| 詩人:黒夢 | [投票][編集] |
僕はこれから、貴女の前から居なくなります。
貴女を置いて逝くのは
とても悔しくて
とても哀しくて。
僕がいつもかっこつけたことを言って
貴女に笑われていたのは、ただの気紛れじゃないんです。
この言葉が、少しでも貴女の中に残ってくれるように。
貴女が僕を忘れない為に。
少しでも長く、貴女の中に僕が居るように。
きっと貴女は僕のことを忘れてしまうだろうから
それでも僕はそれを咎めはしません。
少しでも長く、貴女が僕を想ってくれたら。
そう思うんです。
僕は我侭で、愚かで、子供だから
いつまでも貴女を束縛していたい。
いつまでも、貴女に隣に居て欲しい。
いっそのこと、貴女を連れて逝けたら。
そんな馬鹿なことを考えるくらい
僕は、愚か者です。
貴女に忘れられない為に、貴女を束縛できるように
貴女が僕のことを想ってくれるように
貴女が生きてくれるように
僕は貴女に沢山の言葉を遺します。
貴女が忘れられないような、強い言葉を。
少しでも記憶に残るような、強い言葉を。
霞みゆく視界の中に、貴女を思います。
貴女が何より大切で、誰よりも好きでした。
だから僕は貴女に
沢山の言の葉達を遺して
貴方を想いながら
最期の涙を流します。
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あの日、私に貴方の冗談を軽く笑い飛ばすほどの
『強さ』があったら。
そうすればきっと、今も私の隣には貴方が居た筈。
私に貴方の言葉で取り乱さないほどの
『大きな器』があったら。
今も普通に笑って寄り添っていられただろうに。
もう、涙も枯れてしまったよ。
それでも、君の姿を見れば涙が流れる。
流れる涙を、私を濡らす雨と偽って。
私を濡らす雫はきっと、『後悔』と言う名の雨。
謝罪もできずに離れた距離はもう、縮まらない。
幸せになる為に時間を掛けて積み上げたものは
ほんの一瞬で崩れ去り、私に虚無だけを残した。
今更遅いけれど、私は貴方が好きだった。
誰よりも、何よりも、どんなものよりも。
さよならは、まだ言えない。
私にとって貴方が特別じゃなくなるまで。
それまでは、貴方を好きでいたい。
でもそれじゃいけないと思ってるから
こうして雨に打たれてるんだよ。
この雨が、私から貴方を想う気持ちを流してくれるまで。
私から貴方を、奪ってくれるまで。
いつまでも、いつまでも。
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小さな頃の写真を引っ張り出して眺めてみる。
無邪気に笑っている写真や、思い切り泣いている写真や。
自分はこんなにも小さかったと、見た目も、中身も。
今の僕には到底真似できないような表情ばかりで。
純粋。
という言葉がよく似合う。
そりゃそうで、今の僕は醜い感情ばかり渦巻いていて。
懐かしい、と思った。
でもそんなことを思うほど、僕は長い間生きていない。
きっと、簡単に振り返ることのできる短い僕の生きた道。
苦労したことなんてあんまりないかもしれないし
僕の言う苦労は親の世代にしてみれば
只の我侭に過ぎない。
それを認めて欲しいと言うのは、無理がある。
それでも、僕には僕の理屈があって
只の屁理屈にしか聞こえないかもしれないけれど
僕なりの価値観と言うものだってある。
こんな我侭なことを考えてるのは
昔と変わらない。
只、少しだけ口が達者になっただけ。
結局、成長したのは見た目だけなのかもしれない。
我侭な所も、僕の短所も全部
昔と変わらない。
否、以前のような純粋さは今の僕にないけれど。
これから、もう何年か経った時
僕はまた同じことを考えているのだろう。
こうして写真を見ながら、変わらないと笑って。
その時はまた、少しだけ口が達者になっていて
やたらと長い御託を並べているんだろう。
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互いにさよならを言って背を向けた。
君は何処かへ走っていく。
僕ではない誰かの所へ。
