詩人:綾 | [投票][編集] |
霞んでいた春が
雨に降られて
透明になっていく様を
私は窓越しに見ていた
あの丘にはもう行かない君と見つけた場所だから
すべてが流れたら
私は日差しを浴びよう
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つないだ約束を残したまま
季節はひらりと捲れていった
あふれていた思い出は
夏の終わりのように
胸を掠める風にかわる
人気のない道の上に
明るく佇む自動販売機
君が好きだったレモンティーを
一口だけもらうのが好きだったっけな
未練でもなく
弱音でもなく
優しく交わる時間に出会っただけ
月がきれいな夜だから
ほどけた約束は
僕の知らないところで
そっとつないでくれたらいい
君の幸せは風の便りで
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夏の先端に触れて
火傷しそうになったとき
夕立が言葉をさらった
私を責めたのか
私を守ったのか
どちらでもないのか
全力で降る雨に
立ち尽くしていた
勝てなかったんだ
少し大人になったせいかもしれない
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私は右の耳で恋をしている
君の声で笑ったり
君の声で泣いたりしている
短くした髪も肩について
君と会う時のために買った服も
季節外れになってきた
甘い恋をするために
誰かを好きになるわけじゃない
弱音を吐いても
この胸の音はいつも素直
私は右の耳で恋をしている
君の声に支えられたり
君の声にほっとしたりする
いくつもの寂しい夜を数えて
思ったことを言葉にできても
どうにもならない時もある
淡い恋だったなら
誰かを好きになれたかもしれない
そんなこと言っても
この胸の声はいつも素直
君を想っては
会いたい夢をみてる
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君がくれた消しゴム
今も机の引き出しの中
小さな恋の昔話
君がベランダに行けば
友達つれてさりげなく
そばに行こうとしてた
君が誰を好きか
誰が君を好きか
夏の廊下を伝って届いた噂に気をもんだりした
おはようとばいばいだけで精一杯だった15の頃
君を見つけるのが得意だった片思いの話
毎日同じ制服を着て
決まった席について
時間割りに沿って
そんな教室の隙間にある密かな恋の昔話
半分くれた消しゴム
今も机の引き出しの中
あの日々の宝物
小さな恋の昔話
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茜色の空に
子供の声が重なって
二人でいたくなった
人恋しくさせる秋風に
飲み込まれてしまうよ
束の間の幸せは
留まってくれないから
また寂しくなるよ
中途半端な気持ちは
もう要らないから
恋も愛も私にくれないかな