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夜勤をしていると
真っ暗な診察室から音がする
あぁ今日も誰かが診察に来て居るのだろう
2年前に死んだナースが死んだ事も理解出来ずに働いているのだろうか
姿形はみえないけれど
夜の外来には痛みや苦しみを抱えた患者が
死んでなお受診しているようだ
永遠にその場面を繰り返すのだろうか
機械棚の戸が開いた音がした
私は静かに自分の仕事を遂行する
2年前に死んだナースも静かに仕事を遂行しているのだろう…
空が明るくなりかけた頃
診察室に静寂が漂う…
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ゆきあは五才
瞳が大きくて
ほっぺがぷくぷく
誕生日には自転車が欲しいらしい
ゆなは3才
ブスだけど可愛いい
お歌がじょうず
でも何を歌っているのか解らない
彼らは今日も良く食べ良く遊びスヤスヤ寝る
大人の汚い所を見ないでいでね
神様はほんとにいると信じていてね
泣かない明日がこの子らにきますように
小さな心が傷つきませんように
牛の神様
今年も宜しくお願いします。
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自分が思う程の気持ちが返って来るわけでもなく
だからと言って諦めてしまった訳じゃない
ほんとにたまにメールをしてくれて
ほんとにたまに女と見てくれて
ほんとにほんとにまれに「好きだよ」
と言ってくれたらいい
たったそれだけで待つ事ができる
たったそれだけで満たされて溶けてしまう
たったこれだけが私の生きる糧…
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あなたが泣くから
私は泣けない
あなたが甘えるから
私は受け入れる
「お前は優しいから」
その言葉が私を強くした
何も変わらない現実に
休める止まり木もない
私を好きだと言うくせに大切なものは自分
「強くなってよ」って言ったら「うん」といった
その言葉が信じられず
メアドも電話も削除した
私のほうが空っぽになった。
本当は彼の方が強かったのかもしれない…
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慈しみ深き我が友イエスは…
罪 咎 憂いを取り去りたもう
それならばここに居る彼らのそれを流して下さい
彼らは見えるもの
聞こえるもの
感じる事が嘘か誠か分からない
苦しみの中に真実を求めて同じ所をグルグル回る
などかはくださぬ負える荷物を
ならば彼らの背にある物を羽に代えてください
その重さに足取りはたよりなく今にも倒れそう
神様がいるのなら
彼らは泣く事も無いだろう
彼らはいつも泣き出しそうな顔で息をしている
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洗面所の鏡の前で髪をとく女
入口の陰からのぞいてる彼の幻視
ありがとう。僕も好きだよ。
ニコニコと微笑み頷いているのは彼の幻聴のため
僕は幸せになっていいの?
彼女と2人なら生きて行けそうな気がするんだ。
そう言ってまとめた荷物の中身は枕とパジャマ
何処に行くの?と尋ねたら
彼はひとしきり考え黙ってベッドに横になる
そして現実に気付く
鞄の中身を取り出しながら、ポロポロと涙を流す
彼の愛する人は彼の頭の中に生きている
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廊下に
足跡
たどって行ったら
大きな穴
油断してたら突き落とされた
廊下に
足跡
たどって行ったら
中位の穴
のぞき込んだら落ちてしまった。
外に続く足跡
たどって行ったら小さな穴
そこに落ちた人達は
天を仰ぎ助けを求める
神様がくれたものは
睡眠薬
精神安定剤
今日も誰かが
足跡をたどり穴に落ちる
蜘蛛の糸なんか垂れてこないと知りながら
天を仰ぐ
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「私の赤ちゃん」彼女は縫いぐるみを抱く。
「明日には大金が入る。誰にも言うなよ」彼は一昨日もそう言った。
「テレビのアナウンサーが言うんだよ。僕は天才なんだって。隠していたのにばれちゃった」
彼らは水を大量に飲む。カエルの様にお腹を膨らませて歩く。
彼らは恐れと不安の中で生きている。
その膨れたお腹がはじけた時、きっとほんとの自由になるのだろう。
彼らは今日も水を飲む。早くお腹がパンクしないかと待ちわびながら…
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患者さんが手を差し延べた。
私は何も出来ない。
心が真っ黒で博愛の精神なんかいつの間にか何処かに置き忘れた。
それでも患者さんは私に手を差し延べる。
ただ涙がでるだけだった…
こんな私が看護師していていいわけない。
自分の心さえ救えないのに…
患者さんはそれでも私に手を差し延べる。
まるで何もかも見透かしていて
全てを許してくれているように…