詩人:白茹たま | [投票][編集] |
虹は見えない
灰色一色の空 見上げよう
どうしてかな こんな暗いのなら
いっそ 総て流してよ
冷たい雨に
心と身体洗われて
も一度一からやり直したいんだ
刺さった棘も総て
切れた頬を撫でて
じきにこの灰色の世に染まるのなら
早くぼくも蝕んで
雨に冷やされた心を温めて
後悔はしないさ たとえ
君が手を汚そうと ぼくは
君が笑っていればそれでいい
やっぱり虹は見えないね
詩人:白茹たま | [投票][編集] |
雲は白い
僕は蜘蛛
同じ音なのにまるで違う
ふわふわと優しい雲
獲物に食らいつく蜘蛛
空を見上げ虚しくなった
僕はできれば食べたくないんだ
君らとだって仲良くしたいさ
だけど本能が
僕を蝕んで 離さないんだ
嗚呼 僕は僕は
真っ白な雲になりたい
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寝ている君
ぼくは近所迷惑に
小夜曲
音痴なのは仕方ないだろ?
お願い振り向いて
無視すんなよ
起きてるならこの歌
聴いてくれ
お伽話のように
"まぁ 素敵"
なんて姫さま
出てきてくれたらな
幸せに違いない
なんでもするから
振り向いて!
ぼくは幸せもんだ
奇跡みたいで
君は寝起きの顔で
目擦ってる
ぼくは歌う
君の為に
"うるさい 近所迷惑"
君はぽつりそう言った
ぼくは少しばかり
傷ついた
だけど
可愛いな 君は
顔が赤い
素直じゃない君に
小夜曲
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物語には終わりがある
私は終わるのが怖い
だからいつだって
to be continued
幸せでありたい
そんなこと願ったのは
幼い日のこと
苦しみを背負うのは慣れたから
私は永遠に続く物語を
製作中である
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近所迷惑だわ
今日も彼は歌う
小夜曲
音痴なのよ ばか
回れ右しなさい
無視してやるわ
寝てるふりして だけど
聞こえるへたくそな歌声
お伽話みたいに
"まぁ 素敵"
なんてあたしが
言うわけないじゃない
さっさと帰ってよ
あたしのためを思うなら
そうだ 言ってやりましょう!
窓開けて彼を見下ろす
とにかく眠たいわ
彼は煌めく笑顔で
手を振ってる
あたしは言う
あたしの為に
"うるさい 近所迷惑"
あたしぽつりそう言った
地面見つめて
傷ついた顔するあいつ
別に
照れているわけじゃない
今日は熱帯夜だわ
へたくそな君の
小夜曲
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仮面で隠せ
自分であることを隠せ
仮面舞踏会 踊る俺たちは
自分であって自分でない
仮初めの恋には堕ちぬように
なんて
俺は掟を破ってしまった
嗚呼 仮初めの恋
君の素顔が見たいんだ
仮面の下 君の素顔
優しく髪撫でても
君は静かに首を振るだけ
好きだ
好きなんだ
優しく抱きしめる
拒まれる
あは は
君は真面目だ
また優しく抱きしめる
また拒まれる
いつになったら愛してくれる?
今日もまた
手を合わせ 仮面舞踏会
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あなたは今何をしてゐますか
私はあなたを想ひ
静かに夜想曲を唄ってゐます
枕を涙で濡らすのにはもふ飽きましたが
けふも濡らすこととなりました
月が見ゑますか
けふは美しうござゐますね
望月でござゐます
こんな夜には涙が似合ひませんね
あなたは何を想ひておりますか
あなたも誰かを想ひ
涙を流すことがありませうか
そんな時は私を頼つてくださゐね
片想ひなら得意分野ですので
あなたが振り向くこと
無さそふですので
せめてふたりで恋の話に
花を咲かせませう
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ふと顔を上げたら君と目があったので
不覚にも頬は染まるものです
その度 好きなんだと思ってしまいます
ですが
大丈夫です 気にしないで
私は感情を表さないヤツなので
心にとめておきますから
目が合うって怖いですね
私は苦手なほうですので
格好いいだとか
そんなこと思う暇さえなくて
どきん
高鳴る鼓動を抑えつけるだけよ
私 好きだなんて言わないですので
ただ
胸の奥に仕舞わせてくださいね
詩人:白茹たま | [投票][編集] |
白い病室
声を失った彼女
ひとりで 涙流してた
僕は知らないフリをしたんだ
もう長くない
そんな言葉聞きたくないよ
僕は信じないよ
君の声 も一度 聞かせてくれるまで
いても立ってもいられないさ
僕は君の背中 強く抱きしめる
繋がれた心 離れないように
咽び泣く君の指先
震えるその指先
弱く握られていたマリーゴールド
"生きる"
いつか聞いた
マリーゴールドの花言葉
大丈夫だよ
僕が君を守るから
泣かないで
いつまでも抱きしめるから