ホーム > 詩人の部屋 > 浜崎 智幸の部屋 > 新着順表示

浜崎 智幸の部屋  〜 新着順表示 〜


[105] 【だれかが口笛ふいた】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



──だれかが口笛ふいた
──夏草の小道で
──だれかが口笛ふいた
──さわやかな朝に

待ちかねた青空に
君の笑顔映えれば
僕はもう躊躇わず
君の味方になれる

輝くほど 燦めくほど
悲しみだけ 薄れるように


懐かしい風が吹く
こんな淡い午後には
君に宛てた手紙に
ほんとのことが書ける

誠実さが ただ一つの
君を選ぶ 理由(わけ)であると
──────
──────
小学生高学年の教科書に載っていたフランス民謡「誰かが口笛吹いた」。

自分の作詞作曲の原点となった曲である。

爽やかな歌詞と新鮮な転調。新しい扉が開いた。

冒頭16小節は原曲のままで、それ以降は私の作曲である。

「君」は中学校の制服を着て、柔らかい光に溶けそうになりながら、そこに立っている。
───────

2024/09/02 (Mon)

[104] 【小夜曲2】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



夏の夜は水も冴え
叶わぬ恋を慰める
浅い眠り誘う楽(がく)の声

偽りの言葉 すでに無く
この胸の痛み 懐かしく
我もまた ひとつ あかり点す


心騒ぐことは熄(や)み
億万の目が閉ざされる
寄せて返し 時は滞る

渇仰(かつごう)のくびき すでに無く
素足の天使が舞い降りて
浄められた窓 そっと叩く

────────
────────

2024/08/29 (Thu)

[103] 【銀の鈴】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



銀の鈴を拾いました
名も知らぬ花の陰で

それは二度と帰ってこぬ
夏の恋の夢でした

好きと言えないままに
散り急ぐ野の花よ
恋が終わったならば
次の恋待ちわびよ

銀の鈴を拾いました
捨てられた口紅(べに)のそばで

それが美しいなら
私でも涙する
蛍 身を焦がすほど
文殻をもてあます夜

銀の鈴を拾いました
捨てられた櫛のそばで
─────
─────

2024/08/27 (Tue)

[102] 【醍醐】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



ああ わたしの好みの光
そして 響き

ああ 小さな窓にも届く
朝の希望

そこまで来た夏は
愛のように甘い

そこまで来た夏は
愛のように甘い

さあ 踊ろう 夢のなか
さあ 笑おう 今すぐに

ああ 君はスジャータですか
もうここは天上ですか


指を弾くだけで
世界中に響く

呼吸を聴くだけで
こころ全てわかる

菩提樹の枝には
迦陵頻伽(かりょうびんが)遊ぶ

菩提樹の枝には
迦陵頻伽遊ぶ

さあ 脱けよう サンサーラ(輪廻)
さあ 目指そう ニルヴァーナ(涅槃)

ああ これはサルピスですか
もうここは天上ですか

──────
──────
サルピス・・・仏教でいう熟酥味(じゅくそみ、ヨーグルト味でいいかな?)。カルシウムを強化したら、カルピス。
──────

2024/08/24 (Sat)

[101] 【帽振れ】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



不可解な色彩の渦で
あなたが見えない
甘やかな迷宮

人知れず 胸を焦がす恋
「蜜」と呼べる「罪」は
あなたの髪に触れたこと

花吹雪を肩に浴びて
笑い声をあげよう

祝う声にかき消される
僕の言葉
僕の指令──帽振れ!


不合理な満足の日々の
それなりの魅力
ときめく帰り道

君知るや 色褪せない愛
翼のある心
一途に走るこの思い

月の雫 両手に受け
君の町を目指そう

響きわたれ 響き交わせ
僕の言葉
君の合図──帽振れ!

