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浜崎 智幸の部屋  〜 新着順表示 〜


[128] 【鋼玉】コランダム
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


少女は
母の持ち物の指輪を
そっとはめてみる

誰もが
そんな悪戯を
通って生きてきたんだね

臆病とか怯懦とか

どうでもよかった航跡




扉を開けた 三面鏡
禁忌と慚愧 交差する

残酷よりも甘美な血
蒐めて輝く宝石

恭順とか彌縫とか

どうでもよくなる光量

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2025/06/10 (Tue)

[127] 【星の降る街】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


混みあう国道
山に向かってステアリング

そこから始まる
蒼い夜のハイウエイ

深い悲しみを
クレスタに乗せたら

星の降る街に
さよならと言える

鈴田峠までに
君のソアラを抜こう
鈴田峠までに
星を撃ち落とそう

・ 
空港の島は
人工にきらめく

君はいつだって
僕をだましてた

ハンドルはいつも
傷つかないほうへ

溜め息にまかせ
浅く切ればいい

多良見インターまでに
君の嘘を暴こう
多良見インターまでに
夢を見限ろう

深い悲しみを
助手席に乗せたら

君がいた街に
さよならと言える

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2025/05/20 (Tue)

[126] 【廃墟の春】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


すべて燃えた
すべて消えた

深い悲しみから
生まれた「いのち」

ひとしずくの
露のなかに

ちいさな胞子が
つくられました

春がきました


・ 

誰もいない
誰も来ない

黄泉の国のような
静寂<しじま>の朝に

鳥が鳴いた
一羽だけで

たった一羽だけで
鳴いていただけ

春が来ました

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2025/05/15 (Thu)

[125] 【筑後川】on the mark
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


遠い日は広い河の
岸で悔し泣きしていた

キラキラと憎いほどに

河はまぶしく光ってた

僕はやがて ずるいことを覚える

だけど待とう
濡れたシャツを冷やす風

歌を創れ 歌に還れ

軽い羽を取り戻そう

いま心のon the mark

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2025/05/15 (Thu)

[124] 【辛夷咲く】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


ふるさとは
鳥が歌い 花が招く
山のきらめき
辛夷(こぶし)咲く
愛と人が向かいあった
妙(たえ)の国

ここに来るのなら


やみに
さぐる
しろい
いとを
こころ
のなか
うずめ


あなたに
とどくま


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2025/05/08 (Thu)

[123] 【力を欲する者たちは】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


大袈裟なほどハンドルを切る
水面に刺さる大粒の雨

いつか見た空 思い出せない
ひとりで探す私の希望

力を分けてくれるなら
たとえ悪でもかまわない


泣けばよかった 泣けた季節に
まぶしいほどに過去は輝く

切れ端ばかり集めたような
意味のない都会(まち)走り抜けたら

力でねじ伏せてしまえ
名前で呼べるもの すべて

力で滅ぼしてしまえ
言葉にできないものまで

──────
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2025/04/16 (Wed)

[122] 【西の風が吹くとき】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


すこし 窓を開けたらいいね
あの町が見えたなら

もっと 心開いてみよう
優しさに会うために

海沿いの道を走り
トンネルをいくつか抜けて

懐かしいダイヤルで
懐かしい声を聞こうよ

西の風が吹くときは
心はやるから

これ以上無邪気には
なれない

そんな気がする 


そうさ 嘘をやめたらいいね
あの人に会えたなら

そして 大きな声で言おう
“諦めはしないよ”と

季節より早い風と
降りそそぐ星を味方に

憎いほどの自信で
懐かしい肩を抱こうよ

西の風が吹くときは
心はやるから

これ以上素直には
なれない

そんな気がする

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2025/03/10 (Mon)

[121] 【讃歌】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



【長崎弁】

アラカブは釣れよんね

こん海はよんにゅ獲るんね

こん海がいつまでん、ないどるごと

祈っとるけん



【標準語・意訳】

カサゴは釣れますか

この海は豊かですか

この海がいつまでも静かなように

祈ります

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2025/01/30 (Thu)

[120] 【角膜と週刊文春】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


どこの誰かもわからない あなた──

眼のぐあいはどうですか?

──とは言うものの 僕はなんの心配もしてません。

だって、僕のお母さんは
85歳にして週刊文春を裸眼で読んで
看護師を驚かせていた人です。
品質保証の角膜です。
その週刊文春は棺に入れました。

大丈夫。
角膜が無いぐらいでは
あの母は字を読むのに困りませんよ。

とにかく、母の角膜をもらってくれて
ありがとうございました。

あなたは何をしていますか?
恋を探しにいきましたか?
本を読んでますか?
スマホばっかり見てるなんてことは、ないでしょうね?

旅行してみませんか?
美しい景色を
人々の暮らしを
見に行きませんか?

もしかすると、旅先で、
僕を見るかもしれませんね。

そのとき、ふいに涙が溢れると思います。
きっと、そうなります。

それくらいは、許してやってください。
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2024/12/21 (Sat)

[119] 【朝日が昇るとき】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



味方なんて自分だけでいいと言う
君のことを否定できるわけはない

僕はまた支えにはなれなくて
自分を責める それだけ

準備は終わったね
明日はもう お別れだね

僕らはそれぞれに夢いだいて
歩きだす


ひとの痛み背負うほどの優しさが
いつの日にか僕の胸にも宿るだろう

この僕のあどけない強がりを
笑わないでね いまだけ

朝日が昇るとき
始まるんだ 君の未来

僕らはそれぞれに夢いだいて
歩きだす

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2024/12/03 (Tue)
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