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アイカの部屋  〜 新着順表示 〜


[126] 前生はイルカ
詩人:アイカ [投票][編集]

『お前にだけ特別に
教えたるわ。
俺の前生、
イルカなんやぜ?誰にも言うなぁ〜?』

そう言って
あの人は、
子供みたいに
気良気良笑ってた。

それは
夏の暑い日

世界の全てが
眩しく見えて
あの人は『普通』
があまり分からない
私に、初めてを
沢山くれて

あの人は
ギターなんかが
好きで

甘い甘い
チョコなんかが
大好きで、

なぜか
塩辛い海なんかが
好きで、

波乗りなんかも
好きだった。
冬の寒い日
海なんかに出かけて、
あの人は二度と……………
帰って
来なかった。

冷たい海で足つった
間抜けな
仲間を助けにね

きっといつもの様に
“前生イルカやし!!ヨユーやて!”
なんて笑いながらね

海から
あがって来たのは
間抜けな仲間
ヨカッタね一人だけ
助かって………

ヨカッタ……
ヨカッタ……


イルカだったんじゃねぇのかよ……

馬鹿野郎!
ざけんな!
待ってたのに…
なんで手がこんなに
冷たいん…?
ねぇ。ねぇ…。

白い指がカチカチで
いつまでも冷たくて
それが嫌で
眠ってるあの人を
起こそうとした。

何度も、何度も
揺すって辞めない
私を
仲間は後ろから
抱き締めた

サワラナイデ。
マダ奴ガ寝テル。
置イテクノ?
嫌ダ…嫌ダ…
ハナシテ…………

はなせ!!!
いやだ!!!!

ちょうどその時
私も沈んだ。
一緒に過ごした
夏の日々と共に。

それは冷たい海の底
前生はイルカ
間抜けなイルカ

2004/01/29 (Thu)

[125] ギター
詩人:アイカ [投票][編集]

アンタは
そんなギター
早く燃やしてしまえと
言ったね

いつしか
夢は
バリバリとはがれた
乾ききった
ペンキの様に

今は特に
息たくもないのに

思い出を
忘れかけたまま
ススメと。

奴と繋がった
あの日のまま
時は流れることを
やめたのです

本気で
消えようとした
次の日の昼

消毒の香りの部屋で
アンタは
私を愛してると
言ったね

白いカーテンの中
アンタは
奴を忘れろと
言ったね

無理矢理の
唇は私を余計に
悲しくさせて

無理矢理の
花束は
私を余計に
虚しくさせて

その口を
早く閉じてよ。
じゃないと
アンタを
撃ち殺しそう

もう私に触れないで

アンタは奴には
なれないよ
あのギターは
燃やせないよ

2004/01/28 (Wed)

[124] 赤い風船
詩人:アイカ [投票][編集]

赤い風船飛んでった
雲の彼方の
神様に会うため

赤い風船飛んでった
小さい掌
離れて行った

『ごめんね
タカちゃん
僕カミナリ様に
なりたいんだ。』

そう言って

赤い風船飛んでった
目と牙と角を
つけてもらうため

この掌を
離れて行った

高い高い秋の空
大きな柿の実
揺れてたよ

赤い風船飛んでった
白いスカートで
追い掛けた。

赤い風船
私の友達。

赤い風船
パパの面影。

赤い風船飛んでった
雲の彼方の
神様に会うため

目と牙と角を
つけてもらうため

2004/01/27 (Tue)

[121] 絶望の味
詩人:アイカ [投票][編集]

朱くなった
シーツを噛むと
眩しい絶望の味がした

それは
夕べ見た夢の跡…
その残像

茶色い荒野に一つの
壊れかけた椅子。

その椅子に座って
紫に迫ってくる雲を
ぼやけた視線で
見てた。ずっと…

目を細めたら
見える気がした。
水平線が。そっと…

仕組まれた世界が
消えるまで
私はウタ唄い?
アイノウタ詠イ?

