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そほとの部屋  〜 投稿順表示 〜


[91] 
詩人:そほと [投票][編集]

ここまで冬がやって来た
ヒュルヒュルと口笛を吹く
貴方は偉大な音楽家
黒いマントを広げ
私の頭を抑え付け
ミルクを冷たい雪に変え
パンを硬い石にした
憂鬱と云うテーマを与え
空腹と寒さと言う名の
二本のタクトを操り
病的な和音を創り出す
さらには
クルクルと踊りながら
人間の凍り付いた黒い血を
黒い器に集めて廻る
実に見事なワルツだ
私にもひとつ教えて頂けまいか



2009/01/31 (Sat)

[92] マーマレードの夜
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侘しい一人暮らしを
アパートごと揺らしているのは
木枯らし
こんな夜はマーマレードの夜なのです
昔々母の作ってくれた
単純に夏みかんの皮を砂糖で煮ただけの
甘酸っぱくてにがいマーマレードの夜の中で
千切れた恋の糸が
ひらひらするのです



2009/01/31 (Sat)

[93] 空き瓶
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食べ終えた苺ジャムの空き瓶に
苺農家の日に焼けたおばちゃんが居た
いっつも一生懸命で
いっつもいっつも真剣で
ふっと見せる笑顔がうらやましいから
どこか日当たりの良い所に置いて
キラキラさせようかな



2009/01/31 (Sat)

[94] 花言葉
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あなたの誕生花は
きんぽうげ
花言葉は

子供らしさよ と
瞳で笑う



2009/01/31 (Sat)

[95] 野いちごや
詩人:そほと [投票][編集]

野いちごや
つゆの宿れるつぶつぶに
神の愛もて
朝日かがやけ



2009/01/31 (Sat)

[96] 
詩人:そほと [投票][編集]

ヘッドライトの光の中
犬が地べたに寝そべっている
コンポからはマンボ・ナンバー・ファイブ
ヤツの目の閉じ方が
憎らしいのか
羨ましいのか
これからサウナ状態の部屋に
帰ろうという俺としては
両方だろう
アスファルトを外れ
地べたというところが
さすがじゃないか
俺もほっぺたを地べたにくっ付けて
太古の子守唄に眠りたいものだ



2009/01/31 (Sat)

[97] ゆびずもう
詩人:そほと [投票][編集]

冷たい布団が温まったら
指相撲がしたくなった
ぴこぴこ動かしてみるが
一人相撲だな

思い出せば
一日が井戸の水汲みで始まる生活に
かつて鍛えられた母さんの
指は強靭でしなやかで
押さえ込まれたぼくの親指は
ピクリとも動けず
他の手足がジタバタジタバタ
中学生の頃にはもう勝てたはずなんだ
父さんよりケンカは強かったんだから

冷たい布団が温まったら
ゆびずもうがしたくなったよ
母さんに一度だけ
勝っといてあげればよかった



2009/01/31 (Sat)

[98] 微 トラウマ
詩人:そほと [投票][編集]

せっけん箱が走った
洗面器が廻った
だからぼくは
お腹に吸盤をくっつけて
マブチ水中モーターのスイッチを入れて
銭湯の湯船に浮かんだんだ
子供の頭にだって進まない事は
分かってる
進むと思いたがってるだけって事も
分かってる
それでも進んだ進んだって大はしゃぎしたんだ
新しいウソを手に入れた後ろめたい瞬間だった



2009/01/31 (Sat)

[100] この木に
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この木に
毎年四季が訪れ
その都度
緑の葉っぱを
つけたり おとしたり
なんとも言い得ぬ匂いの花を
つけたり おとしたり
もう かれこれ数十年分は
コトバを蓄えてます

ねっ だから小鳥がやってきます
ねっ だから虫が冬眠します



2009/01/31 (Sat)

[101] ナマケモノ
詩人:そほと [投票][編集]

ボクは
自分の内宇宙の時間を生きるのに
忙しいんだ



2009/01/31 (Sat)
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