詩人:アイカ | [投票][編集] |
言葉が言えなくて
煙草の箱に
しまいこんだ
私は貴方を
独り占めしたかった
わけじゃないよ
貴方の中で
他に代わりのいない
人間になりたかった
ただそれだけ
必要とされたかった
ただそれだけ
コンタクトを
片方だけなくした
みたいに
どうせ
貴方もどっかへ
行ってしまう
そうでしょ?
ただ
必要とされたかった
それだけ
貴方の中の
たった一人に
なりたかっただけ
煙草の箱は
小さいから
すぐに
いっぱいになる
それも分かってね
いつか
溢れてしまうかも
それも分かってね
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アンタを初めて
見たのは
古びた狭い箱の中
スポットライト
その真下だったね
嫉妬の混じった
愛情を押さえられずに
踊り狂う
愛すべき馬鹿供の
合間から
音を奏でる両手に
どうしても
触れたくて
足を
引っ張られながら
舞台に這い上がり
音痴な男の
マイクをひっ掴んで
ブーツで舞台の下へ
蹴り落とし
真っ直ぐ
目を見て
ピストルズを
歌った夜
私の声に
興奮覚めやらぬ顔で
近付いて
キスをして
音痴な男に
“お前クビっ♪“
可愛く言った。
箱の中は
衝撃事件に
ブーイングと
声援の嵐で
どっかでだれかが
殴り合い
どっかでだれかが
オモチャの銃で
人を撃ってた
私には
そんなもん
無関係
隣にアンタが居て
ライトと
汗で光る
左耳のピアスが
メマイのするほど
綺麗だった
それは
壊れた夜
アンタと初めて
出会った夜
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あの時、たぶん
体半分
死んでたんだもの
先生は分かってなさすぎるんだわ
『貴方が心配なのよ。
いつでも相談して』
なんて…喜劇
鼻で笑ってしまう
どうせ貴方も
自分が可愛くて
アタシを綺麗な列に
戻したいってだけなんでしょう?
ちゃんと列に並べ
だなんて
所詮無理なお話
本当に
そうしたいなら
アタシを
産み落として
殴って蹴った
あの女に言っておくれ
苛立ちを
反発を
石にして職員室に
一人で投げこんだ
その日から
先生は
アタシの目を見なくなったわね?
ほらね
言った通り
アタシに
殺されるとでも
思いまして?
アタシが本気で
かまうな。
なんて言うと
思いまして?
寂しかっただけよ
心配に
慣れてなかった
それだけよ
あの時、たぶん
体半分
死んでたんだもの
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友よ
まだ行けるはず
アンタが
望んだ自由は
まだ
その手の中にある。
それが
腐ってしまう前に
前を向いた
フリをしな
それが
思い出と
呼ばれる前に
その頭に
叩き込んどけ
グダグダ言うな
靴の紐を
きつく結び直せ
友よ
まだ行けるはず
この道を
苦しいんだ!と
叫びながら
真っ直ぐ進め
馬鹿にされても
さげすまれても
涙を溜めて
上を見据えて
それでも
歯を食いしばる
そんな
お前が大好きさ
友よ
そんな
お前が大好きさ
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アタシが持ってるハズのない金ってもんを
笑いながら
巻き上げようとした
たかが一年だけ
多く生きてる
四人組
別に悪いこと
してないよ
毎日、下駄箱から
見てたそいつ等を
壁の側で見付けて
腹立たしかったから
たまたま側にあった
ナイフで
優しく救急車に乗せてやっただけさ
薄汚い社会が
この空を確実に
ツマらなくしてる
それが
震えるほど
感じられた時
アタシは
どうしようもなく
悔しくて、
泥色した
落書きだらけの壁を
足の折れそうな程蹴ったんだ
ユウシ鉄線を
噛みきって
兄ちゃんは
礼儀正しく
迎えに来てはくれたけど
まがり角まで一言も
話さなかったね
『ほどほどにしとけよ。』
そんなけ言って
街角で別れた
夜はこれからさ。
今から一体どこへ行けって言うんだ
アホ兄貴
死んじまえ
くたばっちまえ
お前等全員
目ざわりなんだよ
死んじまえ
全部消えちまえ
アタシなんて
いらないんだからさ
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そんな目で
みるんじゃないよ
酔った息で
コップを投げる
真っ赤な爪の
綺麗なお姉さん。
いつまで
そこで泣いてンだよ
クソガキが
そう言って
わざと足を
踏んずける
…痛いじゃん。
出ていこうとすると
泣きすがる
母さん寂しいんだよ
アンタが居ないと
生きていけない
…だったらなんで
…だったらなんで
ご飯作って
なんて一度も
言ったことないだろ
ボタンつけて
なんて一度も
言ったことないだろ
早くマトモに
戻ってよ
そんだけでいいから
早くお酒から
覚めてよ
もう…
そんだけでいいから
アタシは貴方の
所有物ですか?
