詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
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出来屋敷公園へ続く坂道を行けば
どんな悲しみだって心をすり抜けていく
水源地のあたりは蛍が橋を渡る
時計も遅くまわる
生まれてきてよかったよ
あなたに会えたときの喜び繰り返すために
歌を歌う
光があふれ世界の形見えなくしても
歌声は続くよ
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※「ほんごうちワルツ」と読む。
※水源池ではない。水源地で正しい。
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白い鳩が 闇を裂いて
眠り深い街をよぎる
黙ってられるほど
私は強くない
手紙の重さは
私も知っている
誰も手紙 脚に巻いた
影をもって生まれ 滅ぶ
言葉にできるなら
あなたもわかるのに
風吹け 風鳴れ
私の味方なら
(鳥は闇の中で目か利くのか……細かいことは考えないでください)
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土砂降りのなかへ
吸い込まれていくことで
すべての悲しみ
捨て去る人だった
幸せなど見せかけだと
私の肌触れもしなかった
Passanger in the midnight
卑怯な微笑みも
Passanger in the midnight
優しい裏切りも
すべて抱きとめるから
Passanger
・
・
やりたいことだけ
できるならばいいのにねと
私の言葉に
くもった瞳伏せた
幸せなら君がそうだと
舌足らずに言葉濁してた
Passanger in the midnight
未熟な欲望も
Passanger in the midnight
不当な抑圧も
すべて許せるならば
Passanger
───────────
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君の白いブラウスが寒そう 夏の日の図書館
小説の本棚の前から ずっと動かないね
──何を探してるの?
──恋愛のカタログ?
見つかるよ 君なら
純粋だけど弱くない
君の意志の瞳の正しさを 僕も真似てみよう
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▼
少しきつくウェストを絞った 紺のスカートから
貸出しのカードを取り出して カウンターに置いた
──二週間有効の
──恋愛のテキスト
小さめの活字の
ちからを君は確かめる
君が読んだ世界のひろがりを 愛が満たすだろう
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この曲の失敗……タイトルが早口言葉になってしまったこと。
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懐かしい歌を歌ってくれなくていい
ありふれた優しい笑顔で応えてほしい
僕はまだ弱いよ。
滑(すべ)らかにはなれないで
乾かない涙を日だまりのなか
わざと落とした。
ありがとう──
あなたの瑠璃光に
僕は包まれているよ
ありがとう──
慈悲とその功徳が
この世界に溢れ出す
■
■
清潔な願い 見返りを求めぬ愛
忘れないうちに書きとめられた出来事
歌はまだ続くよ。
飽きることのないように
痛みから生まれた心はそっと
奇蹟を起こす。
ありがとう──
あなたの寂光(じゃっこう)に
僕は包まれているよ
ありがとう──
知恵とその散華(さんげ)が
この世界に溢れ出す
■
道はまだ続くよ。
すべての国を通るよ
許しあい 励まし
ひとつになれる
教えを運ぶ。
ありがとう──
あなたの瑞光を
誰もが見上げているよ
ありがとう──
歌頌(かじゅ)とその伎楽(ぎがく)が
この世界に溢れ出す
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瑠璃光……薬師如来の別名だが、ここでは安らぎの光といったところ。
寂光………極楽を常寂光土ともいうが、ここでは希望の光といったところ。
瑞光………仏の出世(現世への来臨)を告げる光。
歌頌………カンタータ。
伎楽………オラトリオ。
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風の通る道を一人見てた
幸ある人たちのギターを聞いた
すべて光に似た価値あるもの
過ちさえ消えた世界のもの
響きあう心で いつまでも愛そう
たったいちど たったひとり
僕のリーセル
■
■
風の強い朝はどこに行こう
霜のついた窓に何を見よう
感じたまま遊ぶ子どものような
素直な心なら届くだろうか
嘘のない態度で いつまでも愛そう
たったいちど たったひとり
僕のリーセル
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リーセル……高校時代の先輩につけた愛称。今となっては語源は不明だが、luce(光)と関連があると思われる。
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いつもとよく似た 朝がまた来たね
今は会えない人に 歌うつもりでいた
小さな音符が てのひらに残る
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みどりの表紙の 読まずにいる本(詩集)
今は言えない人に 歌うつもりでいた
小さな休符が ゆびさきに残る
■
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調律してない がっこう(小学校)のピアノ
今も消えない心 歌うつもりでいた
小さな旋律 くちびるに残る
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あなたをあいしただれよりも
わたしのおもいはつよかった
わすれないでねぇ
わすれないからぁ
たねになって
かぜにのって
とんでいきたい
はるをよぶからぁぁ
はるになるからぁぁぁ
うたになって
かぜにのって
あなたにとどけっ
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少女らは今日も空へ(まぶしい空へ)
繰り返す飽かぬ調べ
透明な時を待って(記憶を冷まし)
かき鳴らせ風のハープ
──強い意志あらわにし
姿勢をただして
──あっさりつかんだ
夢を僕には教えてくれないの?
少女らは今日も空へ(まぶしい空へ)
繰り返す飽かぬ調べ
輝きをほしいままに(一人占めして)
かき鳴らせ風のハープ
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光が髪に透けて
夏の空を切り取るとき
泣きたいほどの緑
きみの町にあふれる
信じている 信じてない
それはつまらない問題
言葉よりも綺麗な花
きみに見つけてあげる
◆
◆
言葉も耳も辞書も
すべて意味を失うとき
迫力のある緑
きみの町を飲みこむ
根拠がない 理由がない
やはり陳腐すぎる定義
真実より強い愛を
誰も見つけていない
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