詩人:そほと | [投票][編集] |
朝は
太陽に微笑み返す
夜は
月と囁き交わす
そんな川に
サケが帰ってきた
アユが帰ってきた
ホタルが帰ってきた
自然の摂理が帰ってきた
それは天地に満(みつる)親子の情
あおうえい
あおうえい
はよ帰って来いや
人
詩人:そほと | [投票][編集] |
かあさん譲りの良くしなる指が
みごとな みごとな おむすびを作る
塩だけでむすぶ
多目の塩でむすぶ
この見事な三角が私の自慢の一つなんだ
一人になって
じんわり味合う自慢なんだ
詩人:そほと | [投票][編集] |
俺は完全な黒だ
光を全て吸収するから黒
では無い
光を全く寄せ付けないから黒
なのだ
遊離した次元の断層
メビウスの輪に閉じ込められた宇宙
どちらにも居そうで居ない
19個目の死体
それが俺だ
俺の為の葬送曲なら
ブルースにしてくれ
それもムカツクほど
スローなヤツがいい
詩人:そほと | [投票][編集] |
きんかんの皮だけ食べるふしぎ
お薬だよって食べさせてくれるお婆ちゃんは
ときどき きらい
なんにも言わずに食べさせてくれるおかあさんは
ずぅ〜〜っと すき
ぶきっちょに中実までかじって
きゅ〜〜っとしかめた顔のぼくを
うれしそうに見ているおかあさんは
なんだか ふしぎ
甘くって おいしくって にがくって お薬で
きんかんの皮だけ食べる ふしぎ
詩人:そほと | [投票][編集] |
よりによって
よりによって一本の茎を
二人のかたつむりが渡っていた
二人は出会い頭に飛び出した目玉を
くねくねと絡ませた後
上と下に分かれて
何事も無く離合は完了した
後には
てらてらと光る粘液質の作り笑いが
音を立てそうな勢いで
乾いてゆく
詩人:そほと | [投票][編集] |
記憶の中の糸トンボ
目の奥の方に有る草の匂いが
額の裏側に
糸トンボ
蘇らせる
壊さぬよう
逃げられぬよう
幼くって
力加減の怪しい私
息を
全身を
緊張させる
あの
糸トンボの輝きが
幻ならば
せめて
透明な水晶体
取り戻したいと
願う