詩人:綾 | [投票][編集] |
子どもみたいに
綿毛を春空に飛ばして
遊びながらも願った
君とたくさん一緒に
いられたらいいな
暖まった空気に
風が柔らかく吹いている
君の髪が揺れている
幸せに触れそうな気がした
君の名前を僕が呼んだ
僕の名前は君が呼んで
遊びながらも願った
君とずっと一緒に
いられたらいいな
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誰かが読んで売った本が
今日から私の本になった
私の知らない誰かは
何を思っているんだろう
何か思っているんだろう
すれ違うこともなく
泣いてるかもわからないけど
みんなどこかで暮らしている
青い空はページを捲るように
夕焼け色に染まっていった
また同じ唄を口ずさんでみる
またこの道で君を思っている
好きになって次第に馴染んで
いつか懐かしんでいくことに
気付いている僕らなんだ
忘れたくないことに付箋して
読みかけの本には栞を挟んで
いつも見てる空だけどきれいで
閉じていく今日を見送った
スプーンで掬えるくらいの
私の知ってる小さな世界で
色んな明日を考えてみるよ
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涙は虹色になって
空を泳いでいった
見送る君の背中に
私も手をふった
若葉の上をすべって
生まれる風も旅に出た
一面の青がきらめく
夏はすぐそこまで
少し違う私になるだけだ
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同じ空の下にいても
すれ違うことはないけれど
空模様も帰り道も違うけれど
茜の余韻に立ち止まり
思い浮かべたことは君のこと
制服の少女は
夕焼け空を写していったよ
私も届けたいと思ったけれど
暮れていく時間を切り取って
今日は胸にしまっておくの
君の声と私の声が
繋いでいるものは
形にはできない心
悲しくて泣いてるときも
他愛ない話で笑うときも
君の声が私を抱きしめる
君は1日の終わりに
私を呼んでくれる
もうすぐやってくる夜は
同じ色をしているから
私は夕焼けの端を
そっと見送ることができる
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思い出が
こもれびに揺れている
温かい光の中で
笑うあなたがいた
私はどんなまなざしで
あなたを見つめていたの
それはあなたしか
知らないこと
あなたが私を忘れても
私はあなたを忘れない
いつかそのことを
悲しいと感じるときが
おとずれるとしてもだ
あなたがいて
私がいた日々は
誰にも持ち去ることが
できない宝物だから
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もし欲しいものすべてが
思うまま手に入るとしたら
もし失うことを知らなかったら
気付いていなかっただろうか
手のなかにある幸せを
抱きしめられる幸せに
優しい人だと私に言う
あなたのほうが優しいことに
こぼれ落ちる涙をぬぐう
あなたの指でひとりが救われた
誰かを愛するとき
世界はどんな色に変わるだろう
それは温かくて薔薇色より
柔らかい色かもしれない
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ポストに手紙を落とした
もう戻れないとこまできた
いつだって私だったのに
もう私を思い出せないんだ
遠くへ届けばいい
君の中にまで届けばいい
冬の青空に白い吐息
マフラーをぐるりと巻いて
音にうもれて
ときどき泣いた
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夕焼け色に染まる
歩き慣れた道も伸びた君の髪も
言葉にできるのは
思ったことの半分くらい
思ったことを言葉にしても
届いているのは半分くらい
だから好きだって言えばいい
もったいぶらずに言えばいい
日が暮れてしまう前に
知らない誰かに恋をする前に
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いつものことが
積みかさなって
あたりまえになったもの
ひとつのきっかけで
ひとつひとつのいつもが
失われてしまった雪の降る日
暗闇の中で見つけたものは
驚くばかりの満天の星空だった
好きな物を食べて
好きな音楽を聞いて
好きな本を読める幸せ
待っている家族がいて
友達とおしゃべりして
好きな人に触れる幸せ
あたりまえになっていた幸せ
ひとつひとつの今日を
積み木のように重ねたら
明日を見ることが
できるでしょうか
私の好きな春を待ちわびる
あなたにも届きますように