────────
────────
第一連では、あなた。第二連では、君。
つまり、距離感ですね。
────────

2024/08/23 (Fri)

[100] 【笑顔のままで】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



夜明けから日暮れまで
鳥が空にいるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる

10時から6時まで
夢を見続けるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる

実りのときが近づいたのは
君の笑顔でわかるよ
空と話すこともできるよ
信じていなくても

ここで
みどりを育ててくれますか
笑顔のままで
みどりを護ってくれますか
みどりのままで


珍しい蝶よりも
季節の草でありたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい

背伸びするぐらいなら
誰も愛さずにいたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい

もっと深いよ もっと強いよ
君の笑顔の約束
人が人に立ち返れるよ
意識してなくても

ずっと
みどりを助けてくれますか
笑顔のままで
緑を愛してくれますか
みどりのままで

──────
──────

2024/08/22 (Thu)

[99] 【恒星の記録】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



帰らない時なら
私はいらない
死んだ記憶なら

帰れ恋人なら
淋しい私に
声を分けてくれ
昔のように

選ばないで
私はかなり希薄

飾らないで
あなたはきっと微弱

東雲(しののめ)の時まで
起きて 観てるから

星たちの空を記録してほしい


慈悲深い心で
門を叩くなら
閂(かんぬき)をはずし

裸身を温める
恋人を迎え
差別(しゃべつ)に親しむ
悲しみの部屋

咎(とが)めないで
私はかなり希薄

阿(おも)ねないで
あなたはきっと微弱

暁のときまで
正気でいるから

星たちの空を記録してほしい
──────
──────
差別(仏教用語)・・・あらゆるものがあるがままに存在し、その価値を認めあっている状態。
──────

2024/08/19 (Mon)

[98] 【片淵】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


経済学部のあたりは
風が真夏を連れてくる

学生通りを渡って
私の窓に吹き寄せる

不安な心のまま
この町に来ないでね

ためらう言葉なんて
定義不能だから

わかってくれるなら
帰去来(帰りなん、いざ)片淵へ

わかってくれるなら


済生会の門からは
悩みのない空が見える

杖がわりの乳母車で
年寄りたちが闊歩する

彼女を想いながら
この町に来ないでね

未知数の愛なんて
二律背反だから

わかってくれたなら
歸去來(かえりなん、いざ)片渕へ

わかってくれたなら
────
────
経済学部・・・長崎大学経済学部
済生会(さいせいかい)・・・総合病院の名前
────
────

2024/08/01 (Thu)

[97] 【若菜川】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


峠を下れば左手の谷間に
流れも清らな小川が見えるはず

半農半漁の小さな世界まで
ゆらゆら流れる小さな川のうた

若菜川よ 若菜川よ
誰のために行く

僕もいつか川を伝い
あの人の里へ

若菜川は 若菜川は
浅い春のいろ

そして今日も
あの人とは会えないよと

告げた


許されるものなら僕も川になって
夢見たあの人を焦がれて流れたい

若葉の光を反射してただよい
小さな憂いを集めた川のうた

若菜川よ 若菜川よ
好きな人を得よ

僕もいつか川になって
あの人の許へ

若菜川は 若菜川は
僕を待たず往く

そして今日は
このあたりで引き返せと

告げた

─────
─────

2024/07/27 (Sat)

[96] 【和楽団地】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


夢の入口だね
あなたの住む町は
過ぎた日の優しさを思い出す午後

そして笑い声が
光とたわむれる
悲しみが遠ざかる そして温もり

──人が学べることは
あまりに少ないけど
──人が愛せるものは
数えきれないほどに

この町のあちこちにあるよ
和楽団地


愛を試すものは
いつでも多いけど
永遠の約束も信じられるね

弱気になるときも
未熟を恥じる日も
あなたを思い出せば
うまくいくはず

──僕が歌えることは
あまりに少ないけど
──歌いたくなるものは
数えきれないほどに

この町のあちこちにあるよ
和楽団地

──────────
長崎県西彼杵郡長与町
──────────

2024/07/16 (Tue)
125件中 (31-40) [ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >> ... 13
- 詩人の部屋 -