正の部分だけが
全てなら
ゼロを知らない

足し算の舞台には
いつの間にか負の顔も現れ
正と負が入り混じる中

導いた答えに丸をつけるのは誰だろう


割り切れたら気持ちが良いのは
誰でも知っている

だけど
それだけではないから

例えるなら
それは 水
両手で優しく包んでも
少しずつ
僕から離れて

瓶に閉じ込めたら
きっと呼吸困難で
消えてしまうかな

近視な僕に
遠くな君は
よく見えない

用意された椅子は
いつだって数が決まっていて
人間のほうが明らかに溢れ

あぶれたなら
眼をギラつかせ
余るのを待つ世界

まるで獲物を狙う獣のよう


テーブルの上
白と黒のバトル
多勢が有利な勝敗制
“ドロー”なんて用意されていない盤上


白と黒の間は
やっぱり白と黒なんだ

程良く
適当に
それができない不器用さがある

絵の具は原色オンリー
丁度良い具合いには薄めること
できなくて

筆で混ぜれば いつの間にか
パレットから色が消え


下書なんていらない


白のキャンバスは
期待に胸膨らませ

新たな世界を映し出す

億人いたら狭い部屋だけれど

独りでは広すぎるから

いつだって
行き着く場所は
ここなのだ

光の中の闇より
闇の中の光のほうが

きっと探しやすい







(好きな人の悪いところより
嫌いな人の良いところのほうが
きっと知りやすい)

痛みがなければ
傷に気付かない

だから傷付けたことに気付けず
気付いた時にやっと痛みが顔を出す


己の傷より
人の傷のほうが
はるかに痛い

いつだって
感情のコントロールのブレーキに
足掛けて

産まれたばかりは
力の限り自分の存在を泣き叫んでいたのに

今では
堪えることを覚え


流れない涙は
消えることなく
心の底に溜っていくのだろう

歩いて知った 地面の固さ
転んで知った 前にしか進まないこと
限りを知った 与えられた時間
誰かが知った 誰かの存在


言葉を知った
なら誰かに伝えたいと思った