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大示の部屋  〜 投稿順表示 〜


[181] レストランの皿
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空っぽの皿を眺めて

私に必要なものは、と問うた

造られた心取り出して
工具で直せたら

意味の無い無駄な時間を
取り戻せたら


皿にのせられたネジだらけの心

タイムリミットが近づく

美味くはないが・・・
ナイフとフォークがここにある

まだ柔らかい部分が残っている

食べてみるか


拒絶反応で手がカタカタ笑うけど

涙が良い味付けで

思ったよりも美味かった


皿の上にのった心の残骸を眺めて

それの不必要性を確認した

2009/02/02 (Mon)

[182] 揺れる蜘蛛の糸
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ゆらゆらと、ぶれる糸を渡る僕に

ギラつく眼差しを向ける黒い塊

阿鼻叫喚の谷底ではなく、

美しい天国の様な其所は
僕を見上げてくる穢れた怪物を
浮き彫りにさせる

アレが在る処が地獄さながらの
おぞましい景観ならば
迷いはしない

ワザとらしい
現実味の無い美しさは
僕の足元をぐらつかせるのに
充分だった

今にも飛び掛かってきそうなアレ

向こうに着くまで
あと、何年


2009/02/02 (Mon)

[183] 灯火
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暗闇は勝手に忍び込むのに

光は此方から探さなければ
手に入らない

また、その光が
蝋燭の灯り規模ときた

風が吹いたら一筋の煙を残し
消えそうなそれは

手にすれば
ゆっくりと歩かなければならない


ある賢者は旅人に諭した


その光は良心だ
周りに合わせ歩を速めれば
瞬く間に漆黒の世界に
浸食されるだろう


ともに歩む友人を探しなさい
なに、すぐ解る

迷いながらおぼつかない足取りで
歩いている者が蝋燭を持っている

たくさんの蝋燭は
聖火をも凌ぐ輝きとなるだろう


灯火を消してしまった者も
いずれ気付き、聖火を抱くのだ


2009/02/03 (Tue)

[184] シュート。
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『好きな人はいるのか?』

いきなりの彼らしからぬ問いかけ

だから、思い付くまま
好きな人の特徴を唱える


『もう、いい。』


いつにも増して、厳しい顔
気付いてないの?

少しだけ苦いチョコレートは
あなただけの為に

素直に渡せず、
先を行く、高めのフードの中へ


お返事、待ってます。

2009/02/08 (Sun)

[185] 心の膿
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当たり前のように夜が迫り

当たり前のように朝が甦る

何をすれば良いのか解らない
この私にもお節介の太陽が微笑む


せっかくの美しい朝も
息をするのが精一杯

これ以上辛い目にあわないように
と黒衣を着込んで
私は習慣化した
歪んだ笑顔を貼り付ける

生命は大事だと皆、知っている

でも、その感覚もこんなでは
いずれ麻痺する

太陽さえ届かない暗がりに浸って
もう誰の声も届かない


素晴らしい物語も歌も
心に響かない



大病をしても
最期まで生きようとする人に

何故、命を譲れないのだろうか


私の命の重さは手を離せば
飛んでゆく風船の様


2009/02/08 (Sun)

[186] 鏡遊び
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君はだぁれ

幼い昔に鏡に向かって問いかけた

その遊びが大好きで
親の目を盗んでは話しかけていた


楽しかった遊びは、これだけ

砂山とかは、ただのフリ

鬼ごっこ、かくれんぼは意味不明

鏡だけが遊び相手

君は、だぁれ

2009/02/09 (Mon)

[187] 
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僕自身は、とうの昔に死にました

今は僕ではない僕が生きています


あなたは自分ばかり見ていて
自分ばかり大事で

僕の変化など気付きもしなかった


今もそう

目を逸らしてばかりいる


ねぇ、知らないでしょう

『こんなに大きくなったら、もうお腹には戻せないね』

あなたが言った、この言葉に
どれほど苦しんだか


やり直したいのは僕も同じなのに


憶えてもいないでしょ?

あなたが遠い昔にこんなこと
言ったんだ、って

僕が訴えても笑いながら

『知らない。』と言うんでしょ?



自分に精一杯だったなら
産まないで欲しかった

優秀な跡継ぎか欲しければ
他に手はあったはずだよ


あなたは能力ばかり見て
最も必要な心を見なかった

その代償が、この現状です

2009/02/09 (Mon)

[188] 寄生物にパラサイト。
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菌糸が僕の内部を侵略する

聴診器をヤブ医者からひったくり
音を聞く

プツリ、プツリと
何かが構築されていく呟きが

僕を総毛立たせる


もう、手遅れ

頭の中でも小さな呟き

菌糸は増殖し勢力拡大

僕は何になるのだろう?

寄生物に寄生するって
どんなだろう?

2009/02/19 (Thu)

[189] あ、か、さ
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あなたに憧れを抱き
生きようとした
薄い覚悟

得たものは
幼い精神世界


悲しみを
『休日』という
薬でやり過ごした

決別を呟いた誰かは
黒衣纏い消え行き


寒い風
染み込んだ体は
すっかり冷えた

制限のない旅は
存在を証明する為に



2009/02/20 (Fri)

[190] めぐるもの。
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心を持たぬ愛しい人よ

哀しき慟哭は空に消え行く

我が心を掴み、眠りにつく君は
凍えた涙に濡れて


幾度かの真円の月と共に
我が心は満ちた

数あるなかの情の一つ

最も価値ある『 』で


されど別れの時もまた満ちる


春告げる花を待つ君

古木に光る結晶を払い

息を吹き掛ける

薄紅の花々を思い描いて



花咲く時を待たずして

彼の人は溶け逝き

古木の内をめぐる


我妻は美しくも儚き花となり

我が心を今も捉えたまま

空を舞う

2009/03/01 (Sun)
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