詩人:凪都 | [投票][編集] |
思い出を
喉元まで引きずり落とし
嘘吹いて響かせた鼻唄メロディ
歪んで荒んだ大地の片隅で
無関心だと知っていても
優しいような気がした空は
全ての想いに光と影を降らす
不幸にいた事なんて
周囲が教えて
知るものじゃないわ
私は笑えるの
私は歌えるの
私は踊れるの
そう言える
思い出をしまい込んで
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私が人で居られたのは
この世に生まれてから
たったの数年で
気がつけば
いつの間にか人間になっていて
その人間のまま
図体ばかりが大きくなり
腰が曲がり、視界が狭まる先の先の話でも
私はきっと人間のままで居て
きっと私は
息を引き取るまで
人には戻れず
人間のままなんだろう
寂しさの漂う
空っぽの肉塊だけは人に成れて
私は人間のまま
消えてしまうんだろう
私は人間を連れて
消えてしまうんだろう
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言葉の端と端
繋いで磨いた歪曲の
先が綺麗に見える現象
感嘆に埋もれたシンプルな嘲笑
綺麗が綺麗に見えない事象
いびつな形が
遠く遠目で
細く 細く
アンチ
こぶしを振りかざす
スローが滲んだ瞬間
振り下ろす
個のキチガイの感覚に咲いた
不敵に歪んだ弧の両端は
細く 細く
不正を重ねた歪つ
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ワタクシは
四つ葉を見つけるのが
少し
ほんの少し
得意な女でございます
路上の隙間
公園の隅
草原の真ん中
一人
群れをなした三ツ葉達と
だんまり睨めっこ
大の成人女性が、と
傍目には正直
困る風景ではありますが
しゃがみ込んで凝らす瞳は
確かに大群の三ツ葉の中から
一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ
見つけて
微笑んで
手の平に
納める事が出来る有能者なのです
しかし夕焼けこやけ
日が沈んだらポイ捨て
萎びた四つ葉を横目に
明日もまた
生きた四つ葉を探しに
早起きをするワタクシは
少し
ほんの少し
特異な女でございます
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サンタクロースを信じたあの頃は
ヒゲぽろりで呆気なく幕を閉じ
すがってお願いしたカミサマには
初めからそっぽを向かれてた
それでも気まぐれに
身体を擦り寄せてくる
クロネコは相変わらずの黒猫で
彼女のゆれるカギ尻尾を眺めながら
わたしには何があるのか、
考えて
考えて見てみても、
わたしのお尻には尻尾がない。
そんな事ぐらいしかわからなくて
彼女のほうがきっと
多くを知っていて
多くを持っていて
それでも揺れるのは
そのカギ尻尾だけで
羨んでみたけれど
はえてくるはずもなくて
尻尾があったら
なんてため息。
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揺れる、ゆりかごが揺れる
はじっこの灰色の中の中で
この日
左目を閉じた小さな像は
やさしいやさしい子像で
そしてあの日
左目を閉じてしまった
子像は像になっていて
あの太陽と月と星の間に
遥か遠く創造を馳せては
やはり左目を閉じて
けれど命があるから
せめて首を傾げる時は
右に重さを預けようと
そう思った
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綺麗と言われる上っ面を
取って剥いで貼り付けて
お互い軽く会釈したら
0円より価値がないと
気付いたら
薄く口だけ歪んでた
思想は遥か遠く理想を撫でつけて
日を追い儚く揺れるこの薄い影は
行き違い入れ違い似たカタチの中
ただ静かに泳いでた
この足があるトコロ
その手は地に触れる
綺麗と言われる上っ面を
両手でどこかに隠したら
コンクリートの境界線
昨日と今日と明日のあいだ
嘘つきになるワケじゃないのに
知らないトコに知らない空白がある
溢れた液体は蒸発して消える
引き出して散々と黒い影
一生一緒に抱えていくの
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吐き捨てたありがとう
投げ捨てたごめんなさい
急いで仕舞った独り言
どこにもなくて
うそホント引っくるめ
いつでも誰かを揺らす
言葉の羅列は一重に
いち じゅう ひゃく
ひらがなかたかなえいすうじ
のどからポロリ 零した
せん まん おく
ちょうになって
ちょうになって
今日も空をとんでいる
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風に梳かれた雲の隙間
深く仰いで見た濃紺は
突き立て塗り潰した月のない空。
昨日はもう枯れて
物言わなくなった
君を一言 ころり寝転がせても
私は疲れた目で困り顔
薄く乾いていく色彩は
もぅ白に喰われ 鮮やかに落ちていく。
塗り潰し損ねた隙間はキラリ
同じ色に溶け込み逃げだして
今はどこにも見当たらないのに
君は唯一を持って多くは語らない。
君色を帯びていた
延びて遠くへ消える空へ向けて
結局その口は
塗り潰した三日月のそれだから。
私は疲れた顔で 困った目をして
口数の減った友人に頭を抱え
今日も君の手を引いて
薄明かりの朝を行ってきます。