詩人:清彦 | [投票][編集] |
君が生きているという実感を
君の好きなように感じればいい
僕はそっと眼を閉じるよ
今という今は無い
過去という過去はもう無い
さっき拾った
下らないノートの切れ端は
もうゴミ箱の中
いつだって
未来を創造して
駆け出せるんだ
呼吸をいっぱいに
最高の笑顔で
みっつ数えたら行こう
いち
にの
さん!
詩人:清彦 | [投票][編集] |
私は人生を無駄にしていないか
私は私以外をよく観察し
よく眺め、よく思い、
堪能しきれているだろうか
人生は愉しい
愉しい景色なのだ
五感を活用して
存分に味わう方が良い
ただのひとつの
100円のパンですら
パッケージをよく眺め
主成分を確認し
よく噛むほど良い味を楽しみ
飲み込む時には
食道を通って空腹を
幸福を満たすこの感覚
パンが私の身体に成る喜び
全てを吟味して
よく生きているだろうか
眺めた事のない景色は
感じることは出来ないのだ
眺めるとは何だろうか
私は私の中に世界を持っている
蓄積された膨大な記憶を
時には鍵として
あるときは答として
実は全て繋がっていく
そうすると思いつく
私と私以外に
何の区別が必要か
むしろそれは不可能ではないか
空気ですら
私を取り込んで
私も空気を取り込んで
情報ですら反射のように
人々を行き交って
もろもろの全てに
実は線など
在っても無くても善い
それがすべてであり
ひとつなのだと
それならば、
物事は量に拘らずとも
幸福の器は満たしてしまえるのだと
私は何度でも私を愉しませよう
朝方、太陽の光と
ある一日の始まり
呼吸が美味しい
風になびいて揺れる木葉が好き
電車に揺られながら読書が好き
あるときは
人々の悲しみ、痛みさえも
ドラマティックは美しい
詩人
言葉に託す想い
頼りなく、素晴らしい
ひらひらと、たんたんと
吹く風にのって
詩人:清彦 | [投票][編集] |
サイコロ
転がる
カチカチ、コロコロ
自動車が 絶え間なく横切る
大型のトラックが
視界の向こう
一瞬、空ごと遮って
また光と共に
現れた
我に返すような
排気ガスのにおい
独特な嫌気がした感覚
そんなに急いで、
システムの上を決められた通りに
進むしか無いのだろうか
サイコロ
転がる
カチカチ、コロコロ
この転がる転がりなる現象は
決められた物理法則を
決められた通り動いて
投げた瞬間、
いや、
実は
投げるよりずっと前から
あらかじめ
決まった答をもっている
それならば
僕らの意思はどうだろう
僕が愛したすべてはどうだろう
僕はまだ転がる途中でありたい
たとえ
すべてが決まっていたとしても
僕は僕の見えない未来に
あらゆる可能性を含めた
あらゆる答を含めた
僕でありたい
夏が終わり
君は去った
僕は僕として
懸命に何かを模索して
暗闇の中を
あらゆる光を頼りに
掻ぎ分けながら進むだろう
サイコロ
転がる
カチカチ、コロコロ
詩人:清彦 | [投票][編集] |
感動的なピアノの旋律
母胎に包まれたように
重低音が薄く伸びていく
芸術品の階段ように、もしくは
海のやや規則的な波のように
音が低音のシーツの上に
美しく沿って散りばめられている
僕は目を閉じている
ここが何処だったっていい
波打つ鼓動のリズムに合わせて
魚が海を泳ぐように
鳥が風に乗って飛ぶように
僕は音楽に身を任せる
子供の頃へ少しずつ
遡っていくみたいだ
純粋さを取り込んでいく
呼吸が必要でたまらない
少しの息苦しさ
生きていく感覚
生きている喜び
嗚呼、素晴らしき音楽
詩人:清彦 | [投票][編集] |
雨滴が木葉を滴り
透明な硝子玉は
永遠のような一瞬を落ちて
地面に衝突する
物理の法則の美しさに例外無く
中心から花火のように砕け
吸い込まれ、染みていく
土に、川に、祈りに、命に
光に、闇に、愛に、空に
激しく降りだした雨
男の傘に打ちつける
愛しき笑顔とさよなら
水溜まりに 波紋が幾重にも
一瞬、あの日々
揺らいで、揺らいで、揺らいで
止まない雨音
膨大な後悔の滴達
ピチャピチャと足音
永遠の記憶に
沈んだり浮かんだりしながら
這っているようだ
自然の法則はいつだってありのまま
人気の無い道路の真ん中で
猫が目玉を出して横たわっていた
男は傘を投げ捨てて
さよならを何度でも噛みしめる
びしょびしょに濡れた身体中
涙だけが熱く頬を伝っていく
僕らの人生はこの雨のように
ただ、落ちて碎け散るだけだ
永遠のような一瞬を通りすぎて
地面に衝突して染みていく
土に、川に、祈りに、命に
光に、闇に、愛に、空に
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悲しみよ飛んでゆけ
僕にしか聞こえない轟音で
激しく鼓動を揺さぶる痛みごと
火の熱 夜の静けさ
人のやさしさ うなだれた向日葵
波打つ市場の変動や
渦巻く欲望の嵐も
みんなみんな、溶け合い、静まれ
財布までもが生きているように
じゃらじゃらと
小銭を吐きながら泣いている
愚かなものだろう
