ホーム > 詩人の部屋 > 凪都の部屋 > 投稿順表示

凪都の部屋  〜 投稿順表示 〜


[76] 踊るワイパー
詩人:凪都 [投票][編集]

台風が逸れた
とある昼下がり

右に逸れた
車の後部座席

身体を擦り剥いた
白いワゴン車

助手席から
風を飲み込み
運転席へ
吐き出す午後

雨を降らす
雲はどこか遠く

退屈を知る
晴れた日なら

滑稽を一つ
反射の表面上で

2006/09/18 (Mon)

[77] 比反
詩人:凪都 [投票][編集]


殴られた右頬を
殴り返せば飛び立つ奥歯

誰かが言った
同じだけ

折れない奥歯なら
飛ぶ程度に殴られるか

誰かが言った
同じだけ


いつまでも揃わない
杭の数だけ埋まる視界



2006/09/18 (Mon)

[78] 摘み食い
詩人:凪都 [投票][編集]


薄皮一枚剥いだ
個の中身に広がる
薄っぺらい煩悩

苦く笑う事に長けた
今が摘んで捨てた


君を知らない
あの個は真っ白で
身体に線を抱え
ショーウインドーを飾る
数ある一輪の華で
いられたかもしれないと
悔やむのではなく
ため息混じりに皮肉

手折るための華だと
青いペンに言い聞かせ

返らぬ答えは
新たな白に応える

2006/09/19 (Tue)

[79] アメアラレ
詩人:凪都 [投票][編集]

我先よと駆け足競争
個室へ一名様ご案内
洋式より和式へダイブ

今は楽を選ぶな
中腰ならでわの
糞張りに賭けろ

腹式呼吸で魅せろ
飛び散る花弁のごとき
我咲けよと気張れ

降水確立
もうすぐ100%

うん!うん!!うん!!!


2006/09/26 (Tue)

[81] 畳の上の弦楽器
詩人:凪都 [投票][編集]


クラシックを気取るはずの
そのヴァイオリンからは
ジャズからポップス
アニソンまでもが
平等に奏でられる

奏者は奔放主義
一点から広げた趣味が
迷走したと表せばその通り


日々の隙間に音学がいて
日々の隙間に音楽がいて


埋まった隙間は
日々に繋がり
それがまかり通る不敵



2006/10/02 (Mon)

[82] イス
詩人:凪都 [投票][編集]

指切りをしよう
呼吸を止めて

叶うことを前提とした
言霊で小指を繋げよう

くだらないでしょうが
君に呟くカラスは
君の帰る道を見つめ
君の帰る家で立ち止まる

君の帰る箱の隅
カラスはきっと
鳴いてないてしまう

風に拐わされそうな
風船のようだと
だったら知りたくない
目を瞑りたい未来を思う

指切りをしよう

いつか必ずを前提とした
風じゃなくて
言霊に乗せて願いを

2006/10/08 (Sun)

[85] 開かずの目蓋
詩人:凪都 [投票][編集]


深夜2時の着メロ

黒い手はとらない

白い手が
救ってくれそうだ




2006/10/19 (Thu)

[87] 螺旋駆けっこ
詩人:凪都 [投票][編集]



太陽が昇る為の月
川が流れる為の山
光りが在る為の闇

僕の明日の為と
君の明日の為と

すれ違う他人と
誰かは誰かの為と

それなのに

中身の伴わない日々に縋りつき
暇と屍を踏み鳴らし言うのさ


また今日がきたって、ね





 

2006/12/31 (Sun)

[88] 
詩人:凪都 [投票][編集]


熱のない

白いご飯と
冷たい味噌汁の前


正座が
当たり前の日常


水滴まみれの
サランラップをひっぺがす


嗚呼
いつでも
手を合わせてはみるけれど


正しく習った
お箸の持ち方で


嗚呼
米を一つ
摘んで口へ
運んではみるけれど



無性に

歯の奥

詰まる 無常






 

2007/01/13 (Sat)

[89] 土のない街
詩人:凪都 [投票][編集]


この街は
アスファルトの海と
セメントの森に囲まれていて

ただ
コンクリートの大地

脱け殻のように
遠い目のまま
生きることだけは容易い街



本当の


君の脱け殻は
君の白い骨は
君の黒い髪は



この街は

君の肉体が
還りたい故郷へは
行く事が出来ない街で

肥やしにもなれない街

2007/01/20 (Sat)
66件中 (31-40) [ 1 2 3 4 5 6 7
- 詩人の部屋 -