詩人:さみだれ | [投票][編集] |
海の底に昨夜のくじら
アスファルトの熱さに溶け死ぬ
タンスの中には私がいて
ペン先にはあなたの笑顔
葉の裏の幸せ
もぐらにはなかったよ
絶えず聞こえる嬌声を
とぐろ巻く炎に変えて
歌い狂う
毎夜
されど優しさを願う者
女神すら手を出せない幸福
絶対という数字に背負わせた運命を
感覚の中に見いだせる人々を
深奥より傍観する
水の深奥より
答えなどない
あってほしくなど、ない
水辺線上に
呼吸するあなたがいれば
答えなどいらないんだ
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この心の騒めきを
叫びたがる喉を
あなたの名前を
高く手を伸ばした先を
光のない夜を
静かに乾いていく涙を
生きる意味を
死ぬべき理由を
死んではいけない答えを
あなたの言葉を
救われたあとの世界を
守れなかったあとの世界を
叫ぶ声すら持てないことを
心は知っているのだから
あなたのいう幸せは
きっと幸せなのだろう
それを幸せだと思えなかった
この心の騒めきを
朝焼けには静かに
ただ静かに思いたい
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後ろの正面
あの子の影
世界の羽音
呼吸
未来が欲しいね
空を彷徨う手
わたしひとり
目を開けてもなお
守れなかった
生きられなかった
手を繋ぎたかった
息を確かめていた
夜のこと
守りたかった
死にたくなかった
手を繋いでいた
息を忘れていた
よるのこと
あなたは忘れただろうか
目を開けてなお
夜が続いた安らぎを
あなたは聞こえていた?
月や星が音を持って響いていたのに
ほんの少しの距離が
命すら越えて
どうしようも無い距離が
あなたを透明にして
守れなかったり
生きようとしたり
手を伸ばしたり
声を出して呼んだり
そんな夜のこと
全部ひとつにして
あなたに聞いて欲しかったり
あなたに言って欲しかったり
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私は叫んでいました
魂の奥底から
狂おしいほどの愛情を
しかし漏れ出るのはいつも
いつだって機械音のように
伝わるには程遠いものだったのです
戯れに躍る星を
羨ましくも悲しいと
窓辺に佇むガラクタは
思うだけに留めるしかなく
声が欲しいのです
願いを言葉にしたいと願い
あなたを引き止めるための手のような
追いつくだけの足のような
私は叫んでいましたか?
狂おしいほどの愛情を
それはきっと錆びた色をしていて
耳障りなほど軋んでいたでしょう
私は叫んでいました
今なお無様に
魂など知らぬままに
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星のしっぽはまんまるで
ずっと抱いていられるの
子供たちはよだれを垂らして
気持ち良さげに眠りこけ
わたしは空の深淵を見遣り
その髪を撫でている
世界は願う姿にならず
星の手は救いを求め
死を繰り返せど果てず
空の深淵は暗く重たい
星のしっぽはまんまるで
わたしはそれを知らずに生きる
世界は願う姿にならず
子供たちは深淵など
知らずに空を撫でようとする
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見慣れた歩道橋が
色を変えていた朝
いつもすれ違う人が
最近見ないなって気付いた夜
紫陽花がたくさん咲いていた5月も
町が白く覆われた12月も
終わりの兆しさえ
見せようとはしない世界を
煙草に火をつけて
彼女はうつむいていた
同じ煙草に火をつけて
私は空に吐いた
ちゃんと終わってくれる
あと少しで消えちゃうから
彼女に言いたい言葉は
空へ泳いでいく
それだって消えるなら
そんなことを思いながら
今日も歩いている
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幸せは夢の中に
君の見つめる僕の瞳に
涙を浮かべることも似合わない
夜の逢瀬に
クオリアは素粒子
波のように世界をたゆたう
扉はどこにでもあり
その先は見えない
幸せになってほしい
それは嘘
ただ僕が幸せでいたいことを
知られるのが怖かった
体から抜けていく
クオリアを君は知らない
どこかでまた
君の幸せを
僕の幸せと一緒にしたい
それだけを願って
僕は飛んだ
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目に映る窓を開けて
私はひとり光の海
あなたはきっと遠くから
この背を見てくれている
同じ部屋の片隅で
なのにひとりきりの夜
遊星に似た繋がりを
この手が繋がれば
あなたは生きられる
等しく見渡しのいい場所で
あなたはきっと生きられる
その背を見つめている
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青色を知りたいのに
きみはだまったまま
パラソルを広げて
僕を呼んでいる
名前なんて無意味だ
ぼくはまだ真っ白な
君を呼んでいる
どんな心音で
宇宙になりたい
そのてをつつみたい
星を数えながら
きみは眩しく放った
赤色は寂しいな
ぼくはまだだまったまま
跳ね上がる胸を
波に覆って
きみを読んで
ひとりきり
燃えて尽きそうな
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等しく生きるには言葉が必要で
私には当然それがない
私には言葉が必要で
あなたにはそれがない
正しさの奥に
雨が吹きざらし
沈黙も失われ
ただ自分のための嘘を
本心を?
王様は家来を殺し
誇らしげに笑う
私は他人を殺し
生きていると謳う
心をください
ただ等しく生きるために
私を見た、違うことなく
見てほしい
ここにあるものを
私が叫ぶ
ひたすら醜いものを