ホーム > 詩人の部屋 > 和泉の部屋 > 投稿順表示

和泉の部屋  〜 投稿順表示 〜


[51] 迷子
詩人:和泉 [投票][編集]

雑踏の中
確かに私はいる
右にいたあの子は
遠くで さようなら と
静かに手を振り
左にいたあの子は
いつの間にか座り込み
振り返れば遥か後ろにいた

雑踏の中
それでも道はあって
矢印だってある
数多く散らばって

雑踏の中
誰かの足を踏まぬよう
誰かにぶつからぬよう
気を付けてはいるものの
限界はあって

脱げた靴は
確かお気に入りだったはず

2006/07/24 (Mon)

[52] 静寂
詩人:和泉 [投票][編集]

耳を澄ませば
秒針の音色に気付き
部屋の静けさが増す
一秒を刻む針は
円を描(えが)き
元いた場所に帰るらしい

静かな空間は
秒針と
シンクロする心臓のリズムだけ
それは少し
心地良く

静寂の中に
聴こえてきた響き

2006/07/25 (Tue)

[53] 風船遊戯
詩人:和泉 [投票][編集]


ぱん と
弾けた風船は
あの日のもので
あって欲しかった


手を離してはいけない と
教えられていたのに
気が付けば
風船は手から消え
空高く登り
気持ち良さそうに泳いでいた


泣く子に
また今度 と
パパは約束をし

風船を失った右手を
ママの左手が優しく包んだ


2006/07/27 (Thu)

[54] 
詩人:和泉 [投票][編集]

夢で逢えたノスタルジー
朧気な映像
編集機能なんて
ないのは百も承知

突然 現れて
なのに
記憶には残ろうともしない

君のメッセージを掴みたくて眠る
そんな夜は
決って現れない

2006/07/28 (Fri)

[57] 朝顔
詩人:和泉 [投票][編集]

道端に咲く花の名前すら知らなかったあの頃



夏に毎年配られた種は
小さくて

ジョウロのシャワー
サン・ライト
土のベッド
それらだけで
大きくなったとは言わないけれど



紫の花びらは
きっと
色鉛筆じゃ表しきれなくて

何度も書き直して
薄くなった絵日記帳


あの小さな種が
咲かせる花が
こんなにも綺麗だったとは

2006/07/31 (Mon)

[58] 星屑
詩人:和泉 [投票][編集]

滑り落ちた言葉が
星のように地面に散らばり
たまに
拾う人もいれば
見て見ぬフリの人

落とした言葉を
自分で拾うことは
呼び掛けて相手が気付かなかったくらいの
空しさで

できるなら
落としましたよ と
相手が見つけてくれたなら
そう願うのは
自分でも嫌なのだけれど

2006/08/01 (Tue)

[59] ラスト・レター
詩人:和泉 [投票][編集]

出せず仕舞いの手紙

いつの間にか手から消えていて


お元気ですか で始まり

では また で終わる


またなんて
叶わない夢なのに

それは
離れた時間のせいなのだろうか


それでも
決って

最後を飾るのは

その言葉で

八十円切手も

いつを最後に

買わなくなったのだろう

宛先は

まだ覚えていて

眼を瞑ってでも書ける自信があることが

余計に悲しくて

もう使わないレターセットで

引き出しは閉まりきらなくて


出せず仕舞いの手紙を

探す勇気もないのです

2006/10/13 (Fri)

[60] ±
詩人:和泉 [投票][編集]

プラスとマイナスは
結局はいつも一緒にいて

ただ
プラスを見るか
マイナスを見るか

その人次第というわけで

2006/08/02 (Wed)

[61] 笑顔休戦日
詩人:和泉 [投票][編集]

水分が減るのを
許して欲しい
カラカラになるまで

今だけは

2006/08/04 (Fri)

[62] 忘却カプセル
詩人:和泉 [投票][編集]

効きすぎる冷房に
心も冷え
消えゆく温度が
何故だか君を想わせる

時間と距離の掛け算で
出会えた答えはこの気持ち
名前は何て言ったかな


冷えた空間から飛び出し
暑い世界に引き戻される瞬間の
あのめまいは
何故だか君を想わせる

2006/08/06 (Sun)
125件中 (41-50) [ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >> ... 13
- 詩人の部屋 -