重ねて縫って
縫い潰せばいい

言い訳を
する度に
私が消えていく
傷に踊らされて
消えてくんだね

2004/01/25 (Sun)

[120] 君ウタ
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この唄は、
この唄は、
君がために書いた唄

青に沈んだ
君がために書いた唄

四角石の前で
一日中
泣き過ごした日を
頭が、はっきりと
覚えているから

夢の中で目が覚めて
冷たい床に
足をつけると
君を殺してしまったと思う。

どうか……
どうか……

私を忘れないでいて

君が海に沈んでから
いつも
少しの孤独と
多少の無関心と
微々たる不安を
抱えている

いつも
人混みで君を
探してしまう。

どうか……
どうか……
こんな私を許して

この唄は
君がために書いた唄

永遠に愛する
君がために書いた唄

2004/01/25 (Sun)

[119] 責めぎ
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一つ落ちた
二つ落ちた

キャンと泣く

また落ちた
また落ちた

ギャンと鳴く

責めぎ哀
許さい愛

騒がないで
私は歩ける。
情などいらない
その犬は放って
おけばいいじゃない

落ち着きのない
物を愛します

その子を
助けないでダーリン

どうかこのまま
最後まで
目を背けずに

死に行く物を
愛します

もうその子は
助けないでダーリン

2004/01/23 (Fri)

[117] 十四才
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廊下を歩いたら
皆が私を避けました
陰でコソコソ
笑っているようでした

その感じがどうにも
居心地悪く…

昨日まで
仲良しだった
えっちゃんは
私と目も合わせなくなりました。

だから
だから
トイレで
煙を作りました。

だから
だから
屋上で
一日中眠りました。

だから
だから
頭を金にして、
幻覚を見る薬を
毎日食べました。

視線の定まらない
私を見て
女が一人
怒鳴っていました。

涙を流す気力もなく
声などとうに忘れ
手と足は
昨日千切れました

誰か
助けて、助けて

ここに居るよ
私はここに……

十四才の春
世間が私に
背を向けた日

明日が来るのが
嫌になった日

2004/01/20 (Tue)

[116] Mama
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ママ……
もう
この手錠をはずして

優しく
抱き寄せて
キスをして……

ママ……
その
剃刀をどこかへ隠して

この手を
握って
あの唄を歌って

優しい貴方のまま
あたしが眠れるまで

ママ……
もう
頬を叩くのはやめて

貴方を
ずっと
大好きだから

嫌いになんて
ならないよ

あの人みたく
遠くへなんか
行かないよ

ママ……
だから
お願い………
……あたしを愛して

2004/01/19 (Mon)

[115] POLARIS
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その体は
まだ遠く、遠く…
その意識は
さらに遠く……

君はその声で
無関心の意味を
問うた様で……?

その意味を知り、
彼の逝く時を知り
私を悟った所で

この悲しみの
何が変わると言うのか……。

あの黒の中で
どうやら
POLARISが砕けて
鳴いた様で……?

毎分、何人もの人が
呼吸を止め

その周りには必ず
無感情な無関心が
集まると……
私はずいぶん前から
知っているよ?

今、この道で
倒れたとしても

必ず誰かが
抱き起こしてくれるから。なんて
言い切れないのと同じこと。

2004/01/19 (Mon)

[113] 幸せの溜り場
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その部屋には
二人の幸せに混じって
小さな寝息が
満ちていて

その空気に
関係のないアタシは
息をするのも
ためらった

彼女は
まるで聖母の顔で
本当に大事そうに
小さな生き物を見せてくれたんだ。

手足は小さく
寝息は細く
安心と希望に
赤らんだ頬が

アタシを
どうしょうもなく
悲しくさせて

吐気をこらえながら
微笑んで
おめでとう。と
言う顔は
明らかにひきつって

黄色い薔薇を渡して
そそくさと逃げた

あの部屋は
幸せの溜り場
このアタシが入れなかったのも
無理ないね。

あの病室は
希望の溜り場
このアタシに似合わなかったのも
無理ないね。

2004/01/12 (Mon)
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