木の命に微笑みながら
山に降るやつ
畑に降るやつ
暖房の効いた屋根に降るやつ
どいつもこいつも
すぐ消えてしまうくせに
あの気ままで
清らかな笑顔はどうだ
やつらは知っているんだ
たとえ泥に汚れ消えようとも
また雪に戻れることを
純粋な命に
「ほろび」は無いと
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夜
降り出す雪のにおいが
朝の風に染みていた
さむさ坊主が肌に立ち
雪のにおいにふるえている
雪
朝には土を埋め尽くし
夜はその下に眠る
眠れる夜のために
バベルの塔より高く
螺旋階段をつくってやりたい
レンガを積んで
つくってやりたい
雪
朝には昨日の雪を埋め尽くし
夜はその下に眠る
眠れる夜のために
花を飾ってやりたい
あなたの好きだった
むらさき色の花を
枯れ枝のようだったその腕に
抱えきれないほど
雪
朝には昨日の雪を埋め尽くし
夜はその下に眠る
詩人:そほと | [投票][編集] |
朝がいつも
真新しいシャツを着て
ボクを起こしに来る頃
母さんはいつでも
先に起きていて
不服そうに寝ぼけまなこを
開いたボクに
「おめざめね」
と言いながら
大きなアメ玉を
口の中に押し込む
ボクはキョトンとした顔
してみせたけど
本当は知っていたんだ
起きぬけの
全ての幼児がそうであるように
目覚めの瞬間
母さんの温もりを感じられない
不安
あてもなく訴えるためだけに
ぐずらぬように
と
早く目覚めすぎたお腹の虫を
仕度ができるまで
だまくらかそうとしていることを・・・・
それでも
その時は
確かに幸福だったんだ
確かに
そして
今
朝は
昨日と同じシャツを着て
昨日と同じ手口で
起こしに来る
僕は僕で
長い長い夜を
眠ったふりをしながら
手ぐすね引いて待っているんだ
ヤツのシャツが
日一日と汚れ
擦り切れてゆく淋しさを
だまくらかすための
大きなアメ玉
口の中へ押し込んでくれる
やさしい手の無い事を
知りながら
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また来たか
コーヒーでもいれてやる
そう警戒するな
インスタントだ
粉と
粉と
粉と
水
水は熱してある
この湯気くらいは
俺の真心だから
とりあえず飲め
鏡の外の疲れた俺よ