詩人:和泉 | [投票][編集] |
あの日
終わりを見た夢は
涙の底に沈んだ
目覚めたあとの
空っぽな感覚
夢の中で
あたしは何かを失ったのだろうか
だが しかし
夢は記憶の奥底に消えていた
詩人:和泉 | [投票][編集] |
忙(せわ)しない人の波に
飲まれぬよう
見えないところで
必死に足をバタつかせ
溺れかけても
近くに藁は見当たらない
手を差し出して
引き上げて
足が鉛のように重く
重りとなって
沼の底に引きずられる前に
詩人:和泉 | [投票][編集] |
振り返れば
求めに埋もれていた
誰か 誰か と
叫びながら
自分はその場で足を止め
振り返る誰かを求めた
小さな傷を大袈裟に
誰かが声を降らせてくれるのを求めた
その傷は
とっくにカサブタに化け
そっぽを向いて
誰かが背中を押してくれるのを求めた
気が付けば
求めで積み重なって
自分からは
怖い と
砂糖より飴よりも
甘い甘い甘え
今からの脱皮
自分から を
詩人:和泉 | [投票][編集] |
闇夜に映える
あの長い影
踏もう と
追い掛けても
ひらひら と
蝶の舞い
もどかしく
鬼さん こちら の
誘い文句
触れようとすれば
逃げるくせに
空気のように
抱き締めること
できなくて
あの影は
闇夜で輝き
誘っては
日が昇るまで
舞い続け
影と影が重なるまで
詩人:和泉 | [投票][編集] |
ゆっくり変化する色に気付かないように
通り過ぎていった
カメラのシャッターを切るよりも
瞬きするよりも
一瞬は
あっという間で
加速する車より
ビデオテープの早送りより
一瞬は
あっという間で
その一瞬を惜しむより
その一瞬を求めるより
一生もまた
あっという間に
詩人:和泉 | [投票][編集] |
エンドレスにあなたの声
耳よりも
心を傾けて
『たいくつ』なんて
漢字すらも分からない
あなたの唇から溢れる音
耳よりも
心を傾けて
エンドレスに
何度も
あなたの声
もうネタがないよ と
あなたが苦笑するまで
詩人:和泉 | [投票][編集] |
指で作るカメラ
レンズに映るは
溢(こぼ)した記憶
残り一枚のフィルム
シャッターを切る勇気など
みじんもなくて
目の前で過ぎゆく幻影
ぼやけるピントは
震える手のせいにする
詩人:和泉 | [投票][編集] |
深い色をした海
泳ぎをしらない私は
避けて通るだけ
それでも
波打ち際を歩くのは
魚が気持ち良さそうに泳ぐから
ディープ・ブルーの海
足を入れれば
立てる程の深さだ と
魚が飛び跳ねた
詩人:和泉 | [投票][編集] |
“この形に
はみださないように
ぴったりと入りなさい”
そんな声が
聞こえてきそう
型が窮屈で
抜け出せば
頭叩かれ
型の形を
変えようとすれば
頭叩かれ
見本なんて
目標にならない
暗い穴に隠れているだけなんて
まっぴらだ
詩人:和泉 | [投票][編集] |
もういいよ と
言って欲しかった
かくれんぼの
もういいかい に答える
もういいよ を
諦めの もういいよ ではなく
もういいんだよ と
あの人も
もしかしたら と
思う日々
言えずに癒えずに
苦痛を濁らすその笑顔は
かくれんぼの もういいよ を待っていたのだろうか
もういいかい と
問うたなら
もういいよ の
声 響くこと願って