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清彦の部屋  〜 新着順表示 〜


[133] 真っ赤な花
詩人:清彦 [投票][編集]

背中に傷

背負っては、何処から何処へ


満員電車では

こんなに人が人に無関心


互いに押し退けながら

運ばれる理由は誰がつくったの?


呼吸、呼吸、呼吸

そう、ただ生きていくだけだ


誰かがナイフを握りしめたら

それはどいつに向かうだろうか

無関心な君か

それとも僕か


花は気楽でいいよな

理由なんか必要無い

ただ、揺れながら

存在しているだけでいいんだ

でも、僕たちも同じなんだ



いったい、どんな模様を描くんだい?

僕達は感動するだろう

それぞれ、切断されたような領域で

喜びや悲しみや愛しさを



そんな人々を繋ぐもの

それは時に、血がしたたり落ちる

ナイフのような激情だったりする


痛みも犠牲もすべては必然で

遥なる青空の下に

ただ、真っ赤な花が咲くだけさ



2016/01/13 (Wed)

[132] 終わりなき日常
詩人:清彦 [投票][編集]

いつまでも変わらない

赤信号を見つめていた


鳥が空を初めての飛ぶとき

どんな気持ちなんだろう

心地よい、風にのって

この景色を遮るものなく

何処へでも行けると

この世を手中におさめたような

爽快な気持ちにならないか



ただ、ただ自由に飛び立ちたい

ただそれだけなのに

僕らは今日も、恐らく、

明日も明後日もいつまでも

この平坦な地面を歩いては

ビルに見下ろされ

高い空に憧れては


赤とか青とか

よく整備されたレールの上を

せっせと這って生きるのだろ



目的も夢もなく

さまよえる良心と

終わりなき日常を

2015/11/10 (Tue)

[131] 流浪の思唯
詩人:清彦 [投票][編集]

不思議だね

人生はどう足掻いても

過去へは引き返せないし

失った愛は失われたまんま



死んでしまった人が

天国や地獄の

どちらに行ったかもわかり得ないし


どれだけ祈りを捧げても

神さまは無関心としか思えない




世の中では戦争がどうだ

国家がなんだの騒いでいるけど

そもそも、良心って何さ

人間以外の動物たちは

そんなもの持ち合わせていない

必要な獲物を狩り

必要なぶん食らうだけなんだよね



僕らはいまだに、戦争中だ

資本主義やらなんやらの

ルールの上でやってるだけで

実際には人殺しとなんら変わらない

僕らの崇める自由だって

そのルールの上でのみ担保されるからね

いや、はたして君は本当に

自分の意思で生きていると

胸を張って叫べるかい?



不幸だね生きていくっていうのは

苦しみの連鎖だよ

いつも支配する少数と

支配される多数に別れている


気づかない方がむしろ

あっというまにあの世へ行っちゃって

幸せなんだろうけどさ



こんなにろくでもない人類にも

唯一、救いがあって

それは笑いの力なんだ


一瞬ですべてを消し飛ばしてくれる

だから、本当にずっと幸福なのは

頭のいかれた狂人なんだよ




でもね

実はね…



あの世なんて そんなものはないよ

あの世どころか

人生そのものが単なる幻じゃないか

夢なんだよ、ただの


ただあるものは空虚な空間

そして君だけなんだよ




2015/11/10 (Tue)

[130] 車輪
詩人:清彦 [投票][編集]

なぜ僕らは

自由を奪われる必要があるだろう

なぜ少年は

大人たちに囲まれて

決まりきった道のりを強制されるだろう



気付けば、ここは

コンクリートジャングル

険しく、冷たい


それよりもひどいのは

僕らの日常的なタイムシフト

鼓動も呼吸もないはずの

秩序、安定、法則、規範

彼らを一生懸命回してるのは僕らだ


歯車が歪み、ギシギシと

痛々しい音を奏でている


誰が誰を不幸にしようが

それは仕組みの内側の出来事


どこか遠くの山で

誰も知らない花が咲いている


遠くの空をぼんやり

眺めては憧れているだけでは

いつのまにか

押し潰されてしまう


めまぐるしく活動する機械の

車輪の下に




2015/10/20 (Tue)

[129] enemy
詩人:清彦 [投票][編集]

レジカウンター越しにテレパシー

僕はあんたが考えてることなんて

手に取るようにわかるよ

『毎朝こんな早くに押し寄せてくるんじゃねえよ邪魔者共め。』

きっとそう思ってるに違いない

僕だって多分、

細かいニュアンスは違えど同じように思うさ



缶コーヒーとサンドイッチ買ったら

コンビニを出て横断歩道で信号を待つ

横並びに険しい顔が

向かいにもこちらにも

気に入らない眼差しで

睨み合っているみたい



そうだな、敵はきっと何処かにいる

社会の所々に潜んでるような気配はある

信号の合図で進軍開始したけれど

みんな、すれ違って早足で何処へやら



サンドイッチ、公園で頬張って

タバコふかしてコーヒーを飲み干す

朝一番のブレイクタイムが

僕の幸福のうちの習慣になっている


時計を確認して辺りを見回したら

立ち上がって駅の方へ

さっきまでの喧騒が少し落ち着いて

通行人の数はまちまちだ

満員電車なんか後免だよ

僕はのんびりと生きていこう



待ち合わせよりも

かなり早い時間になりそうだ

僕が到着するのは


いつもは君が早めに着いて

僕のことを待っているから

今日は何かプレゼントを買っておこうかな



そうだな、 敵はきっと何処かにいる

社会の所々に潜んでるような気配はある

じっと僕らの幸せを何処かから

見張っているんだろう



今日も別れ話や裏切り話が

街の至るところで生まれてるんだ


だけど

そんな中で誰かを信じていたり

愛せる気持ちは輝いて

君の笑顔は ほら

かけがえのない

僕の生きてる証と重なって

刻まれているんだ



悲劇が潜んでたとしたって

僕は僕としての生き方を選ぼう

2015/10/16 (Fri)