君の靴音が僕の耳に届かなくなっても
僕はただその場所に立っていた。
君が幸せであれば。
そう言って、君の背中を押したフリをした。
そんなにいい奴じゃないのに
無理して、限界まで我慢して。
君の好むいい奴を、演じていたんだ。
最後の最後まで、本当の僕を見せないで。
ピエロみたいだろ。
笑顔の仮面を貼り付けた、哀しいピエロ。
でも、そんな自嘲気味なことを考えたって
本当は君の笑顔を望んでいて
やっぱり君に幸せになってほしいよ。
これから僕等は、沢山の季節をめぐる。
僕も君も、それぞれの道を歩みながら
夢へと向かっていくんだ。
夢へと走る君の隣に、僕も居たかった。
あの日言えなかったこの言葉を。
届くはずないと知っているから、だからこそ
この場所から君に
愛していた、と言おう。
過去形にしたって今も続くこの想いを。
二度と伝わらない、愛の言葉を。
ゆっくりと歩き出した先に
君の姿はもうないけれど。
もう少しすれば、いい思い出にできるはずだから。
君が僕の側から居なくなってからしばらくたって。
僕は初めて他の誰かの幸せを、心から祈っていた。
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生きる中で何度躓くことがあっても
辛くて何度立ち止まることがあっても。
それでもまだ、僕はこの歩みを止めはしない。
ひたすら歩き続ける。
例え血を流すことになろうとも。
此処に居る価値が僕になくても
この命に意味がなくても。
それでもいつかきっと、歩き続けてそれを見つける。
僕の存在の意味。
例えその先が地獄か天国であろうとも。
この身体が動き続ける限り。
この心が生きている限り。
血塗れた道でも構わない。
絶望が待っていても構わない。
意味なんかなくたって。理由なんかなくたって。
この身体が動き続ける限り。
この心が、僕である限り。
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迷う苦しさも、些細な悲しみも、小さな疑いも
会えない辛さも全て、君が居たから。
鬱陶しいぐらいの醜い感情も
嘲笑したくなるぐらいの女々しい感情も
全部、君と居たから。
全部きっと、君と居たから。
全部きっと、君が居たから。
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大きな音がして、ぼんやりと顔を上げた。
ドラマで見るように、水色の傘が宙を舞った。
それにあわせて、ゆっくりと、本当にゆっくりと
実際は一瞬なんだろうけれど
人の身体も宙を舞った。
心臓の音が、自分にもよく聞こえて。
『コワイ』
考えるよりも先に、僕は事故現場を通り去った。
何度も何度も
宙を舞う傘と、人の身体が、頭の中で再生されて。
救急車を呼ぶべきだった?
人を呼ぶべきだった?
それよりあの人は無事だった?
『ボクハナニヲスベキダッタ?』
僕は僕が大嫌い。
判断力のない自分が大嫌い。
他人任せになる自分が大嫌い。
『ナニモデキナイボクガ、ダイキライ』
また頭の中で、あの日の出来事が再生される。
こうなることが分かっていたら
別の道を歩いていたのに。
そんなことを考える自分が
世界で一番、大嫌い。
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今、僕が此処にいる意味なんかないとしても。
理由が見つけられなくて迷ったとしても。
昨日を後悔して涙を流したとしても。
生きる意味が解らなくなったとしても。
例えそれでもいい。
ただ、僕がこの道を歩いたという
確実な足跡を此処に残せたなら。
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空を見上げて青いと思った。
君を見て眩しいと思った。
空に手を伸ばして遠いと思った。
君の背中が遠いと思った。
君と空は紙一重だなんてやけに女々しいことを考えた。
でも今はそんな事さえもう、どうでもよくて
ただただ、空が青いことを
ぼんやりと再認識した僕がいた。