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浜崎 智幸の部屋  〜 新着順表示 〜


[75] 【緑に降る光】
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片思いはいつでも
風が運んだ花粉

指にからむためらい
 
あなたのせいで──

出会ってしまったから
こんな思いを抱いて
一人で森にいるよ

あなたのせいで──

 緑に降る光にまぶしそうに笑った

 あの無邪気な笑顔が
今も忘れられない

だけど光あふれて みどりは目に痛いよ

僕の小さな影は消されてしまう


白いショートパンツで
あなたはシャトルを追う

低くそして鋭く
サーブを返す

僕は歌を作って
何かを確かめていた
時々襲う挫折
楽しんでいた

 緑に透ける髪をバレッタでとめていた

 それは僕の心もつなぎとめたと思う

だけど光うすれて 夢は冬に移るよ

たぶん僕のせいだよ

僕のせいだよ

──────
──────

2023/10/05 (Thu)

[74] 【緑ヶ丘】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


緑ヶ丘に 優しい風が

わたし誘うように吹き寄せてくるわ

もしも あのとき素直だったら

光さす処へ行けたかもしれない・・・・・・

ためらう言葉ではなにも伝えられないと思うの

だから

お・ね・が・い・よ

このまま

す・て・な・い・で

せっかく言えそうになったところよ

「アナタガ好キ」

で・も・だ・め・ね

青空

み・て・い・る・と

あなたの大事な彼女(ひと)を思い出すの


緑ヶ丘に 月影さえて

眠り破るように囁いてくるわ

窓の外では 模様のない蛾が

光に魅せられて躍り続けているわ

逃げ腰の恋ではなにも創りだせないと思うの

だから

な・り・ゆ・き・で

あしたに

さ・せ・な・い・で

せっかく言えそうになったところよ

「ヤッパリ好キ」

で・も・だ・め・ね

満月

み・て・い・る・と

あなたの大事な彼女(ひと)を思い出すの

─────
─────

2023/10/04 (Wed)

[73] 【東北】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]




夕暮れまでに帰れよと
我が子に叫ぶ母がいた

故里の冬
 
帰ろうか
 帰ろうよ
  帰ろうか
   今のうち  
東北へ

地面の匂い
時となく
雪をちりばめ
混じりあい
指を凍らす

雪が降る
 雪が降り
  昔いた
   人を呼ぶ  
東北へ

心に深く
突き刺さり
敗れた者を
認めない
故里の冬

心を遠く
突き離し
敗れた者を
許さない
故里の冬

──────
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2023/10/04 (Wed)

[72] 【オレンジ・アワー】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


午後の花園には透明な愛が育つ

けれども熟さないうちに
夕暮れの風がすり抜ける

それはオレンジの時間
僕によく似合う光

勇気と力を欲しがれ
拳を握れ さりげなく

思い出は音楽にまかせて
もう一度翼を試そう

思い出せ 真実の痛みに寄り添う微笑を


手紙ひとつ書けず
遅咲きの花も終わる

そうして暦が替わると
短日植物はじけだす

それはオレンジの世代
僕の土壇場の祈り

自分に自分を投げ出せ
のたうち回れ 笑いつつ

伝説は役に立たないから
もう二度と言い訳はするな

見苦しい愛もあることだけ
わかっていればいい

それはオレンジの気候
僕の初歩的な希望

秘密も本音も疑え
暗中模索 もがくだけ

ホラ吹きがはびこる時代に
翻訳の聖書はいらない

沈黙が罪でないことまで
宇宙に誇りたい

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2023/08/31 (Thu)

[71] 【琥珀】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


記憶を
地図の上で確かめ
印を打つ謎解き

あなたはどこなのか
(わからない)

地底に潜む琥珀の嘆き

声にならぬ愛

黄金を掘る人の
砂のような涙を
吸い上げ色を獲る

琥珀たち


再び
鑿(のみ)をふるう旅人
疲れ果てる神々
夢みてる

あちこち掘るけれど
(出てこない)

息を詰まらせ
のけぞる人の
最後にあげる声

殺され埋められた
命の集まりが
固まり色を獲る

琥珀たち

────
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2023/08/21 (Mon)

[70] 【鋼玉】コランダム
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


少女は
母の持ち物の

指輪をそっと
はめてみる

誰もが 
そんな悪戯を通って生きてきたんだね

当たり前の現実が
とても眩しいこの夏──


扉を放ち
鏡台の
向こうに気づく
銀の針

心は
人と連絡し
瞳は
軽く閉ざされる

実像しか愛せない
雑念は滅したから──

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2023/08/21 (Mon)

[69] 【月が走る】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


夜を走るなら
月に背を向けろ

けばだつ心に
月は優しすぎる

楔(くさび)を打ち込め 
胸の真ん中に

呼び捨てにできる
名前はもうない

澄みし水よ
光を受けて
翳る心に灯る
歌に変われよ

みな幸ある人でいるか

流れにまかれる影でないか

そこは寒いのか
温もれないか


誰も顧みぬ
僕の歌だから

誰も顧みぬ
君のために唄う

鏡よ砕けろ 
正義を示すなら

翼を得るとき
僕は駄目になる

澄みし水よ
光を受けて
かたち残すものの
挽歌になれよ

失うものはせめて少なく

見落とすものはせめて小さく

そこは遠いのか
触れあえないか

────
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2023/08/17 (Thu)

[68] 【ユウレカ】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


どこかに
私を望まない人がいるなら
すべての愛を(無)にする冷たい視線を浴びたい

どこかに
私を許さない人がいるなら
言葉の刃物をみがいてむごく殺してかまわない

独りよがりの道徳
哲学のない疑惑

寒い心の裂け目に
罪が細くにじむ夜へと向かう──輪廻


こころを
閉ざして見えてくるものがあるなら
阿吽(あうん)の呼吸をはずしてユングの海で溺れたい

邪悪が
土星の力を得たというのなら
レーキを投げろ
農夫たち
愚者の咎めを気にするな

芸術を楽しむには人は黒くなりすぎた
言葉が通じたうちに蝋燭(ろうそく)を点すべきだった

ユウレカ! ユウレカ!

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2023/08/08 (Tue)

[67] 【夢の流れ】
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]



いくつも
橋を過ぎ

小川は
町に出る

夢みてた人は──
今も夢のなか

かすむ笑顔のように
今も夢のなか


別れは
華やいで

小さな
家のそば

聞こえればいいね
さよならの声が

夢の流れはやがて
深い海になる


たくさん
人が死に

たくさん
川になる──

出会えたよろこび
なくしたしあわせ

すべてこの川のなか
すべて流れてる
─────
─────
*この川の名は若菜川。河口は長崎市の茂木(もぎ)地区です。

2023/08/07 (Mon)

[66] ララバイ(死に至る病)
詩人:浜崎 智幸 [投票][編集]


夜が明ける 夜が明ける

さあ目覚めなさい
さあ目覚めなさい

話しなさい 話しなさい

今見てた夢をささやくように

涙の形の小さな雲が
夜明けの空に消え入るまえに


悔やみなさい 悔やみなさい

死んだ人たちを
思い煩って

信じなさい 信じなさい

疑うことより やさしいはずよ

泣いた日もあるし
泣く日もくるし

それでもあなたは
止まれないから

死に至る病
何度もかかる

それでもあなたは
止まれないから
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2023/07/27 (Thu)
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