詩人:umi | [投票][編集] |
朝
8時前に部屋を出る
下を見ながら歩くから
すれ違う人が
男か女かわからない
制服に着替え
笑顔を作り
つつがなく仕事を終え
お疲れ様
と誰にむける訳でもなく
声をかける
暗い道を
何も考えず
ただひたすら足を動かし
誰もいない部屋に帰る
し−んと静まった家には
ただいま
と言っても返事をしてくれる誰かもいなくて
それが当たり前で…
何となく夕食を作り
テレビを見ながら食べて
後片付けもそこそこに
お風呂に入って…
今日の一日が過ぎて行く
幸せでも
不幸でもない
ただ24時間を淡々と
淡々と生きている
今日本気で笑ったかな?
今日夢中で語ったかな?
こんなもん
私の一日
こんなもん
だけど嫌じゃないから
また明日を同じ様に
生きていけるかも
淡々と淡々と…
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けい君は
まだ10代の少年だった
彼の綴る言葉は
優しさにあふれ
透明感があり
純粋だった
けい君は
多分不器用で
でも
一生懸命で
素直だった
少しづつ
大人になるにつれ
苦しみや
切なさや
疲れが言葉に現れ
しばらくすると
無為 虚無感 が
漂うようになったよね
見かけなくなって
ずいぶん時間が経ったよ
まだ
一人ぼっちの部屋で
膝を抱えて俯いているの?
それならいい
生きているならいいんだ
ただね、強烈に
思い出すんだ。
君がまだ10代の頃
この部屋で書いた
笑っている言葉達を。
ほんとに
優しい少年だった
その優しさが
痛々しく見える時があって…
その優しさ故に
つぶれてしまわないかと
心配してたんだ
けい君が
また言葉を綴ってくれるのを待っているんだ
これから先
何年でも待つつもりだよ
けい君の言葉に癒され
泣いて浄化され
けい君を見てきた私は
もう一度
君の生きた詩が読みたい。
君の生きた言葉が見たいんだ。
いつか
お帰りなさい
って言わせてね。
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その瞳には
友達や先生が映っていた
んだね
その握り拳には
不安と恐れが
包まれていたよね
先生が名前を呼んで
みんなの名前を呼んで
みんないるなと思った時
君達は流されて
しまったんだね
その
大、中、小の
手の平にあった
小さくてもキラキラした
未来もすべて
あの日
あの時
あの場所で
失ったんだ
ごめんね
今だに何にもしてあげられなくて
君達は大人の言う言葉を
信じて
従ったのにね。
ごめんね
今でも心が痛むよ
2011年 3月 11日を
語りついで行くよ。
無防備な子供達さえ
連れ去った神様がいた事
も一緒に
語りついで行くよ。
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その小さな手で
私のほっぺに
触れてくれるの?
その小さな足で
私の膝の上を
ピョンピョンと
飛び跳ねてくれるの?
ニコニコと笑う
小さなお口の端から
ダラダラとこぼれる
そのよだれを
私のお気に入りの服に
たっぷり落としても
汚く思わないんだよな
もしかして
数えられそうな
その薄い薄い髪の毛に
ふうっ って
息を吹き掛けたら
驚いた顔が笑えるんだけど。
そのおしりの
青あざは
神様の
「下界に行って幸せになりなさい」
って印しなんだよね。
おしりをぎゅうっと
つままれて
慌て生まれて来たんだね
赤ちゃんの存在は
ただそこにいるだけで
私を幸せにしてくれる
愛しい彼の赤ちゃんを
生みたかった。
彼と一緒に赤ちゃんを
育ててみたかった。
子供を産むだけが女じゃないけど
産めなくなったら
女
終わりかなぁ…
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送り火を終えて
ゆっくりと
帰って行く
66年前から今日の日まで
貴方方の
命の犠牲で
今私達は生かされています。
愛する人や大切な親、兄弟に別れを告げて
旅立った日から
平和の道が開けてきました。
私達は今の社会に不平不満をぼやきながら
でも幸せに生きています。
また来年
迎え火を焚きますから
戻って来てください。
私は終戦記念日を
忘れません。
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何度もお願いしたよね
横に並んで
歩いて行こうって。
うん、うん って
貴方は返事するけど
やっぱり私の前を
歩きたかったんだ
上から目線はいやだよ。
上目遣いの睨んだ様な
顔で貴方を見たくなかった
肩を並べて
同じ高さで話し合って
いきたかったんだ
生きてきた環境も
今の立場も
みんなひっくるめて
好きになったんだよね
三年かけて
やっと歩み寄れたのに
私の「逢いたい」の一言
初めて言った我が儘
その日
心の中で
何かがはじけて
崩れていくのがわかった
貴方は私の何処が
すきですか?
貴方は私の何を
知っていますか?
重ねた手は
振りほどけるけど
重ねた日々が
愛おしくて
やりきれないんだ
今日
貴方が置きっぱなしの
荷物
段ボールに詰め込んだ
明日はゴミの日
朝目覚めた時に
勇気がありますように。
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朝、目覚めと共に
2階の窓を全開にし
双眼鏡を片手に海を見つめ
「うん」
とうなずいている。
朝ごはんを食べたら
何にもすることなくて
テレビの番をして
それでも時々
花に水をやり肥料を与え
満足そうに
「うん」
とうなずく
寝る前に
またしても2階の窓を
全開にし
双眼鏡を片手に
海をみつめる
そうして
大きく
「うん、うん」と
うなずき
一日が終わる。
漁師だった父は病気をして陸人になった
でも心はいつまでも
海にあり
海と生きる
明日も
次の日も又その次の日も
自分は海の男と
自負しながら
眠りにつくだろう。
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枕に耳を当てる
どくんどくん
心臓の鼓動
嫌々ながら行く仕事で
言われた言葉も
血流に乗って
リピートされる
瞬きもせず
それを聞いている夜
明日は来ないと
本気で
思いたい。
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知らなかった。
貴方がこんなに弱い人だなんて。
知らなかった。
貴方も涙流す事があるなんて
知らなかった
貴方も後悔する事あるなんて
よかった。
私と一緒なんだね。