[128] 波の音に包まれて
詩人:清彦 [投票][編集]

手の上に砂

風に乗ってサラサラ

溶けていくのに

強く握るほど指の隙間から

こぼれてしまうのは何故



僕らには何事も決して

自分の物には出来やしないんだね


時に掴めたとしたって

それは儚く

幻だったみたいに

僕の手から離れていく


風に溶けていく姿を

ただ ただ

見送るしかないんだ



そして、しばらく立ち尽くして

少し何かが解った気がしながら

遠くを見つめるんだ

語りかけてくるような

波の音に包まれて


2015/10/16 (Fri)

[127] 悪魔の表象
詩人:清彦 [投票][編集]

目を閉じたって

暗闇のそこは砂嵐

すべての色を象るのは

ほんの小さな光の粒の集まり


ため息はいくら吐いても

呼吸は止まらないからまた吐き出す


コップ一杯に水を注いだら

ゆらゆら揺れる水面に

煩わしいことが次々に浮かぶんだよ


透明で何も無いふりして

ちゃんと質量を保ってる

自分自身か、それとも

この世を見張る何者かに

長い間ずっと

騙されている感覚だ



もう面倒くさいから

一口で全部飲み干してやる

ゴクンって喉を一瞬通って

胸からお腹の辺りまで

すぅっと染み渡るように

罪悪感ごと、落ちてゆく


カチカチ鳴る時計の針は

焦れったくて苛立たせてくる

声にならない叫びが

激しい低音の振動みたいに

ガタガタと身体が震えるよ



沢山のことを教え込まれて

くたくたになって生きてきたけど

僕はいったい

何のために生きているんだろうか



ほんの些細な

過ちの連なり

小さな小さな

嘘が積み重なった

膨大な矛盾



眠れなくったって

眠るしかないんだ

もう何も見たくなくて

深く吸って、ため息吐いて

電気消して布団に飛び込んだ


目を閉じたって

暗闇のそこは砂嵐

すべての色を象るのは

ほんの小さな光の粒の集まり



わかるかい?



本当は何処にも

嘘も理不尽も矛盾も無い

例えるなら

ただ様々な光の粒が

蟻の大群みたいに集まって

悪魔の形を為しているだけなんだよ



2015/10/16 (Fri)

[126] シャワーの中
詩人:清彦 [投票][編集]

悲しみよ飛んでゆけ

僕にしか聞こえない轟音で

激しく鼓動を揺さぶる痛みごと


火の熱 夜の静けさ

人のやさしさ うなだれた向日葵

波打つ市場の変動や

渦巻く欲望の嵐も

みんなみんな、溶け合い、静まれ



財布までもが生きているように

じゃらじゃらと

小銭を吐きながら泣いている


愚かなものだろう

後悔はいつも失ってから始まる

これ以上、意味を成すことも無い対話が

青、橙、黒に染められて

明日、また新しい僕に

書き換えられるのだろうか



もう、

疲れを纏ったくたびれた身体を

シャワーが勢いよく叩きつけて

湯気が視界を遮って

まるで、初めから

「ずっとここに居たんじゃないか?」

って

錯覚させてくれる



静まれ

僕にしか聞こえない轟音よ


悲しみよ飛んでゆけ

激しく鼓動を揺さぶる痛みごと


愛した人など

初めから存在していなかった

今、この僕に

愛してる人は

存在していないのだから



2015/10/14 (Wed)

[125] 雨模様
詩人:清彦 [投票][編集]

雨滴が木葉を滴り

透明な硝子玉は

永遠のような一瞬を落ちて

地面に衝突する

物理の法則の美しさに例外無く

中心から花火のように砕け

吸い込まれ、染みていく


土に、川に、祈りに、命に

光に、闇に、愛に、空に


激しく降りだした雨

男の傘に打ちつける

愛しき笑顔とさよなら

水溜まりに 波紋が幾重にも

一瞬、あの日々

揺らいで、揺らいで、揺らいで


止まない雨音

膨大な後悔の滴達

ピチャピチャと足音

永遠の記憶に

沈んだり浮かんだりしながら

這っているようだ


自然の法則はいつだってありのまま

人気の無い道路の真ん中で

猫が目玉を出して横たわっていた

男は傘を投げ捨てて

さよならを何度でも噛みしめる

びしょびしょに濡れた身体中

涙だけが熱く頬を伝っていく



僕らの人生はこの雨のように

ただ、落ちて碎け散るだけだ

永遠のような一瞬を通りすぎて

地面に衝突して染みていく


土に、川に、祈りに、命に

光に、闇に、愛に、空に

2015/10/16 (Fri)

[124] 素晴らしき音楽
詩人:清彦 [投票][編集]

感動的なピアノの旋律

母胎に包まれたように

重低音が薄く伸びていく

芸術品の階段ように、もしくは

海のやや規則的な波のように

音が低音のシーツの上に

美しく沿って散りばめられている



僕は目を閉じている

ここが何処だったっていい

波打つ鼓動のリズムに合わせて

魚が海を泳ぐように

鳥が風に乗って飛ぶように

僕は音楽に身を任せる



子供の頃へ少しずつ

遡っていくみたいだ

純粋さを取り込んでいく

呼吸が必要でたまらない

少しの息苦しさ

生きていく感覚



生きている喜び

嗚呼、素晴らしき音楽


2015/10/08 (Thu)
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