詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
大空を自由に飛ぶ君が
いつか疲れ
羽を休ませる場所を望むなら
僕はこの両腕を広げよう
君がゆっくり休める様に
大きく高く広げよう
暮れ行く空を悠然と泳ぐ君が
いつか疲れ
眠りに就く場所を求めるなら
僕はこの両掌で包み込もう
君がぐっすり眠れる様に
柔くしなやかに包み込もう
羽を痛め飛べない君が
いつか疲れ
倒れてしまいそうなら
僕の体で支えよう
君が安心して傷を癒せる様に
強く優しく支えよう
願えるならば
僕は君にとって
そんな宿り木でありたい
詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
記憶の中の君は
いつも優しくて
戻りたいと願わずにはいられないよ
たくさんの季節が過ぎても
君の影は消えず
その色を濃くするばかりだよ
記憶の中の君は
いつも冷たくて
涙せずにはいられないよ
たくさんの時が流れても
忘れられず
君への想いは強くなるばかりだよ
どんなに想っても届かなくて
どんなに願っても叶わなくて
傷が増えるばかりだよ
人を傷つけ
自分を傷つけ
過ぎ行く日々に癒しを求めて
どこまで行けばいい?
君という標を失った僕は
どこに向かえばいい?
詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
茜に染まる空を背に
大きく両手を広げて
右手にはオレンジ色の
左手には紫色の雲を持ち
沢山の人を見つめ続けてきたんだろう?
聴かせておくれよ君の見てきた人達を
聴かせておくれよ君の見てきた町並みを
君の様に大空いっぱい手を広げるよ
少しは大きくなれたかな?
大きな君から見たら僕はちっぽけかい?
君は鉄塔いつも、そこに立っている。。。
詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
不変と安寧の時の中
ただただ過ぎ行く
日常を憂い
明日に不確かな希望と
用意されていた
絶望を抱きながら
先の見えぬこの路を
一人歩む僕の背に
そっと手を
差し伸べてくれていた君
僕は気付く事さえできず
また一歩
暗闇へと脚を踏み出してしまう…………
詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
決別の日
最後の視線を受けとめる
友は淋しさを
母は励ましを
父は心配を
「行ってきます。」胸を張って町を出た
月日は流れ
過ぎ行く日々に立ち止まり
流れる街に背を丸め
倒れるように眠りに就く
瞳を閉じると
決別の日の皆の視線が目蓋に映る
友は変わらず
母は優しく
「いつでも帰っておいで」と語りかける
けど父だけは、しっかりと僕を見据え
「逃げるな胸を張って生きろ」と語りかける
あぁ……今なら分かるよ
決別の日のあなたの瞳が心配だけではなく、期待を込めて見送ってくれたんだと
枕を濡らし僕は誓うよ
あなたの誇りに成れる様
胸を張って前を向いて歩いていくと
だから、もう少しの間その心配と期待を込めた瞳で見守っていてよ。
詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
今年最後の花火大会
最後の花火が盛大に打ち上げられた
だんだんと小さくなっていく喧騒の中で見上げたそこには
月明かりを浴びて白々と煙が漂っている
目蓋を閉ると
ふいに今は居ない君を思いだした
そこには無い君の手を握り締める
忘れたはずの涙が一粒零れ落ちた
今…………わかったよ
本当に君の事が好きだったんだって……
もう、戻れないあの日を思い
目蓋を開く
そこにはだだ月が輝いていた
あの白々と漂っていた煙は残り香だけを残し姿をけしていた
遠くから聞こえた友の声に慌てて涙を拭い
今年最後の花火大会が終わりをつげた……………
詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
こぼれ落ちる砂のように
過ぎ去っていく日常のなかで
何かを掴もうとしてひらいたその手から
何を無くしたんだろう?
何を掴めたのだろう?
今はまだわからなくとも
いつの日かきっと………
詩人:雨蛙 | [投票][編集] |
どんなに前に進みたいと願っても
心が体を鎖で捕まえてる
何もできない事を
嘆きながら
今日もまた
暗く小さな部屋の中で
小さくなって眠りにつく
自分の弱さを隠しながら