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矢井 結緒の部屋  〜 投稿順表示 〜


[85] アイドルing
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


輝いてた日々を
憶えているから
待ち続けていられる
今は欠けてくばかり
それでも
また月は満ちて微笑む


夜空を見上げても
暗雲が立ち込めて
闇はこれから
まだ深くなるばかり
それでも
また星は瞬いて光輝く


そこに
碧い兎がいない事
大人になった今は
もう知っているけど
淋しさで死にそうな
あなたの歌声が
確かに聞こえてるから


ギアをニュートラルに
サイドブレーキ引いて

この夜が明けて
あなたが帰って来るのを
ずっと待っている
アイドリングしながら

2009/08/10 (Mon)

[86] ちんちろりん
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


追い風も

逆巻く風も

愉しげに

力に変えて

歌う風鈴

2009/08/10 (Mon)

[87] 未必の恋または汚れなき殺意
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


自分の手を
汚すの嫌だから
罠を仕掛けた

あなたが
捕まってから
1ヶ月半

虫も殺さぬ顔で
屠殺場で解体された
牛たちをレアで食べる
無邪気な残虐さを
ソース代わりに

卑怯者と自分に呟いて
いつもの現実逃避で
ウェルダン
よく出来ました

キッチンの角
一匹じゃ広すぎる
厚紙の家の中
ミイラになってる筈の
あなたにまだ近付けない

あなたから見れば
わたしの方が
遅れて地球に来た
害虫なのに
お互い好きになれずに
1ミリも縮まらない距離

2009/08/13 (Thu)

[88] サティスフィクション
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


U NO?
She'll run away
知らんわい
He's lucky now,
tears no more
開き直っても

U NO?
She told a lie
知っとるわい
Give me
a Jack knife
君じゃない方

ルーズなルーザー
引き下がるわきゃないと
He kicks a girl
What can I do?

2009/08/13 (Thu)

[89] あの子になれなかった
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


少し離れて
ふたりを見てた
あの子を見つめる
あなたの暖かい眼差し

凍えるような闇の中
ひとり震えてる
あなたに惹かれて
ぐるぐる廻る
哀しい踊り子みたいに

いつまでも
きっと続かない
あの子を照らす
あなたの優しい光

凍てつくような闇の果て
ひとり泣いてる
誰かに抱かれて
狂おしく喘ぐ
寂しい娼婦みたいに

あなたに照らされて
あの子は素敵に輝く

わたしは少し離れて
二酸化炭素の溜息をつく
癒えない想いは
胸の奥深くに秘めて

あなたに惑う赤い星
数十億年の片想い

わたしは
あの子には
なれなかった

2009/08/20 (Thu)

[90] ネイキッド
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


生まれたままの姿で
装うのはやめて

自由を奪うものは
すべて脱ぎ捨てて

虚ろに飾った言葉も
今は要らないから

解るより感じてれば
伝わってくる想い

Naked
ありのままじゃ
ないけど

ねぇ、きっと
裸のままで
Naked

2009/08/24 (Mon)

[91] おばあちゃんの時計
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昔風のリボンふたつ
頭に咲かせて
リンリン消魂しい声で
わたしを起こそうと
毎朝、虎視眈々

唐草模様の帯を
身体に巻いて
チクタクくちずさんで
わたしを急き立てて
毎日、天津爛漫

けれども最近
お年のせいで
あちこち錆付き
草臥れ果てて疲れ気味

時折、居眠りしてる肩を
ポンと叩くと
ハッとしたように動き出す


あなたが一秒ごとに刻む
わたしの一瞬一瞬
大事にするから
明日の朝も起こしてね
その前にたぶん
その五月蝿い口を塞ぐけど

背中のゼンマイ
ギリギリ巻いて
まだまだ現役
中国は天津生まれの
アンティークばあちゃん

2009/08/24 (Mon)

[92] サイド・ウォーキン
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前向きに
進んだら
げっそりやせた

後ろ向きで
歩いたら
やっぱりこけた

どっち向きでも
転ぶから
横向いて歩いた

過去なんて
グーチョキパー
チョン切って

ブクブク
歯磨きしながら
歩いてくてく

サカナでも
エビでもない
おいらはおいら

2009/08/25 (Tue)

[93] ペンギン・ブギ
詩人:矢井 結緒 [投票][編集]


白いシャツに
蝶ネクタイ
優雅にキメた
タキシード
二足歩行で
ヒョコヒョコと
あまりのギャップに
癒される

何にもない空
それよりは
足ヒレつけて
飛ぶように
自由自在の
海の中
お魚たちと
鬼ごっこ

勢いつけて
ジャンプして
陸に上がった
ペンギンの
背中のファスナー
開けたなら
ちっちゃいおっさん
飛び出した

鳥のフリして
ほんとうは
笑い堪えて
飄々と
スローライフを
生きている
ご機嫌よろしく
ペンギンブギー

2009/08/28 (Fri)

[94] 切り捨てた爪の先
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欲しいものは
たくさんあって
本当に必要なものは
いくつもない

手に入らないのは
要らないからだと
思うことにした

目醒めても
覚えていないから
夢は見なかったのと同じ

荒唐無稽な
コラージュより
実現可能な
イマージュ描いて
眠れない夜を
眠らない夜に置き換えた

爪の根元の三日月が
白々しく朝の空に
取り残される前に
不必要を
切り棄てたら
パチン!と
意外に大きく
渇いた音をたてた

2009/08/29 (Sat)
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