詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
──だれかが口笛ふいた
──夏草の小道で
──だれかが口笛ふいた
──さわやかな朝に
待ちかねた青空に
君の笑顔映えれば
僕はもう躊躇わず
君の味方になれる
輝くほど 燦めくほど
悲しみだけ 薄れるように
・
・
懐かしい風が吹く
こんな淡い午後には
君に宛てた手紙に
ほんとのことが書ける
誠実さが ただ一つの
君を選ぶ 理由(わけ)であると
──────
──────
小学生高学年の教科書に載っていたフランス民謡「誰かが口笛吹いた」。
自分の作詞作曲の原点となった曲である。
爽やかな歌詞と新鮮な転調。新しい扉が開いた。
▽
冒頭16小節は原曲のままで、それ以降は私の作曲である。
「君」は中学校の制服を着て、柔らかい光に溶けそうになりながら、そこに立っている。
───────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
夏の夜は水も冴え
叶わぬ恋を慰める
浅い眠り誘う楽(がく)の声
偽りの言葉 すでに無く
この胸の痛み 懐かしく
我もまた ひとつ あかり点す
・
・
心騒ぐことは熄(や)み
億万の目が閉ざされる
寄せて返し 時は滞る
渇仰(かつごう)のくびき すでに無く
素足の天使が舞い降りて
浄められた窓 そっと叩く
────────
────────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
銀の鈴を拾いました
名も知らぬ花の陰で
それは二度と帰ってこぬ
夏の恋の夢でした
好きと言えないままに
散り急ぐ野の花よ
恋が終わったならば
次の恋待ちわびよ
銀の鈴を拾いました
捨てられた口紅(べに)のそばで
それが美しいなら
私でも涙する
蛍 身を焦がすほど
文殻をもてあます夜
銀の鈴を拾いました
捨てられた櫛のそばで
─────
─────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
ああ わたしの好みの光
そして 響き
ああ 小さな窓にも届く
朝の希望
そこまで来た夏は
愛のように甘い
そこまで来た夏は
愛のように甘い
さあ 踊ろう 夢のなか
さあ 笑おう 今すぐに
ああ 君はスジャータですか
もうここは天上ですか
・
・
指を弾くだけで
世界中に響く
呼吸を聴くだけで
こころ全てわかる
菩提樹の枝には
迦陵頻伽(かりょうびんが)遊ぶ
菩提樹の枝には
迦陵頻伽遊ぶ
さあ 脱けよう サンサーラ(輪廻)
さあ 目指そう ニルヴァーナ(涅槃)
ああ これはサルピスですか
もうここは天上ですか
──────
──────
サルピス・・・仏教でいう熟酥味(じゅくそみ、ヨーグルト味でいいかな?)。カルシウムを強化したら、カルピス。
──────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
不可解な色彩の渦で
あなたが見えない
甘やかな迷宮
人知れず 胸を焦がす恋
「蜜」と呼べる「罪」は
あなたの髪に触れたこと
花吹雪を肩に浴びて
笑い声をあげよう
祝う声にかき消される
僕の言葉
僕の指令──帽振れ!
・
・
不合理な満足の日々の
それなりの魅力
ときめく帰り道
君知るや 色褪せない愛
翼のある心
一途に走るこの思い
月の雫 両手に受け
君の町を目指そう
響きわたれ 響き交わせ
僕の言葉
君の合図──帽振れ!
────────
────────
第一連では、あなた。第二連では、君。
つまり、距離感ですね。
────────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
夜明けから日暮れまで
鳥が空にいるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる
10時から6時まで
夢を見続けるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる
実りのときが近づいたのは
君の笑顔でわかるよ
空と話すこともできるよ
信じていなくても
ここで
みどりを育ててくれますか
笑顔のままで
みどりを護ってくれますか
みどりのままで
・
・
珍しい蝶よりも
季節の草でありたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい
背伸びするぐらいなら
誰も愛さずにいたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい
もっと深いよ もっと強いよ
君の笑顔の約束
人が人に立ち返れるよ
意識してなくても
ずっと
みどりを助けてくれますか
笑顔のままで
緑を愛してくれますか
みどりのままで
──────
──────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
帰らない時なら
私はいらない
死んだ記憶なら
帰れ恋人なら
淋しい私に
声を分けてくれ
昔のように
選ばないで
私はかなり希薄
飾らないで
あなたはきっと微弱
東雲(しののめ)の時まで
起きて 観てるから
星たちの空を記録してほしい
・
・
慈悲深い心で
門を叩くなら
閂(かんぬき)をはずし
裸身を温める
恋人を迎え
差別(しゃべつ)に親しむ
悲しみの部屋
咎(とが)めないで
私はかなり希薄
阿(おも)ねないで
あなたはきっと微弱
暁のときまで
正気でいるから
星たちの空を記録してほしい
──────
──────
差別(仏教用語)・・・あらゆるものがあるがままに存在し、その価値を認めあっている状態。
──────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
経済学部のあたりは
風が真夏を連れてくる
学生通りを渡って
私の窓に吹き寄せる
不安な心のまま
この町に来ないでね
ためらう言葉なんて
定義不能だから
わかってくれるなら
帰去来(帰りなん、いざ)片淵へ
わかってくれるなら
◆
◆
済生会の門からは
悩みのない空が見える
杖がわりの乳母車で
年寄りたちが闊歩する
彼女を想いながら
この町に来ないでね
未知数の愛なんて
二律背反だから
わかってくれたなら
歸去來(かえりなん、いざ)片渕へ
わかってくれたなら
────
────
経済学部・・・長崎大学経済学部
済生会(さいせいかい)・・・総合病院の名前
────
────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
峠を下れば左手の谷間に
流れも清らな小川が見えるはず
半農半漁の小さな世界まで
ゆらゆら流れる小さな川のうた
若菜川よ 若菜川よ
誰のために行く
僕もいつか川を伝い
あの人の里へ
若菜川は 若菜川は
浅い春のいろ
そして今日も
あの人とは会えないよと
告げた
・
・
許されるものなら僕も川になって
夢見たあの人を焦がれて流れたい
若葉の光を反射してただよい
小さな憂いを集めた川のうた
若菜川よ 若菜川よ
好きな人を得よ
僕もいつか川になって
あの人の許へ
若菜川は 若菜川は
僕を待たず往く
そして今日は
このあたりで引き返せと
告げた
─────
─────
詩人:浜崎 智幸 | [投票][編集] |
・
夢の入口だね
あなたの住む町は
過ぎた日の優しさを思い出す午後
そして笑い声が
光とたわむれる
悲しみが遠ざかる そして温もり
──人が学べることは
あまりに少ないけど
──人が愛せるものは
数えきれないほどに
この町のあちこちにあるよ
和楽団地
・
・
愛を試すものは
いつでも多いけど
永遠の約束も信じられるね
弱気になるときも
未熟を恥じる日も
あなたを思い出せば
うまくいくはず
──僕が歌えることは
あまりに少ないけど
──歌いたくなるものは
数えきれないほどに
この町のあちこちにあるよ
和楽団地
──────────
長崎県西彼杵郡長与町
──────────