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[15] 夜の診察室
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夜勤をしていると
真っ暗な診察室から音がする

あぁ今日も誰かが診察に来て居るのだろう

2年前に死んだナースが死んだ事も理解出来ずに働いているのだろうか

姿形はみえないけれど
夜の外来には痛みや苦しみを抱えた患者が
死んでなお受診しているようだ

永遠にその場面を繰り返すのだろうか

機械棚の戸が開いた音がした

私は静かに自分の仕事を遂行する

2年前に死んだナースも静かに仕事を遂行しているのだろう…

空が明るくなりかけた頃
診察室に静寂が漂う…

2009/01/08 (Thu)

[14] アマノジャク
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可愛いと言われて

喜ぶ年でもなく

優しいと言われれ

嬉しくない

年を重ねるごとにあまのじゃくになって行く…

2009/01/08 (Thu)

[13] 牛の神様へ
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ゆきあは五才

瞳が大きくて
ほっぺがぷくぷく

誕生日には自転車が欲しいらしい

ゆなは3才

ブスだけど可愛いい

お歌がじょうず

でも何を歌っているのか解らない

彼らは今日も良く食べ良く遊びスヤスヤ寝る

大人の汚い所を見ないでいでね

神様はほんとにいると信じていてね

泣かない明日がこの子らにきますように

小さな心が傷つきませんように

牛の神様
今年も宜しくお願いします。

2009/01/03 (Sat)

[12] 
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自分が思う程の気持ちが返って来るわけでもなく
だからと言って諦めてしまった訳じゃない

ほんとにたまにメールをしてくれて

ほんとにたまに女と見てくれて

ほんとにほんとにまれに「好きだよ」
と言ってくれたらいい

たったそれだけで待つ事ができる

たったそれだけで満たされて溶けてしまう

たったこれだけが私の生きる糧…

2009/01/03 (Sat)

[11] 
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あなたが泣くから
私は泣けない

あなたが甘えるから
私は受け入れる

「お前は優しいから」
その言葉が私を強くした
何も変わらない現実に
休める止まり木もない

私を好きだと言うくせに大切なものは自分

「強くなってよ」って言ったら「うん」といった
その言葉が信じられず
メアドも電話も削除した
私のほうが空っぽになった。
本当は彼の方が強かったのかもしれない…

2008/12/30 (Tue)

[9] 
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慈しみ深き我が友イエスは…
罪 咎 憂いを取り去りたもう

それならばここに居る彼らのそれを流して下さい
彼らは見えるもの
聞こえるもの
感じる事が嘘か誠か分からない

苦しみの中に真実を求めて同じ所をグルグル回る
などかはくださぬ負える荷物を

ならば彼らの背にある物を羽に代えてください

その重さに足取りはたよりなく今にも倒れそう

神様がいるのなら
彼らは泣く事も無いだろう

彼らはいつも泣き出しそうな顔で息をしている

2008/12/29 (Mon)

[8] 知覚
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洗面所の鏡の前で髪をとく女
入口の陰からのぞいてる彼の幻視

ありがとう。僕も好きだよ。
ニコニコと微笑み頷いているのは彼の幻聴のため
僕は幸せになっていいの?
彼女と2人なら生きて行けそうな気がするんだ。
そう言ってまとめた荷物の中身は枕とパジャマ

何処に行くの?と尋ねたら

彼はひとしきり考え黙ってベッドに横になる

そして現実に気付く
鞄の中身を取り出しながら、ポロポロと涙を流す
彼の愛する人は彼の頭の中に生きている

2008/12/29 (Mon)

[7] 足跡
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廊下に
足跡

たどって行ったら
大きな穴

油断してたら突き落とされた

廊下に
足跡

たどって行ったら
中位の穴

のぞき込んだら落ちてしまった。

外に続く足跡
たどって行ったら小さな穴

そこに落ちた人達は
天を仰ぎ助けを求める

神様がくれたものは
睡眠薬
精神安定剤

今日も誰かが
足跡をたどり穴に落ちる
蜘蛛の糸なんか垂れてこないと知りながら
天を仰ぐ

2008/12/28 (Sun)

[6] 正常
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「私の赤ちゃん」彼女は縫いぐるみを抱く。

「明日には大金が入る。誰にも言うなよ」彼は一昨日もそう言った。

「テレビのアナウンサーが言うんだよ。僕は天才なんだって。隠していたのにばれちゃった」

彼らは水を大量に飲む。カエルの様にお腹を膨らませて歩く。

彼らは恐れと不安の中で生きている。

その膨れたお腹がはじけた時、きっとほんとの自由になるのだろう。

彼らは今日も水を飲む。早くお腹がパンクしないかと待ちわびながら…

2008/12/16 (Tue)

[5] しわしわの手
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患者さんが手を差し延べた。
私は何も出来ない。
心が真っ黒で博愛の精神なんかいつの間にか何処かに置き忘れた。

それでも患者さんは私に手を差し延べる。

ただ涙がでるだけだった…
こんな私が看護師していていいわけない。

自分の心さえ救えないのに…

患者さんはそれでも私に手を差し延べる。

まるで何もかも見透かしていて
全てを許してくれているように…

2008/12/16 (Tue)
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