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大示の部屋  〜 投稿順表示 〜


[161] ストッパーの記憶
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一握りの心の欠片
もう一度、輝けと飲み込んだ

遠い微かな柔らかい記憶
膨らんで弾けた

消えないものなんだね
僕自身が忘れていても

こんなにも胸が熱くなる
微笑む、あなたの顔を思い出して


どんなに崩れていても
記憶が心が無くなるわけじゃない

諦めないで
心が叫んでいる
粉々の欠片が光ってる

ここにあるんだと
叫んでいる


2009/01/15 (Thu)

[162] 三番目の車両で
詩人:大示 [投票][編集]


隣の、あなたに背を撫でられた
ただそれだけで、凍えた心暖まった

少し顔赤らめて景色見るふりの
とても照れ屋な
あなたに心震えた

いつもの駅で降りて行く
猫背気味の後ろ姿を見送って
窓越しで初めて目が合った

何故、今見つめるの
ずるいよ、あなた

『ありがとう』も『好き』も
言わせないままに
独り、帰っていくの


明日になれば、また会えるかしら


いつもの車両で待っています


2009/01/15 (Thu)

[163] 雪上臈【改】
詩人:大示 [投票][編集]


暖かい貴方が恨めしい

触れられない切なさは
夕日を白く塗り潰した

温もりを冷まして
私が寄り添えるまで


冷たい身体が哀しい

この唇すら真っ白で
朱色の紅で染めました


あなたが火にあたるころ
私は枯れ木に花を咲かす

真っ白な雪の花
哀しみの数だけ花開く




暖かい季節に変わり

触れられない恋しさは
雪の花を薄桃に

紅の唇で白に口づけし
美しい桜になった

花咲く身体が誇らしい

一枝残らず咲き乱れ
枯れた想いも咲きました

あなたが触れた桜の花は
私の心、伝えましたか



あなたが抱きしめてくれた頃は
あの日と同じ夕焼けの刻

2009/01/16 (Fri)

[164] 彫刻家メデューサ
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その瞳に魅入られた娘は
恋した事すら忘れて

美しい一体の
彫像と成り果てた


愛した者さえ
暖かいまま抱くことさえ叶わず

月に照らされた
生まれたばかりの彫像を眺めて
溜め息を吐いた


狂おしいほどの愛は在るのに
君が、こんな姿じゃ
受け止められないね

君じゃないと無意味だよ
僕の愛は君の為に在るのだから

2009/01/16 (Fri)

[165] デザート・ローズ
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砂漠化した空気に
声を震わせて

オアシスの花のような
君の名を叫ぶ


こんな場所にいても
愛しい姿が滲んで見える

砂海に佇む君に似た女神が
僕に向かって手を伸ばす

忘れられた古のアート
風化した姿とは裏腹に
沈みゆく陽を背負い
神々しく煌めく


情けないほど
どうしようもなく

君に会いたい


デザート・ローズは要らない

オアシスの花に会いたい

2009/01/16 (Fri)

[166] 狐童歌
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狐の花道
篝火が照らす

カタカタ囁く竹の林
夢幻に鳴り響く

狐の花道
お顔のお面は

朱色の化粧に金の眼
うつつを見通し微笑む

狐の花道
鳥居の扉は

オイデオイデと
はぐれ子見つけて音立て開く

2009/01/17 (Sat)

[167] 道標
詩人:大示 [投票][編集]


生きる為の力を求めて
排他的な嵐の中で

傷付いた僕の影のような
あなたに出逢いました

砕け散った白い牙は
定めた夢に突き刺さらずに
星屑のように美しく
流れて夜の裏側へ


傷の舐め合いなど許されぬままに

ザラザラに荒れ果てた、この道を

独り、歩いていく


折り重なった瓦礫の山
乗り越えて進む君の姿に

遠い日の僕を見た



足場になろう、君の為に

必要ならば翼だって手に入れて見せるよ

銀色の満月のように

暗い闇夜を打ち払いながら導こう


そして、いつしか夜明けの太陽となって君を照らそう

2009/01/17 (Sat)

[168] 悪魔のバニラ
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バニラエッセンスな君に
5秒で、心奪われた

甘い香り、計算された罠
僕なんか容易かったかな


鏡の向こう側で舌出して笑う
バニラの魔女


魅了する、その香り
誰も逃れられず堕ちていく

柔らかい幻覚と
硬質な現実の苦味


勝てやしない僕なんか
どうか、いっそこのまま

バニラエッセンスの君でいて

2009/01/18 (Sun)

[169] 一枚の欲
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鉛色の大空に光る金貨を
投げ付けて

吸い込まれるように
昇っていくのを見送る

頼りない軌跡だけが
私の無意味な儀式を見下ろした


理屈も一緒に跳んでいったかな

あなたの本音も見破れないのに
心が勝手に走り出す


行く末を決める為
欲一枚投げたけど

どちらも表じゃ意味がない
不毛な俗な想いなど
一生無縁と信じてたのに

2009/01/18 (Sun)

[170] あなたの足跡
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輝く、あなたの足跡が
生き下手な私の灯りになって

消えたはずの希望の欠片が
夢の意味を忘れた街を彩った


こんなに綺麗だったのか
いつも怯えながら歩いてたけど


こんなに静かだったのか
子守唄だって耳に届く


冷たいけれど心が騒ぐ
月の光と遠吠えと
甘い夜気を吸い込んだ

再会の願い事は
花火が止まったような星空に


2009/01/20 (Tue)
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