詩人:綾 | [投票][編集] |
星が見えない街で
眠らない夜に安堵しながらも
寂しさを抱えてる
光はそこら中に溢れてるのに
探してるものは見つからなくて
白と黒の交差点で溺れないように
恋のようなものに掴まって
ぬるい川を泳いだ
帰る場所が欲しいわけじゃない
たったひとつのものが欲しいの
失って乾いた分は
好きな音を注いで満たしていく
闘う勇気が逃げないように
マスカラを塗り直して
痛い靴を履きながら
もう一度笑ってみせるの
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切りすぎた私の前髪を
からかう君
怒ったフリしてるけど
本当はもう許していること
君にはもうお見通しだね
夏空を駆けていく靴音さえ
眩しく思えた
振り向けば好きな人がいること
それがどれほど特別なことか
あの頃の私は気付けずにいたんだ
肝心な言葉は
いつも後回しで
また1日片想いの日が更新される
そんな日々に
さよならしようと決めたんだ
私の鼓動に合わせるかのように
夏を彩る花が咲いては夜空に消えていく
暑い季節が閉じてしまう前に
君に伝えたいことがあるんだ
君を一時の思い出にしたくないから
君の一時の思い出になりたくないから
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おはよう
ただいま
その間が私の1日のすべてだった
小さな箱を開けると
涙も後悔も明日への希望もあふれてきて
あることもまだないことも
空を見上げては想うの
ずっとずっと片隅にあるものは
いつか宝物になるのでしょうか
夕暮れが私の街を優しく飲み込んでいく
またねと言ったあなたの言葉を
大事に抱きしめながら帰るの
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あの人とあの子の背中が見えた
潮風の匂いと傾きかけた太陽が
私の隠した思いを突いてきた
きらきらと水面は輝き
私の影はどんどん伸びた
私はあの人の背中が好きだ
好きなものが
悲しいものになったのに
私の瞳はあいかわらず
あの人を探すのが得意なようです
夕焼け色に染まりながら私は走った
早く早く夜が来ればいいと思った
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忘れものという落としものを拾ったの
それはいつの間にか
手からこぼれる砂のように
するすると落としていた忘れもの
きっともう会うことはないだろう人や
過去になってしまった恋のこと
あたりまえだったものが
懐かしいと思うようになったこと
それは不幸なことじゃない
別の幸せを歩いただけのこと
なんだかね
眠れない夜もあるだけのことよ
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青い春のつむじ風
きっとそんなようなものだ
伏した睫毛とか整った横顔とか
今日 目が合った回数とか
ひそかに大切にしていた
こぼれる管楽器の音と
運動部のかけ声が重なると
途端に放課後らしくなる
その柔らかい髪に触れたとき
眠る背中にキスをしたとき
甘い匂いは寂しさと恋の渦を呼んだ
その先のことは
まだ誰にもわからなかった
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あの花の名を忘れてしまったよ
もう君に聞くことはできないのに
ひとひら ひとひら 散ってゆく
さよなら さよなら 流れてゆく
僕はどんな答えを待っていたんだろう
ありがちな話だと誰かは笑うだろう
だけど悲しいことに変わりはなくて
ひとひら ひとひら 散ってゆく
さよなら さよなら 流れてゆく
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ゆらゆらと記憶が舞いふる春は
今でも少しさびしい季節で
私をひきとめてしまうの
あの頃 こうしてたらって
無意味なことを思ってしまうの
あの日にいた君だけが
私の中で美しく生きている
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君の手をほどいた手で
私は何を握りしめたんだろう
くしゃくしゃになった言葉が
雨に降られてかすんでく
無色透明の傘が
私の心に少しだけ膜を張って
こぼれ落ちる涙をはじいてる