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矢井 結緒の部屋  〜 投稿順表示 〜


[75] お昼寝の時間
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


あなたは
蝉の鳴き声と共に
違う世界に
行ってしまったけれど
わたしの周りに
今も満ちていて
それを呼吸しながら
わたしは微睡んでいる
多分この先もずっと

2009/07/25 (Sat)

[76] 大好きモーツァルトさま
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


軽薄さを水面に
重厚さを底流に

とびっきりに
明るく軽快で
いくら
時代の浮き沈みに
流れても
あなたらしさを
失わない

会ってみたかったな

きっと
唯一無二の親友に
なれたのに

2009/07/25 (Sat)

[77] アルコホーリック
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


知識は
ボジョレーみたいに
若々しく
すぐに飲めてしかも旨い

教養は
古いお酒のように
舌先に馴染むまで
長い熟成の眠りが要る


いずれも
深く付き合い過ぎると
思考を麻痺させ
現実から遠く乖離する

しばらくの間でいい

あなたを一口で
ほろ酔い気分にさせる
お酒みたいにまろやかな
わたしになりたい

2009/07/27 (Mon)

[78] ヒズ・ストーリィ
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


あらかじめ
結末を知っている
机上の小説は
読んでいる途中で
判った気になって
意欲が薄れる


手付かずの空白の
1ページずつに
書き加えて
たまの間違いは
書き直しながら
日々に
増えてく過去と
減ってゆく未来
手と心の汗で湿った
日記帳は
読者を持たない
自分だけの歴史書

明日はどんな出来事が
綴られているのだろう
編者も知らない

2009/07/28 (Tue)

[79] 明日ハレルヤ
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


たった今
大地に零れ落ちた
在り来たりな物でも
時代の地層に埋もれて
価値ある物になるかも
知れない

世の中に新しい物は
ひとつもないけど
角度を変えれば
多少は見栄えが良くなる

刺激に疲れ果て
体育座りの膝に
顔を埋めたはずなのに
キッカケさえあれば
また夢を見れるかも
なんて淡い気体に
虹とか架けて
明日も降るはずの雨に
薄目開けて身構えている

明けない梅雨はない

ツマラナイ冗句で
強がったりすると
きっと意地悪されて
ずっと明けない気がする

天気気にせず
呑気に構えて
元気を装えば
活気に溢れる


座布団いらないから
晴れて

2009/07/28 (Tue)

[80] 脳内朝まで生会議
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


尊厳死が
本人の苦痛排除と
親族の負担軽減の為なら
自死も倫理的に
許容されるのだろうか

これ以上
生き長らえたとしても
個としての尊厳が
保てないと言う
自死願望に対して
異議を唱える場合
三時制の尊厳を
保障する義務が発生する

保障困難にも拘らず
ただ異議を唱えるのは
無責任だとも言えるから
少なくとも
自死回避のために
本人を納得させ得るだけの
抗弁不能な大義名分が
必要とされるが
命の尊厳や遺族の悲嘆など
崇高な理念に走り過ぎたり
情緒に流れ過ぎたりと
理解は出来ても撤回させる
ほどの説得力を持つ理屈を
寡聞にして知らない


尊厳と言うからには
親族のではなく
本人のそれを
前提にしているのは
明白である

親族の負担軽減は
二次的な理由であり
本人の意志に反して
異議を唱えるのは
事後の心身的及び
経済的負担の回避と言う
利己的な理由に帰する事に
なる

そもそも
自死自体が
遺される者たちの
深い悲嘆を顧みない
利己的な行為だ
とも言えるが
心神耗弱か
それに近い状態にある
本人に対して
他者への配慮を
望む事自体に無理があり
寧ろ逆にそれすら本人を
追い込む要素になり得る

理性的判断を
望めない状況下に
本人が
置かれているからこそ
自死が肯定されない
と言うならば
異議を唱える者は
本人の尊厳を
完全に保障出来るか
と言う問題に立ち戻る事に
なる

人は
自分自身の誕生に関して
決定権を持っていない
だから
その最期についても
選択する権利を有しないと
考えるべきなのか
逆に自死は
正当なる自決権として
認知されるべきなのか

「人を殺す事が
なぜいけないのか」

普通の高校生の疑問に
並み居る文化人たちは
明確な答えを用意して
いなかった

それ程遠くない将来
自死についても
肯定的な主張が
市民権を得る時が
やって来るだろう
我々日本人は
体面を重んじる精神性を
脈々と受け継いでいる
「切腹」は尊厳死の一つと
言えるから


ドストエフスキーが
生きていたら
やはり最後は
宗教の中に光を
求めるのだろうか?

2009/07/29 (Wed)

[81] あなたでいっぱい
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


じっとり汗ばむ梅雨
べったり付いてくto you

雲のカーテン
気紛れに少し開けて
下界を覗くお日様

首の後ろの
少し伸びた髪が
子供みたいに
汗に濡れて
キラキラ光ってる

ゆったり落ち着く理由
まったり癒されfor you

夏のガーデン
あなたに少し遅れて
眺め歩く紫陽花寺

2009/07/30 (Thu)

[82] 放課後のひとり
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


放課後の教室
暮れ泥む夕陽。
まだ帰りたくない、
この校舎のどこかに
君がいるから。
一番近くにいたこと
気付き始めてた。

2時間目の数学
君に借りた教科書。
まだ返したくない、
この細やかな糸で
繋がってたいから。
みんなに知られて
冷やかされてた。

卒業式のあと
黄昏迫る夕空
まだ終わりたくない、
あの校門を抜ければ
それぞれの道。
変わってしまうこと
だだ怖れてた。

成人式のあと
故郷の居酒屋。
もう取り戻せない、
遠く離れた場所で
別々に流れた時間。
大人になるということ
受け入れ始めた。

大学出て2年
披露宴のテーブル。
もう振り返らない、
遠ざかる背中
知らない人の腕の中。
さよなら告げること
上手じゃなかった。

自転車でふたり
いつも帰った川辺。
まだ聞こえない、
放課後の校庭
遠く響く下校の音楽。
忘れられないこと
胸に閉まったまま。


終わりのない放課後。

2009/08/02 (Sun)

[83] コットン玉
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夕暮れグレた愚連隊
夕焼夜景に泣いた訳
憂鬱に俯く胸を打つ
優劣ばかり推し測り
愛想笑いの安い愛情
愛憎二筋の悪い相性
赤裸々に歌うラララ
赤らめた顔で諦めた
無償の愛は雲散霧消
無性に辛いこん畜生
言い訳して良い訳?
言霊宿して騙した魂

2009/08/03 (Mon)

[84] わっしょい!
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凸凹
出すぎたトコ
足りないトコ
補い合って
ふたつでひとつ
完璧に噛み合って
揺るがない
ぼくときみ

直角の
四つの角を
あちこちに
ぶつけながら
転がって
丸くなる
何処にでも行ける
あなたとわたし

フラフラ
宛てもなく
さまよいながら
ぶつかり合って
集まった
重い荷物担いで
コロコロ運ぶ
俺たちみんな

わっしょい!

2009/08/05 (Wed)
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