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凪都の部屋  〜 投稿順表示 〜


[45] 新月
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裸足で駆け出す子供
鳥目をこすって
マンホールを故意に踏む

星だけが見える晩の空
映す噴水の中にでも
月は沈んでしまった?


片足幅の赤レンガを
踏み外さず歩くから
明日は少しだけ
顔を見せて




2006/07/01 (Sat)

[46] リン
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その存在意義を
活かす為ではないが
それでも両耳を塞がぬよう
めり込んだ爪と一緒に
手のひらの中
みんな、みんな
包み込んでしまうから



2006/07/03 (Mon)

[48] 模様
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後ろからの南風に笑みを零す君なら
不意打ちの
真正面からの北風に訝しがるだろう

みんな曲者さ

四方八方へ
こんにちわとさよならを
誰もが携えて歩く

上空に渦巻く嵐
足元の草達の
夢の邪魔はしないつもり
だから今は誰も
君を撫でやしない

擦り抜けていくのが
一番風らしいはず

捕まえないでいてよ

空にかざした右拳の中
開けたってカラっぽな事
何かを信じているらしい

君も、君さえ
擦り抜けていく旅人は
草を踏み付けて歩く事を
良くは考えていない

2006/07/08 (Sat)

[49] 南風
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音符を紡ぎだす唇
陽気に軽快にテンポよく

青すぎる空の下で
あの女の子は
花が笑っていると言う
草がささやいていると言う

早鐘を打つ心より早く
駆け出す体に追い打ちの南風

ヒラヒラはためく
朱色のスカートの
眩しいことと言ったら

一つにまとめた長い黒髪を
ゴムで縛り付けておくのも
ためらうほどの空模様の下
あの子は草原の海を
掻き分け走っていく


手のひらより
小さくならぬよう
こっちも頼むよ南風

2006/07/09 (Sun)

[50] 北風
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白に浮かんだ黒い世界から
一粒二粒透明を零す頃

大地にしみ込み
土に薄い影を作る

向かい風にもかかわらず
留まっていた歩が
進みだしたら

足の裏に隠した雫を
そのまま踏み躙り
次は上の空で歌を唄う


弧を描くだけの口の奥
今日から少しづつ
牙を磨き始めよう

2006/07/09 (Sun)

[51] くりくり赤毛の瞬く瞳
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殻に


小さな穴を空けて


卵の


白身だけ
抉りだして


黄身だけ残して
黄身だけ残して

揺り籠に浮かべれば
君が声を上げるのだと


神様が言ったから


マッチを一本
擦ってみた

2006/07/10 (Mon)

[54] 
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降り注ぐ重力は常に平等
それは同じ地平線の上
立つ事を望めばの話

それでも
君たちの足取りは
風船みたく軽く
ときどき
私のポンコツは
鉛以上に重い

羨ましく思う
それでも身体を今日はどこへ
運んで行ってしまおうか?

山の頂きを目指そう
それとも海底深くへ

いつでも削ぎ替えの効く
便利な人間ではない

鉄やプラスチックやゴムに
犯され続ける足だが

手を引かれて歩きだす事はない
彼にもプライドがあるらしい

2006/07/14 (Fri)

[56] ガラス張り
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セロハンなんか貼った風船
貼ったセロハンの上から
針を刺したら割れないらしい

じゃぁ君は
セロハンで針か

割ったら煩わしいか
音に?違う
いや、違わない

同じのが溜まっていて
小さな穴から
ちょっとづつ出ていった

パンドラの箱の中みたいに
開けた張本人の手のひら
何かが残るなら
それはゴムだけ

世界と同じモノを持たされていて
違うモノを持っている気がしない

2006/07/19 (Wed)

[57] サンプール
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夏は暑いって
決め付けじゃなくて
当たり前だと思う

八畳一間の熱空間の中
吹き出す汗の止め方も知らず
ただただ流れるだけ流して
喉から零れる無意味な「あ」と
狭めた視線全部ひっくるめて
本日も扇風機と睨めっこ

しかしコイツはすぐそっぽ向く


ボタン一つで視界を固定
それは何と言えば良いのか

羨ましくて恨めしいそう



押せなかったボタンに
まだ見ぬ誰かを思った

2006/07/21 (Fri)

[58] 愚者
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やがて街は染まる
朝を告げる白い光に


その頃の私は目蓋裏の夢と
談話を交わしているだろう

私はとても幸せだと知った
だからこの幸福と同じ光が
路地裏の闇に飲まれた
あの花にも届けば良い

黒しか知らないあの花に
眩しすぎる光が届けば良い

2006/07/21 (Fri)
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