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中村真生子の部屋  〜 新着順表示 〜


[290] 気づき
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やっと

気づいたんだね。

昨日訪れたあの場所は

入り口が違うだけで

同じ場所だということに。

きみがよく知っている

あの場所と。

きみはもう居る

居るべき場所に。

そしてそこで

見るのだろう。

同じものが放つ

異なる光を…。



2012/11/22 (Thu)

[289] その始まり
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輪になって花が咲き
それがタワーのように
連なって茎を飾っていた
ダン菊の、
いつの間にか結ばれていた
種がこぼれ落ちる。
冬支度を始めた大地に
パラパラと…。
種は撒かれる。
繰り返し繰り返し…。
しかして
咲かせるのはあなたの心。
味わい深き豊かな土壌…。
冬の大地こそ、その始まり。

2012/11/21 (Wed)

[288] 雨のち晴れ
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心ある所作と思えぬ
その所作も
心あればこそなり。
その心に
思いを馳せれば
己の心にも陽の光。

2012/11/21 (Wed)

[287] 今、この時間
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幼なじみとの

久しぶりの語らい…。

互いにあった

いろいろなことを

伝えあいたくても

互いに忘れてしまって

いることも多くなり…。

そんなとき

ますます大切に

しなければと思うことは

今、この時間。

セピア色の写真のような

過ぎ去った時間でもなく

透明な絵具の絵のような

これから先の時間でもなく

今、この時間。

七色の光あふれる

今、この時間。


2012/11/19 (Mon)

[286] つぶやき
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今年初めてミカンを買う。

思ったより甘てくおいしい。

するとミカンはつぶやいた。

「わたしらはずっと

酸っぱい思いをしてきたからね」と。

たくさんの柿をもらう。

なかなか甘くておいしい。

すると柿はつぶやいた。

「わたしらはたっぷり

渋い思いをしてきたからね」と。

甘いミカンと

甘い柿をいただく。

「おいしいね」とつぶやきながら…。


2012/11/18 (Sun)

[285] 雨粒一粒
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絶え間なく

けれど

一粒一粒

海に地に降り注ぐ雨。

一粒一粒…。

雲から離れて

地上へ届くまでの

わずかな時間。

その間に雨粒も

泣いたり

笑ったり

悩んだり

するのだろう。

その小さな一粒一粒が…。

その小さな一粒一粒ゆえ…。


2012/11/17 (Sat)

[284] 受容と諦念の淵
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大山に20センチも

雪を降らせた雲は去り

小春日和の良い天気。

海も空も青く

砕け散る波は

夏の海のように白くまぶしく…。

迫り来ていた冬が

少し遠ざかる。

ほっと息をついて

しばし還ってきた秋を楽しむ。

洗われた空気の中で

一段と美しく光輝く秋を…。

頭の片隅に

昨日垣間見た冬を残しながら…。

こうしてだましだまし

天は冬を連れてくる。

こうしてだまされだまされ

人は冬を受け入れていく。

受容と諦念のその淵で…。



2012/11/16 (Fri)

[283] 冬の使者
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厚い雲が去り

姿を見せた山は

裾野まで雪化粧。

そして

薄陽の中に

天から裾野まで伸びる

ベールのような薄い雲…。

けれど

あれは雲ではなく

降りしきる雪なのだろう。

天から地へと降りしきる…。

衣を白く染める冬の使者に

木々たちは宴の終わりを知り

やがて

着飾った衣を脱いでいく…。


2012/11/15 (Thu)

[282] 昔、カモメは…
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ピアノやヴァイオリンなどの音を聴きながら

音符はいつも思っていた。

自分も音のように

軽やかに空(くう)を舞いたいと。

そこで音符は神様にお願いした。

「私は生まれてこの方

紙にはり付けられたまま

どこへも行くことができません。

どうぞ私も音のように

空を舞えるようにしてください」と。

音符の切なる願いに

神様はそれもよかろうと

音符に灰色の羽をつけてやった。

すると音符は

ゆらゆらと楽譜から飛び立った。

それが全音符だったので

白い体に灰色の羽の鳥になり

その鳥を

人々はカモメと呼んだ。

だからカモメは

ゆらゆらと舞うように空を飛ぶ。

まるで昔暮らした五線譜を懐かしむように…。


2012/11/14 (Wed)

[281] 
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床に木々の影が揺れている。

ざわざわと…。

その中で思いを馳せる。

何千もの昔

「時」が発見されたころを。

最初はこのような

ざわめきだったのかもしれないと。

その意味を確かめたくて

人は大地に棒を立てたのかもしれないと。

そして日時計が生まれ、

やがて機械の時計が生まれた。

過去も未来も

人々の生活も

整然と照らしてくれるようになった「時」は

光ではなく影から始まったのだ。

床に木の影に混じって

自分の影が映っている。



2012/11/13 (Tue)
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