詩人:大示 | [投票][編集] |
空っぽの皿を眺めて
私に必要なものは、と問うた
造られた心取り出して
工具で直せたら
意味の無い無駄な時間を
取り戻せたら
皿にのせられたネジだらけの心
タイムリミットが近づく
美味くはないが・・・
ナイフとフォークがここにある
まだ柔らかい部分が残っている
食べてみるか
拒絶反応で手がカタカタ笑うけど
涙が良い味付けで
思ったよりも美味かった
皿の上にのった心の残骸を眺めて
それの不必要性を確認した
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ゆらゆらと、ぶれる糸を渡る僕に
ギラつく眼差しを向ける黒い塊
阿鼻叫喚の谷底ではなく、
美しい天国の様な其所は
僕を見上げてくる穢れた怪物を
浮き彫りにさせる
アレが在る処が地獄さながらの
おぞましい景観ならば
迷いはしない
ワザとらしい
現実味の無い美しさは
僕の足元をぐらつかせるのに
充分だった
今にも飛び掛かってきそうなアレ
向こうに着くまで
あと、何年
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暗闇は勝手に忍び込むのに
光は此方から探さなければ
手に入らない
また、その光が
蝋燭の灯り規模ときた
風が吹いたら一筋の煙を残し
消えそうなそれは
手にすれば
ゆっくりと歩かなければならない
ある賢者は旅人に諭した
その光は良心だ
周りに合わせ歩を速めれば
瞬く間に漆黒の世界に
浸食されるだろう
ともに歩む友人を探しなさい
なに、すぐ解る
迷いながらおぼつかない足取りで
歩いている者が蝋燭を持っている
たくさんの蝋燭は
聖火をも凌ぐ輝きとなるだろう
灯火を消してしまった者も
いずれ気付き、聖火を抱くのだ
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『好きな人はいるのか?』
いきなりの彼らしからぬ問いかけ
だから、思い付くまま
好きな人の特徴を唱える
『もう、いい。』
いつにも増して、厳しい顔
気付いてないの?
少しだけ苦いチョコレートは
あなただけの為に
素直に渡せず、
先を行く、高めのフードの中へ
お返事、待ってます。
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当たり前のように夜が迫り
当たり前のように朝が甦る
何をすれば良いのか解らない
この私にもお節介の太陽が微笑む
せっかくの美しい朝も
息をするのが精一杯
これ以上辛い目にあわないように
と黒衣を着込んで
私は習慣化した
歪んだ笑顔を貼り付ける
生命は大事だと皆、知っている
でも、その感覚もこんなでは
いずれ麻痺する
太陽さえ届かない暗がりに浸って
もう誰の声も届かない
素晴らしい物語も歌も
心に響かない
大病をしても
最期まで生きようとする人に
何故、命を譲れないのだろうか
私の命の重さは手を離せば
飛んでゆく風船の様
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君はだぁれ
幼い昔に鏡に向かって問いかけた
その遊びが大好きで
親の目を盗んでは話しかけていた
楽しかった遊びは、これだけ
砂山とかは、ただのフリ
鬼ごっこ、かくれんぼは意味不明
鏡だけが遊び相手
君は、だぁれ
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僕自身は、とうの昔に死にました
今は僕ではない僕が生きています
あなたは自分ばかり見ていて
自分ばかり大事で
僕の変化など気付きもしなかった
今もそう
目を逸らしてばかりいる
ねぇ、知らないでしょう
『こんなに大きくなったら、もうお腹には戻せないね』
あなたが言った、この言葉に
どれほど苦しんだか
やり直したいのは僕も同じなのに
憶えてもいないでしょ?
あなたが遠い昔にこんなこと
言ったんだ、って
僕が訴えても笑いながら
『知らない。』と言うんでしょ?
自分に精一杯だったなら
産まないで欲しかった
優秀な跡継ぎか欲しければ
他に手はあったはずだよ
あなたは能力ばかり見て
最も必要な心を見なかった
その代償が、この現状です
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菌糸が僕の内部を侵略する
聴診器をヤブ医者からひったくり
音を聞く
プツリ、プツリと
何かが構築されていく呟きが
僕を総毛立たせる
もう、手遅れ
頭の中でも小さな呟き
菌糸は増殖し勢力拡大
僕は何になるのだろう?
寄生物に寄生するって
どんなだろう?
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あなたに憧れを抱き
生きようとした
薄い覚悟
得たものは
幼い精神世界
悲しみを
『休日』という
薬でやり過ごした
決別を呟いた誰かは
黒衣纏い消え行き
寒い風
染み込んだ体は
すっかり冷えた
制限のない旅は
存在を証明する為に
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心を持たぬ愛しい人よ
哀しき慟哭は空に消え行く
我が心を掴み、眠りにつく君は
凍えた涙に濡れて
幾度かの真円の月と共に
我が心は満ちた
数あるなかの情の一つ
最も価値ある『 』で
されど別れの時もまた満ちる
春告げる花を待つ君
古木に光る結晶を払い
息を吹き掛ける
薄紅の花々を思い描いて
花咲く時を待たずして
彼の人は溶け逝き
古木の内をめぐる
我妻は美しくも儚き花となり
我が心を今も捉えたまま
空を舞う