後悔はいつも失ってから始まる
これ以上、意味を成すことも無い対話が
青、橙、黒に染められて
明日、また新しい僕に
書き換えられるのだろうか
もう、
疲れを纏ったくたびれた身体を
シャワーが勢いよく叩きつけて
湯気が視界を遮って
まるで、初めから
「ずっとここに居たんじゃないか?」
って
錯覚させてくれる
静まれ
僕にしか聞こえない轟音よ
悲しみよ飛んでゆけ
激しく鼓動を揺さぶる痛みごと
愛した人など
初めから存在していなかった
今、この僕に
愛してる人は
存在していないのだから
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目を閉じたって
暗闇のそこは砂嵐
すべての色を象るのは
ほんの小さな光の粒の集まり
ため息はいくら吐いても
呼吸は止まらないからまた吐き出す
コップ一杯に水を注いだら
ゆらゆら揺れる水面に
煩わしいことが次々に浮かぶんだよ
透明で何も無いふりして
ちゃんと質量を保ってる
自分自身か、それとも
この世を見張る何者かに
長い間ずっと
騙されている感覚だ
もう面倒くさいから
一口で全部飲み干してやる
ゴクンって喉を一瞬通って
胸からお腹の辺りまで
すぅっと染み渡るように
罪悪感ごと、落ちてゆく
カチカチ鳴る時計の針は
焦れったくて苛立たせてくる
声にならない叫びが
激しい低音の振動みたいに
ガタガタと身体が震えるよ
沢山のことを教え込まれて
くたくたになって生きてきたけど
僕はいったい
何のために生きているんだろうか
ほんの些細な
過ちの連なり
小さな小さな
嘘が積み重なった
膨大な矛盾
眠れなくったって
眠るしかないんだ
もう何も見たくなくて
深く吸って、ため息吐いて
電気消して布団に飛び込んだ
目を閉じたって
暗闇のそこは砂嵐
すべての色を象るのは
ほんの小さな光の粒の集まり
わかるかい?
本当は何処にも
嘘も理不尽も矛盾も無い
例えるなら
ただ様々な光の粒が
蟻の大群みたいに集まって
悪魔の形を為しているだけなんだよ
詩人:清彦 | [投票][編集] |
手の上に砂
風に乗ってサラサラ
溶けていくのに
強く握るほど指の隙間から
こぼれてしまうのは何故
僕らには何事も決して
自分の物には出来やしないんだね
時に掴めたとしたって
それは儚く
幻だったみたいに
僕の手から離れていく
風に溶けていく姿を
ただ ただ
見送るしかないんだ
そして、しばらく立ち尽くして
少し何かが解った気がしながら
遠くを見つめるんだ
語りかけてくるような
波の音に包まれて
詩人:清彦 | [投票][編集] |
レジカウンター越しにテレパシー
僕はあんたが考えてることなんて
手に取るようにわかるよ
『毎朝こんな早くに押し寄せてくるんじゃねえよ邪魔者共め。』
きっとそう思ってるに違いない
僕だって多分、
細かいニュアンスは違えど同じように思うさ
缶コーヒーとサンドイッチ買ったら
コンビニを出て横断歩道で信号を待つ
横並びに険しい顔が
向かいにもこちらにも
気に入らない眼差しで
睨み合っているみたい
そうだな、敵はきっと何処かにいる
社会の所々に潜んでるような気配はある
信号の合図で進軍開始したけれど
みんな、すれ違って早足で何処へやら
サンドイッチ、公園で頬張って
タバコふかしてコーヒーを飲み干す
朝一番のブレイクタイムが
僕の幸福のうちの習慣になっている
時計を確認して辺りを見回したら
立ち上がって駅の方へ
さっきまでの喧騒が少し落ち着いて
通行人の数はまちまちだ
満員電車なんか後免だよ
僕はのんびりと生きていこう
待ち合わせよりも
かなり早い時間になりそうだ
僕が到着するのは
いつもは君が早めに着いて
僕のことを待っているから
今日は何かプレゼントを買っておこうかな
そうだな、 敵はきっと何処かにいる
社会の所々に潜んでるような気配はある
じっと僕らの幸せを何処かから
見張っているんだろう
今日も別れ話や裏切り話が
街の至るところで生まれてるんだ
だけど
そんな中で誰かを信じていたり
愛せる気持ちは輝いて
君の笑顔は ほら
かけがえのない
僕の生きてる証と重なって
刻まれているんだ
悲劇が潜んでたとしたって
僕は僕としての生き方を選ぼう
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なぜ僕らは
自由を奪われる必要があるだろう
なぜ少年は
大人たちに囲まれて
決まりきった道のりを強制されるだろう
気付けば、ここは
コンクリートジャングル
険しく、冷たい
それよりもひどいのは
僕らの日常的なタイムシフト
鼓動も呼吸もないはずの
秩序、安定、法則、規範
彼らを一生懸命回してるのは僕らだ
歯車が歪み、ギシギシと
痛々しい音を奏でている
誰が誰を不幸にしようが
それは仕組みの内側の出来事
どこか遠くの山で
誰も知らない花が咲いている
遠くの空をぼんやり
眺めては憧れているだけでは
いつのまにか
押し潰されてしまう
めまぐるしく活動する機械の
車輪の下に