詩人:和泉 | [投票][編集] |
固いようで脆い殻の奥にいる言葉
落として割れた破片は
人や言葉をも傷付ける刃へと
白い殻の中に眠る言葉を
温めるように抱き締める
そんなことはない
温まるのは僕のほうだ
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出会いに別れが付き物なら
それは少し寂しい
重ねることに時間を掛けた掌に
握ることがなくなるなら
涙を拭うしかないのだろうか
またの再会を願って交す約束は
大切にしまっておこう
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好きなものは最後のデザートに
嫌いなことから始めよう
一つしかないものは半分にして
大きいものは相手にへと
砕けたビスケットは
相変わらず美味しかった
詩人:和泉 | [投票][編集] |
小さな箱に
宿した想いは
窮屈を訴える
蓋を開けるのを躊躇うのは
溢れるからか
紙の箱から染み出す心
箱を崩そうと
壊れた蛇口のように
小さな箱を
大きな箱に隠しても
行き着くマスは
『ふりだしに戻る』
サイコロの代わりに
放り投げた箱は
転がりながら
展開図へと
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ステップ止めず
スキップすることなく
リターンなんて知らない
針音リズムは焦燥ダンス
一秒の感覚さえ
とうに置き忘れた
針が右往左往したって
焦り直すは人のみ
タイムリミットが数字でチラついても
うまく掴み取ることできなくて
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容易く解ける嘘を
必死に結び直すのは誰
重ねた蓋
真っ赤な果実を
どの箱にしまい込んだか闇の中
蓋を開け種明かしする勇気も行方不明
真っ赤な果実は
窮屈な部屋から飛び出すことを願うから
針が進む度に
どんな嘘も解ける
詩人:和泉 | [投票][編集] |
そう あれは
世界の時計が狂い始めた頃
“時”の意味について考える
“時”に支配され
“時”の籠に捕まり
与えられた“時”の
有効活用なんてありもせず
針を追いながら
秒針に耳を塞ぎたくなる
支配から逃れても
生まれるは戸惑いで
雑踏の中の混乱
ほら 今も
無情に進みゆく“時”に逆らいながらも
時計を探しては
“時”に触れる日々