詩人:カナリア | [投票][編集] |
君が結婚したと聞いて
手にしたグラスが
曇りました
無理矢理飲み込んだ
アルコールと
無理矢理吐き出した
「おめでとう」の言葉が
喉の奥で交差して
咳込む私を見て
君は笑い
薬指が光る左手で
私の背中をそっと摩った
“あの頃”
何て言い方したくないけど
君がまだ野球少年だった
あの頃を思い出して
夜中抜け出して
向かった公園
繋いだ手
はにかむ横顔
大好きだった君
お父さんになるんだね
もう
お互い
制服は似合わないから
あの夏にサヨナラしよう
「おめでとう。お幸せに」
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どうしよもなく
悲しくて
凄く不安なんだ…
生きていく事が
当たり前じゃなくて
生きている事が
当たり前じゃなくて
涙が溢れて
涙を隠して
声を殺して泣いている夜は
ねぇ
誰に告げればいいの?
寂しいって話は
ねぇ
誰に…?
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マジで
自分が死ぬかもって
極地に立たされた時
残りの人生を
誰かの為に生きたいと
そう思った
偽善とか綺麗事とか
例え
“ソレ”が
そうであっても
最期は
せめてその中で
偽りでも何でも
貫いて生きたいと思った
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なぁもありゃせん
この町は
夏になりゃ蝉がぎょうさん鳴いていて
昼下がりの縁側で
ばぁばは
入れ歯をカタカタ鳴らしてソレを怒りよる
「静かにせんかい!喰てしまうぞ」
その晩出たのは
ソレを素揚げしてから
甘いタレを絡めたやつで
さすがに食えん。
と横を見ると
じいちゃん美味そうにボリボリ…ボリボリ…
夏の終わり
なぁもありゃせん
あの町は
カカァ天下で有名な
うちのばぁばも
じいちゃんも
おらなくなり
ほんま
なぁもなくなってしもて
寂しい
寂しいと
今年も蝉がぎょうさん
泣いておる…
嬉し泣き。
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痛くて
苦しくて
張り裂けそうな心は
ただ
ただ
ひたすらに
雨が降ることだけを
祈ったんだ
それは
涙を隠す為の雨ではなくて
泣く事を忘れてしまった
泣けない私を隠す為
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例え通り掛かりの人にだって無条件の愛情
そんな世界になれば
孤独に怯える事もないのかな
何にでも見返りを求めちゃいけんね
無条件の愛情
為に生きる