知らなかった

まだ
僕に涙が残っていたなんて



知らなかった

寂しさのあまり
まだ
声をあげて泣けるなんて





知らなかった

人間は愚かだ

失って初めて
その大切さを知る


人間は愚かだ

失って初めて
その尊さを知る


人間は愚かだ

たとえ失っても
その尊厳に気づけない者もいる





人間は愚かだ

僕は愚かだ

旅立ちの季節



新生活への期待

新生活への不安

新しい人との出会い

親しい人との別れ



ワクワクとドキドキ



桜と空のグラデーション



曇り

時々

雨

時々

晴れ
















そんな今日この頃

さよならが言えなくて

ありがとうも涙で流れて

貴方を送り出す言葉が

声にならない

暖かい陽を背に

陽気な鼻歌を友に

今日も僕は行く



蒼い壮大なる空に見守られ

緑息づく母なる大地を蹴り

まだ少し冷たい風に導かれ

今日も僕は行く



出会った人々と

廻り会った風土を

手土産に

まだ見ぬ目的地(ゴール)目指して

今日も僕は行く

怒られるばかりだった

苦しいばかりだった

部活の日々が



今は

尊い

肌をなでる優しい風

体を包む暖かい陽

綻ぶ桜の蕾

春はすぐそこで

僕を待っている

肌をさする凍える風

体を濡らす冷たい雨

硬く閉じた桜の蕾

春はまだ先だと

僕に告げている

決して声にはならない想い

文字のままだからこそ

美しい

目に見えるから

儚い

雨が香るこの街で

心と色を失った



空も

鳥も

花も

目に入るすべてのものが
灰色がかっていて

引力も

さえずりも

息吹も

何も感じない





ただ

雨の匂いだけが

強く


残っている