もしくは
飼い犬ですか?
拳じゃなくて
言葉で話せ
クソババア。
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近所のおばあちゃん
いつもアタシを心配してた
夏になれば
アザと根性焼きが
生々しく
袖から見えて
挨拶もろくにしない
薄汚くて
生意気な子供だった
私なんかを…
おばあちゃんは
一日も休まず
毎日神社を
掃除してた
初めて
おばあちゃんを見た時には
すでに右手の指が
全部無くて…
聞いたら
小さいときに爆弾で
飛んでったって
笑ってた
本当かどうか
分からないけど
それでも
ホウキで毎日
掃除をしてた
『ご飯食べたの?』
『食べてない』
『じゃこれもっていきなさいよ。』
あんぱんくれた
おばあちゃんは、
笑わない私に
いろんな事を教えてくれたんだ
空はなんで青いのか
鳩はなんで飛べるのか
昔の歌や
戦争の話
おばあちゃんは
独りで、
私も
独りで、
独りと独りが
一緒に居たら、
二人になるって
だから
寂しくない
寂しくなんてない
寂しくないけど
涙が出たんだ
おばあちゃんの手は
暖かくて
しわしわで
素敵だった
『おばあちゃんね
老人ホームに行くの
だから、貴方とお話するのも今日で最後』
ずるいと思った
私も一緒に……
ってそう言ったら
おばあちゃんの
小さい目が泣いてた
寂しくなんてないよ
二人だもんね
蝉が鳴いて
うるさくて
耳が
千切れてしまいそうに痛かった
赤いランドセルが
強い光で潰れてた
二人で泣いたのは
そのせいだもん
寂しくない
寂しくなんてない
それは夏の暑い暑い日
神社の木陰の
しわしわの思い出
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五月蝿い
少し黙ってよ
頭の中では
反乱勃発
罵り
侮辱
憎しみ
それは
究極の愛だと
人は言う
奴の言葉が目から
入る度に
彼女は言う
そんなもの偽善だ
お前は誰にも
愛されない
五月蝿い
少し黙ってよ
頭の中でも
苦しみもがき
どうか助けて神様
ふざけるな
神様なんて居ない
どうか助けて貴方
気付けよ
奴の優しさは偽善だ
私の半分
私のかたわれ
せめて名を名乗れ
頭ん中に
住み着いた悪魔
最後まで私は消えない
お前と違って
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感情を上手く
説明できないから
唄うのさ
意味なんて元々
ありはしないから
アタシの存在
最高の冗談
アタシの言葉
駄文の珍列
吐気がするんだ
最高潮に
この頭で
いったいいつまで
待てばいいのさ
叶わない
叶わない
この望みを
届かない
届かない
この思想を
いったいいくつ
殺せばいいのさ
叶わないのなら
その指で消し去って
くれないか
きっと、
さっき食べた
夢の続きが
腐ってた
貴方にとったら
たぶんそんな
ちっぽけな事
私が消えても
きっと気付きも
しないくせに
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こんな私に
同情などいらぬ
心配などいらぬ
所詮関係のない事。
そうでしょ?
だって私は
最初の最初から
カヤの外の
人間だものね
貴方とあの人の
事など
まったく
知らないんだもの
あの日現実を唐突に
突きつけられて
私にどうしろと言う
おつもりだったの?
求めるのならば
与えてよ
諦める前に
全て教えてよ
私はあの人の様に
強くはない
大きくもない
どうしようもない
駄目な子さ
最初から
分かっていたはず
今更何をしろと
言うの
分からないから
教えてよ
大人なんでしょ