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和泉の部屋  〜 投稿順表示 〜


[63] たまご
詩人:和泉 [投票][編集]

固いようで脆い殻の奥にいる言葉

落として割れた破片は
人や言葉をも傷付ける刃へと

白い殻の中に眠る言葉を
温めるように抱き締める




そんなことはない
温まるのは僕のほうだ

2006/08/09 (Wed)

[64] グ・リップ
詩人:和泉 [投票][編集]

出会いに別れが付き物なら
それは少し寂しい

重ねることに時間を掛けた掌に
握ることがなくなるなら
涙を拭うしかないのだろうか



またの再会を願って交す約束は
大切にしまっておこう

2006/08/11 (Fri)

[65] 未知数
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明日は必ず来るものだと
無意識な錯覚

絶対的保証は
どこにもないのに


2006/08/13 (Sun)

[66] 菓子箱
詩人:和泉 [投票][編集]

好きなものは最後のデザートに
嫌いなことから始めよう

一つしかないものは半分にして
大きいものは相手にへと


砕けたビスケットは
相変わらず美味しかった

2006/08/15 (Tue)

[67] 十字架
詩人:和泉 [投票][編集]

小さな箱に
宿した想いは
窮屈を訴える

蓋を開けるのを躊躇うのは
溢れるからか

紙の箱から染み出す心
箱を崩そうと
壊れた蛇口のように

小さな箱を
大きな箱に隠しても
行き着くマスは
『ふりだしに戻る』

サイコロの代わりに
放り投げた箱は
転がりながら
展開図へと

2006/08/17 (Thu)

[69] 独夢
詩人:和泉 [投票][編集]

この世界に
僕一人だったなら
この世界は
どのように映っただろう

むせ返るような人の波に酔うくせに

孤独の夢から目覚めれば
決って涙を流すんだ

2006/08/28 (Mon)

[71] 
詩人:和泉 [投票][編集]

ステップ止めず
スキップすることなく
リターンなんて知らない

針音リズムは焦燥ダンス


一秒の感覚さえ
とうに置き忘れた


針が右往左往したって
焦り直すは人のみ



タイムリミットが数字でチラついても
うまく掴み取ることできなくて

2006/09/05 (Tue)

[72] 林檎
詩人:和泉 [投票][編集]

容易く解ける嘘を
必死に結び直すのは誰

重ねた蓋
真っ赤な果実を
どの箱にしまい込んだか闇の中
蓋を開け種明かしする勇気も行方不明


真っ赤な果実は
窮屈な部屋から飛び出すことを願うから

針が進む度に
どんな嘘も解ける

2006/09/08 (Fri)

[73] ストレート
詩人:和泉 [投票][編集]

空振りの叫び
ボールに込めた想い
コントロール不能で迷子センター行き


グローブを大きく感じていた頃より
キャッチボールが下手になる

2006/09/10 (Sun)

[74] 乾電池式古時計
詩人:和泉 [投票][編集]

そう あれは
世界の時計が狂い始めた頃

“時”の意味について考える


“時”に支配され
“時”の籠に捕まり
与えられた“時”の
有効活用なんてありもせず
針を追いながら
秒針に耳を塞ぎたくなる

支配から逃れても
生まれるは戸惑いで
雑踏の中の混乱

ほら 今も
無情に進みゆく“時”に逆らいながらも


時計を探しては
“時”に触れる日々


2006/09/13 (Wed)
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