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和泉の部屋  〜 投稿順表示 〜


[38] 夢路
詩人:和泉 [投票][編集]

あの日
終わりを見た夢は
涙の底に沈んだ

目覚めたあとの
空っぽな感覚

夢の中で
あたしは何かを失ったのだろうか



だが しかし
夢は記憶の奥底に消えていた

2006/07/10 (Mon)

[40] 憂き環
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忙(せわ)しない人の波に
飲まれぬよう

見えないところで
必死に足をバタつかせ

溺れかけても
近くに藁は見当たらない


手を差し出して
引き上げて


足が鉛のように重く
重りとなって
沼の底に引きずられる前に

2006/07/12 (Wed)

[41] 
詩人:和泉 [投票][編集]


振り返れば
求めに埋もれていた

誰か 誰か と
叫びながら


自分はその場で足を止め
振り返る誰かを求めた

小さな傷を大袈裟に
誰かが声を降らせてくれるのを求めた

その傷は
とっくにカサブタに化け


そっぽを向いて
誰かが背中を押してくれるのを求めた



気が付けば
求めで積み重なって


自分からは
怖い と
砂糖より飴よりも
甘い甘い甘え



今からの脱皮
自分から を

2006/07/13 (Thu)

[42] 白影
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闇夜に映える
あの長い影

踏もう と
追い掛けても
ひらひら と
蝶の舞い
もどかしく

鬼さん こちら の
誘い文句
触れようとすれば
逃げるくせに
空気のように
抱き締めること
できなくて

あの影は
闇夜で輝き
誘っては
日が昇るまで
舞い続け


影と影が重なるまで

2006/07/13 (Thu)

[43] 額縁
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ゆっくり変化する色に気付かないように
通り過ぎていった

カメラのシャッターを切るよりも
瞬きするよりも

一瞬は
あっという間で


加速する車より
ビデオテープの早送りより

一瞬は
あっという間で



その一瞬を惜しむより
その一瞬を求めるより

一生もまた
あっという間に

2006/07/17 (Mon)

[44] リピート
詩人:和泉 [投票][編集]

エンドレスにあなたの声
耳よりも
心を傾けて

『たいくつ』なんて
漢字すらも分からない

あなたの唇から溢れる音
耳よりも
心を傾けて

エンドレスに
何度も
あなたの声



もうネタがないよ と
あなたが苦笑するまで

2006/07/16 (Sun)

[46] 幻灯
詩人:和泉 [投票][編集]

指で作るカメラ
レンズに映るは
溢(こぼ)した記憶

残り一枚のフィルム
シャッターを切る勇気など
みじんもなくて

目の前で過ぎゆく幻影
ぼやけるピントは
震える手のせいにする

2006/07/21 (Fri)

[48] オーシャン
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深い色をした海
泳ぎをしらない私は
避けて通るだけ

それでも
波打ち際を歩くのは
魚が気持ち良さそうに泳ぐから


ディープ・ブルーの海
足を入れれば
立てる程の深さだ と
魚が飛び跳ねた

2006/07/20 (Thu)

[49] もぐらたたき
詩人:和泉 [投票][編集]

“この形に
はみださないように
ぴったりと入りなさい”
そんな声が
聞こえてきそう


型が窮屈で
抜け出せば
頭叩かれ
型の形を
変えようとすれば
頭叩かれ

見本なんて
目標にならない


暗い穴に隠れているだけなんて
まっぴらだ

2006/07/21 (Fri)

[50] かくれんぼ
詩人:和泉 [投票][編集]

もういいよ と
言って欲しかった
かくれんぼの
もういいかい に答える
もういいよ を

諦めの もういいよ ではなく
もういいんだよ と

あの人も
もしかしたら と
思う日々

言えずに癒えずに
苦痛を濁らすその笑顔は
かくれんぼの もういいよ を待っていたのだろうか


もういいかい と
問うたなら
もういいよ の
声 響くこと願って

2006/07/22 (Sat)
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